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将来へ向けて強化図る“もう一つのU-20日本代表”候補、鳥海、安藤のゴールでFC大阪に勝利!

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1本目11分、U-20日本代表候補はMF鳥海芳樹が先制ゴール

[5.11 練習試合 U-20日本代表候補 2-1 FC大阪 J-GREEN堺]

 大阪府内で合宿中のU-20日本代表候補が11日、JFLのFC大阪と練習試合(30分×3本)を行い、MF鳥海芳樹(桐蔭横浜大)とFW安藤瑞季(長崎総合科学大附高)のゴールによって2-1で競り勝った。

 U-20日本代表候補の大阪合宿メンバーはU-20W杯(5月20日開幕、韓国)へ向けて静岡県内で合宿中のU-20日本代表メンバーとは異なる18名。10人のU-18世代を含めて全て19歳以下の選手達によって構成されている。

 今秋にはU-18日本代表が19年U-20W杯1次予選にあたるAFC U-19選手権予選に出場し、U-19日本代表はトゥーロン国際大会(6月、フランス)に出場する予定。彼らはその候補選手でもあり、今後U-20W杯日本代表メンバーたちと東京五輪日本代表の座も争っていく選手達だ。

 大阪合宿メンバーの中には開幕が間近に迫っているU-20W杯出場を惜しくも逃した選手もいるだけに、それぞれが強い思いを持って活動に参加。U-18日本代表の監督を兼任している影山雅永監督は9日に集合した選手達へ向けて「やる試合で勝つために自分は何ができるか見せて、濃い5日間にしよう、それが日本の未来に繋がるという話をしました」。この日は試合の中で良い部分と課題が混在するような内容だったが、それでも選手達は影山監督が「これはしようぜということにみんなトライしてくれた」と讃えたようにアグレッシブな戦いを見せて勝ち切った。

 4-4-2システムのU-20代表候補の先発はGKが沖悠哉(鹿島ユース)、4バックは右SB 長谷川巧(新潟)、CB橋岡大樹(浦和ユース)、CB立田悠悟(清水)、左SB田中康介(立命館大)。中盤はキャプテンマークを巻いた住永翔(明治大)と山田康太(横浜FMユース)のダブルボランチで右MFが鳥海、左MFが吉尾海夏(横浜FM)。2トップは小松蓮(産業能率大)と安部裕葵(鹿島)がコンビを組んだ。

 そのU-20代表候補は1本目11分に先制点を奪う。右サイドを駆け上った長谷川が中央へボールをつけると、小松が1タッチのスルーパス。DFを振り切って抜け出した鳥海がGKとの1対1から右足でゴールを破った。

 13分に頭部を強打した吉尾に代えてMF黒川淳史(大宮)を投入。15分には相手のミスパスをインターセプトした小松のパスで鳥海が抜け出したが、相手GKの好守によって2点目とはならず。また不用意なボールロストからカウンターを受けるシーンも散見したが、それでも、序盤にボールを失ったあとの切り替えの部分について指摘されていたチームは試合の中で改善し、全体的に出足、球際の攻防など良くなっていった部分も多かった。

 また、個々が持ち味を発揮していた。特に安部が得意のドリブルで何度もチャレンジしていたほか、黒川の積極的な仕掛け、山田の正確なパス、守備の部分で非常に落ち着いたプレーを繰り返していた立田、キャプテンらしい振る舞いを見せた住永ら個々が良い部分を出し続け、グループでの崩しも光る終盤に。そして、1-0のまま1本目を終えた。

 2本目は橋岡、田中、山田、安部、小松に代わってCB中川創(柏U-18)、左SB杉山弾斗(市立船橋高)、ボランチに金子大毅(神奈川大)、2トップが山根永遠(C大阪)と安藤のコンビへ。キャプテンマークを立田が巻いた。そのU-20代表候補は3分、4分と立て続けに山根のラストパスで安藤が抜け出すが、枠を外すなど決めきることができない。

 その後も安藤や山根が連係から抜け出して決定機を迎えるなどチャンスを作るものの、相手GKの好守に阻まれたり、独力で攻めきろうとしてミスをしたりするなどU-20代表候補は追加点を奪うことができなかった。

 1-0のまま迎えた3本目は沖、長谷川、立田、住永、鳥海、安藤に代えてGK大迫敬介(広島ユース)、右SB田中、CB橋岡、ボランチに山田、左MF安部、トップに小松が入り、金子がキャプテンマークを巻いた。10分には黒川に代えて安藤を投入。1タッチの連続パスによる崩しや守備で危険なゾーンをいち早くカバーする動き、サイドでの積極的な攻め上がりも見られた一方、集中力を欠いたような守りでピンチも招くシーンもあった。それでも16分、左サイドでDF背後へ落ちたボールに反応した安藤が一気にDFを振り切ってGKと1対1に。そして右足ループシュートでゴールを破って貴重な追加点を挙げた。

 この後、FC大阪の新人MF篠田朋宏に直接FKを決められて1点を返されたが、2-1で勝利。安部は「あれだけ短い準備期間の中で積極的なプレーができているのは評価していいと思う」と語り、99年の早生まれで出場資格のある2年後のU-20W杯へ向けては「一日一日、目の前のことをやっていけば自然に見えてくると思う」と口にしていた。

 先制点を挙げた鳥海や金子ら初めて代表候補入りしている選手も多いが、彼らにとっては貴重な経験。影山監督が「(将来へ向けて)繋げていかないといけない。強化を継続しなければいけない」と語ったように、日本サッカー協会は将来へ向けて選手の発掘や育成・強化を継続して行っていく考えだ。13日にはU-20W杯に出場するU-20アメリカ代表と対戦。先を見据えた“もう一つのU-20日本代表チーム”が世界に挑戦して、自分達の現在地を確認する。

(取材・文 吉田太郎)

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