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[MOM439]流通経済大MF渋谷峻二郎(3年)_3年目でつかんだチャンス、リーグ初出場で初ゴール!

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3-1と試合を決めるゴールを決めたMF渋谷

[5.14 関東大学L第5節 日本体育大1-5流通経済大 味フィ西]

 3年目にしてやってきたチャンスをつかんだ。流通経済大日本体育大に5-1で勝利し、4連勝。首位浮上を果たした。先制されながらも5発奪っての逆転劇。3-1とするゴールを決めたのは、リーグ初出場初先発だったMF渋谷峻二郎(3年=流通経済大柏高)。待ちわびた大学リーグデビュー戦で結果を残した。

 昨季はドラゴンズに所属していた渋谷だが、大学3年目の今季はついにトップチームへ“昇格”。リーグ開幕に先立って行われた天皇杯茨城県予選では全2試合に先発し、トップチームでの一歩を踏み出した。しかし、リーグでの出場は遠い。開幕から3戦連続ベンチ入りも出番なし。第4節・筑波大戦はついにベンチ入りも外れた。「やっぱり試合に出たかったし、この前の試合はベンチ外でかなり悔しかったです」と思いは募った。それでも故障者が出た影響もあり、日本体育大戦で先発に抜擢された。

 本人が「前半は堅くて、全然ボールに関わっていられなくて、目立ったミスというよりもあまりボールを蹴れなかった」と振り返ったように、前半は持ち前のドリブル突破などで見せ場はつくれず。ボールを保持する機会も少なかった。

 しかし2-1で迎えた後半11分に仕事を果たす。MF石田和希(4年=流通経済大柏高)のパスを受けた渋谷はゴール正面からドリブルで相手3枚を置き去りに、圧巻の突破をみせると右足シュートでネットを揺らした。3-1と差を広げた流経大はその後に2点を追加。5-1の快勝を飾った。

「卓さん(森永卓)が相手をブロックしてくれたりあったんですけど、自分の特長はドリブル。監督にも自分の特長を出していかないとだめだといわれていて。変にスルーパスを狙うよりも自分で持っていったほうがいいと思ったので、そういうのが出来てよかったです」

 ハーフタイムのロッカールームでは中野雄二監督から「次の1点で試合は決まる。失点してはいけないし、次の1点を早く取ろう」と声がかかっていたという。渋谷は「自分が決めるというよりはSHなので、チームのために守備もちゃんとしないといけないと思いましたし、正直言うと、(ゴールは)できれば取りたいなくらいでした」と苦笑いしつつも、「次の1点を早く取ろうと、その1点を自分が取れたので、嬉しかったです」と声を弾ませた。

 試合後、中野監督は「ジャーメインが目立っていますが、実は渋谷の3点目がこのゲームの一番のポイントになったと思います」と労い、「ドリブルがすごいんです。とにかくそれをPA内のなかで自分の力を発揮してみるようにいったら、あそこであれだけできましたし、点を取る前にFKをもらったシーンも、彼のプレーに対して相手はああやって止めるのが目一杯だった」とその突破力を称えた。

 とはいえ課題はある。得点後のチャンスメイクを連発していた後半23分に突如交代。指揮官は「使い続けても良かったのかもしれませんが、彼をずっと見ていると、あの時間帯から段々落ちてくる。内情を知らない人からしたら、“あんないいプレーしているのに、なぜ変えてしまうんだ”と思うかもしれませんが、ただあの時間からガクッと落ちてしまう」と説明。本人も「そういう自覚はあります。体力がないというよりも、ムラがあるタイプなので。そういう課題をなおしていきたいです」と表情を引き締めた。

 この日の流通経済大は流通経済大柏高出身者で5得点を奪った。渋谷以外の得点者はFWジャーメイン良(4年=流通経済大柏高)、FW森永卓(4年=流通経済大柏高)、MF石田和希(4年=流通経済大柏高)。高校時代にプレミアリーグEAST、チャンピオンシップも制して、文字通り“日本一”になった世代だ。一つ上のその背中を追い続けてきた渋谷は言う。

「一個上の先輩方はキャラが濃い。高校時代、自分の同じポジションは青木亮太選手(名古屋)とかがいて、そこで試合に出るというのはあれだなぁ……とか思っていたんですけど、自分が上にいくためにはそんなことも言っていられないとやっていました」

「自分には来年もありますけど、今年が勝負だなと思っているので。初出場で点も取れて、少しはホッとしていますけど次もあるので。まだまだリーグ戦は続いていくので、チームのために自分はいいプレーができればと思います」

 偉大な先輩たちの影に隠れることはしない。「自分が上にいくためにはそんなこと言っていられない」と自らに言い聞かせるように語るとおりだ。実力者揃いの流通経済大で、渋谷は唯一無二のドリブルで輝きを放つ。

(取材・文 片岡涼)
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