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前盛岡監督・神川明彦監督就任の明大明治、惜敗も関東予選に続いて総体予選でも都大会1勝

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明大明治高を率いる神川明彦監督

[5.20 全国高校総体東京都予選1次予選2回戦 狛江高 2-1 明大明治高 清瀬内山G]

 “教育者”としてサッカーの現場に戻ってきた。昨年、J3のグルージャ盛岡の指揮を執っていた神川明彦監督が明大明治高を指揮。試合は狛江高に1点差で惜敗したが、1月末からの約4か月弱の指導ながらもチームを都大会で再び1勝させた。

 13年まで指揮を執っていた明治大に大学日本一、そして15年にはユニバーシアード日本代表に銅メダルをもたらしている神川監督は2年ぶりとなる学生サッカー界への復帰。高校生たちの指導について「教育の現場でもう一回やりたい、と思わせてくれた。彼らも本当に一生懸命やってくれる」と穏やかな表情で口にする。

 明大明治監督就任以来、主に取り組んできたことは技術面の向上。飛び抜けたタレントがいる訳ではないが、それでも地道にボールを止めること、蹴ることを続けてきた成果は試合の中でも随所に発揮されていた。MF粂谷直哉やMF浅倉一輝(ともに3年)を中心にボールを正確に縦横へと動かし、ボールを支配する時間を伸ばした後半には連続のショートパスによる崩しでチャンスの数を増加。「もっと力の差があると思っていた」(神川監督)という相手を苦しめた。

 0-1の後半11分には抜け出したFW目黒大樹(3年)がGKとの1対1から右足シュート。だが、この一撃がポストを叩くなどなかなかチャンスを活かせない。2点を追う27分にMF松尾裕太(3年)のスルーパスから目黒が右足で決めて1点差とし、さらに攻めたものの、わずかなミスやボールコントロールのズレなど一つひとつの積み重ねが勝敗に繋がってしまった。

 それでも神川監督は試合中、ミスを指摘するよりも、選手の好プレーをすかさず讃える姿が目立っていた。試合後もまず口にしていたのは選手たちの健闘を讃える言葉。「教育というところはボクに合っていますよ」という神川監督が今後、人間育成とチームの強化にどう取り組んでいくか注目だ。

 進学校の明大明治にはサッカー同様に勉学にも全力で取り組んでいる選手たちもいる。サッカーについても人工芝グラウンドを保有するなど、環境には恵まれており、今年は関東大会予選ベスト16(都大会1勝)、そして総体予選でも都大会で1勝した。もちろん、これまでの指導者たちの力も大きいが、新指揮官就任とともに徐々に結果も出てきている。

「常に都大会上位をにらむように。ポテンシャルしかないですよ」。神川監督就任の情報を聞いて入学してきている選手もいるとのこと。大学サッカーを代表する強豪・明治大の附属校、明大明治が東京都の高校サッカーシーンで存在感を増していくのか。異色の指揮官と明大明治の挑戦が始まった。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2017

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