beacon

2年連続選手権8強の駒澤大高は都立日野台に苦戦。自然にではなく、自分たちで「強さ」身につけて全国へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

駒澤大高の1年生MF小林蒼太は気迫ある動きでゴールへ迫った

[5.20 全国高校総体東京都予選1次予選2回戦 駒澤大高 1-0 日野台高 清瀬内山G]

 平成29年度全国高校総体「はばたけ世界へ 南東北総体2017」サッカー競技(宮城)東京都予選は20日、1次予選2回戦を行い、15年、16年度全国高校選手権8強の駒澤大高は初戦で日野台高と対戦。FW米谷拓海主将(3年)の決勝点によって1-0で勝った。駒大高は27日の1次予選決勝で修徳高と戦う。

 試合後、駒大高の大野祥司監督は非常に強い口調で選手たちに言葉をぶつけていた。気迫を感じられない。駒大高のユニフォームを着る価値のないようなプレー。この一戦に懸ける思いも、1点差で敗れて号泣していた日野台の選手たちを下回っていたかもしれない。「本当に弱い。いつ負けてもおかしくない」。指揮官は思いが伝わって来ない戦いを何よりも残念がっていた。

 T1(東京都1部)リーグ・國學院久我山戦で0-4で敗れた際に泣いて悔しがったという米谷や同トリプレッタ戦で1失点して涙していたという国体選抜CB齋藤我空(2年)のように一つの勝敗、一つの得失点に懸けている選手もいる。國學院久我山戦後に選手たちは自発的に短髪にして気持ちを入れ替える意志も見せた。だが、先輩たちと同じ、それ以上のチームにするためにはまだまだ足りない。ゴール前での自信のないプレーや軽いプレーなどでチャンスを逃し、ピンチも少なくない展開に。自分達の“弱さ”を痛感させられるゲームとなった。

 大野監督は「上手い、下手とかではなく、まず負けて悔しいとかそういう気持ちが出てこないと。3年になったら(自然に)自分達も強くなれると思ってしまっている。それ(強さ)は自分たちで掴んでいかないといけない」と指摘。昨年は関東大会で優勝したが、今年は都予選準々決勝で敗れ、T1リーグでも負け越している。結果が出ていないにもかかわらず、指揮官の目には危機感が欠けているように映るのだという。米谷は「今年はやっぱり去年に比べるとチーム力が落ちて、大野先生も去年よりも本当に強い口調になっている。でも、それは自分達に真剣に向き合ってくれているから。自分達はまだ実力がないんですけど、ここから次の試合へ向けてとか、しっかりとチーム力を上げてやっていければ」と変化することを誓っていた。

 試合も簡単ではないゲームだった。立ち上がりのピンチを凌いだ都立勢の日野台は前線で健闘していたFW高橋幹也(3年)のポストプレーから左の俊足MF古川竜太郎(3年)が前向きにボールを受けて決定的なクロス、シュートへと持ち込んでいく。

 だが、駒大高が先制点を奪う。米谷とFW秋遼太郎(3年)の2トップが前線から相手に圧力をかける駒大高は29分、左中間でボールを持ったMF青山慎二(3年)がスルーパス。これをPAで受けた米谷が、切り返しでDFをかわしてから右足シュートを決めて先制した。

 一本一本のシュートの意識の低さを指摘されていた駒大高は後半、突き放しにかかる。青山の正確なパスなどから活動量の多い右MF保科一生(2年)やMF小林蒼太(1年)が繰り返しハイサイドを突く。だが、日野台もCB西谷惇やGK勝又祐樹(ともに3年)中心に跳ね返す。駒大高は30分に相手DFと入れ替わった米谷が独走したがGK勝又に阻まれ、終盤の決定機も小林のシュートが枠を外れるなど活かすことができない。

 日野台は前線へのボールをCB齋藤やCB石澤浩太朗(3年)、反応鋭いGK鳥山力(2年)に弾き返されるなど1点が遠い。それでも諦めない日野台は終盤、MF宮本開(2年)やMF松永祐太郎(3年)のミドルなどで反撃。41分には右サイドからカットインした宮本のパスから交代出場のMF竹内健悟(3年)が決定的な右足シュートを放つ。だが、駒大高GK鳥山の正面を突いて追いつくことができなかった。

 1-0で勝利し、次の試合を戦う権利を得た駒大高。この日は先発の3年生が5人だけで、1年生の小林の頑張りの方が目立つ試合でもあった。米谷は「チームとしてやっている選手もいるけれど、やれない選手もいる。3年生が引っ張っていかねいといけないんですけど、きょうも自分のことばかりになってしまっている。自分のことだけでなくて、1、2年生を盛り立てていかないといけない。インターハイは一週間一週間続いていく。周りの評価や監督、コーチを見返せるようにチーム一つにまとまってやっていきたいです」。最高学年の3年生たちが中心となって甘さをなくし、駒大高らしく勝利への思いの強さ、勝負強さを表現して勝ち切るチームになる。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2017

TOP