beacon

[関東]入学早々レギュラー掴んだ法大DF森岡陸、「過信があった」磐田トップ昇格逃した挫折

このエントリーをはてなブックマークに追加

法政大DF森岡陸は1年生ながら第2節からレギュラーとして試合に出続けている

[5.21 関東大学サッカーリーグ1部第6節 法政大1-2専修大 味スタ西]

 夏の近づきを感じさせるには十分なほどの日差しが照りつけていた。法政大は1-2で逆転負けを喫し、連勝が3でストップした。

 試合後には30分ほどをかけてミーティングが行われていた。「こういう暑い時にどれだけ走れるか。(長山一也)監督も言っていたんですけど、一番こういう試合を勝っていかないといけない」。1年生で早くもレギュラーポジションを掴むDF森岡陸は、「自分たちは後半、毎回悪くなってしまう。しっかりやろうと話していたが、弱さが出てしまった」と反省した。

 森岡はジュビロ磐田U-18出身。昨年は同チームで主将を務め、トップチームにも2種登録されていた。16年1月にはU-18日本代表としてロシア遠征を経験。ただ昇格も噂されていた森岡に吉報が舞い込むことはなかった。「上がれると言われていたけど、自分におごりがあった。今考えると過信があったと思う」。

 これまで世代別代表を多く経験してきた森岡にとっては挫折でもあった。現在韓国で開催されているU-20W杯に出場するDF冨安健洋(福岡)やDF舩木翔(C大阪)は、長年しのぎを削ってきたメンバー。「僕らの代はみんな仲がいい」と誇らしげに話すが、森岡以外のほとんどのメンバーはトップチーム昇格を勝ち取った。

「自分は対人のプレーは得意なんですけど、ビルドアップの部分でまだまだ。昨年、名波(浩)監督からキックを教えてもらったのですが、課題があります。その点、中山雄太君(柏)とかトミ(冨安)はビルドアップが出来る。そこが自分には足りないなと感じています。俺らの代で代表に入っていた選手はみんなトップに上がった。俺だけ上がってないということは何かが足りないと思い知らされた。もっともっとやらないといけないということだと思います」

 昇格が見送られた森岡には複数の大学からオファーが舞い込んだが、「何より監督に熱があった。絶対に上手くなると思った」と法政大への進学を決めた。「高校の時はキャプテンだからということもあって、下級生が準備しているところなどを上から見ていた。そういう日頃の行いが必ず試合に出る。今はまた1年生になったので、仕事をしっかりやろうと決めている。そういうところからしっかりやったら変わってくると思う。それが大学に入ってから試み始めているところです」。

 磐田への思いはチームを離れても強いものを持っている。先週19日には1学年後輩のMF伊藤洋輝のトップチーム昇格が発表された。「あいつはスーパーなんで。強気で天狗なところもあるけど、やるときは本当にやる。常に自分に自信を持っているところがすごい。自分もそれくらい自信を持たないとと思わせてくれる選手です」。

 3学年先輩で、早々に磐田への“復帰”を決めた筑波大のFW中野誠也についても「次の対戦相手は筑波なので、誠也君を止めれば自分のアピールになると思う。今日もスカウトの岡田隆さんが見に来てくれていた。絶対にアピールになると思う。次の試合は絶対に抑えて勝ちたいと思います」と対抗心を燃やした。

「(藤川)虎太朗や針谷(岳晃)にも負けたくない。やっぱりユースから誰も上がれなかったのに、高校生2人が入ったことは悔しい。目標は大井健太郎選手。すごく安定感があって、身長は僕と同じくらいですが、ヘディングも強い。声も出せて、キャプテンシーが凄い。そういうみんなに信頼される選手になりたい。チームを勝たせられる選手になりたいです」

 普段は「いじられキャラ」だという森岡だが、試合に入ると周囲も驚くほど、強気な一面が顔を出す。「試合に入ると人が変わったみたいだねってよく言われます。でもそれは嬉しいこと。オンとオフの切り替えがすごく出来ているということだと思うので」。大学サッカーにも「このレベルで満足してはいけない」と強気な姿勢で臨んでいる。「大学生活は楽しいですけど、サッカーのことでいっぱいにしたい。そしてジュビロに戻れるように頑張りたい」。ただ今は法政大でやるべきことがあると感じている。「自分がプロに行った時にどうできるかが大事。現状に満足せずに、常に練習から常に100%でやって、自分の最大値を上げていきたいです」。

(取材・文 児玉幸洋)
●第91回関東大学1部L特集

TOP