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「こだわっていること」貫いた成立学園が後半に大成の足止めて逆転勝ち!:東京

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後半12分、成立学園高は10番FW佐久間駿希が同点ゴール

[5.21 全国高校総体東京都予選1次予選2回戦 成立学園高 2-1 大成高 駒沢第2]

 21日、平成29年度全国高校総体「はばたけ世界へ 南東北総体2017」サッカー競技(宮城)東京都予選は1次予選2回戦を行い、3年ぶりの全国大会出場を狙う成立学園高大成高に2-1で逆転勝ち。駒場高と戦う1次予選決勝へ進出した。

 シード2校を含めた計10校が出場する2次予選進出を懸けた1次予選。2回戦屈指の好カードとなった成立学園対大成は前半、大成が積極的な守備でリズムを掴む。中盤の底の位置で身体を張るMF河原井陸(3年)らがボールを奪うと、左のテクニシャン、MF澤頭元希(3年)やFW安東瑞生(3年)が素早くボールを運ぶ。そしてMF井上雄斗(3年)らのシュートが成立学園ゴールを襲った。

 前半26分には大型の左SB元山尭(3年)が左サイド後方から蹴り込んだFKがそのままゴールイン。一方の成立学園はボールを保持しているものの、元日本代表MFの宮内聡監督が「ボール動かすのも、動かしているけれど遅い。裏につけたり相手の嫌がるところへ動かしていない」と指摘する内容。国体選抜MF米津天(3年)が個人技で相手の守備網を破ってシュートを打ち込むシーンもあったが、これをGK柴田憲伸(2年)にセーブされるなど、1点が遠い前半だった。

 それでもMF菅原克海(3年)が「もっとみんなでしゃべって、繋がって、雰囲気よくやって、相手よりも走ろうと」語ったように、切り替えて後半に臨んだ成立学園は12分、左SB中村海斗(3年)が狙ったミドルシュートがPA内右の位置にいたFW佐久間駿希(3年)の胸元へ。これを胸トラップして抜け出した佐久間が、冷静に左足でゴールへ流し込んで同点に追いついた。

 追いついた成立学園はMF鈴木皓主将(3年)と菅原のダブルボランチが献身的にボールを受けて、さばいてを繰り返しながら幅を使った攻撃を続けていく。すると、暑さと相手に動かされた疲労からか、前半からハイペースで飛ばしていた大成の選手たちの運動量が激減した。

 足を攣らせる選手が続出し、交代枠を使い切った後も足を攣らせる選手が続いて出てしまう。そして、完全に相手の足を止めた成立学園は後半37分に決勝点。FW窪田稜(2年)のスルーパスで左中間を抜け出したFW田村裕(3年)が、角度のない位置から右足トゥーキックでニアサイドのゴールを破って2-1とした。

 交代出場で決勝点を挙げた田村が「ピッチの外から見ていて前半は結構プレッシャー来ていると思ったんですけど、(自分が)ピッチに入った頃には前半の頃の勢いはなかったと感じました」と語ったように、徹底してボールを動かし、相手を走らせたことで果たした逆転勝利だった。宮内監督も「自分たちのこだわっていることで勝負を決められたのは良かった」と評価した1勝。前半に比べると、背後を狙う動きを加え、パススピードも速くして攻め続けた成立学園が1次予選決勝へ駒を進めた。

 成立学園は昨年、T1(東京都1部)リーグを制したものの、総体予選、選手権予選はともに勝てば全国大会出場という試合で敗れて全国に届かず。大事な試合で勝ちきれないことが続いているだけに、田村は「自分たちの代で変えていけたらと思います」と語り、菅原も「今年こそは全国に行きたい」と力を込める。自分たちのサッカーを貫いて勝ちきったこの日のように、どんな状況でも諦めずに攻めて、勝利を目指して全国切符を掴む。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2017

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