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日本代表メンバー発表、ハリルホジッチ監督会見要旨

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日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督

 日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督は25日、都内のJFAハウスで記者会見を行い、6月7日のキリンチャレンジ杯・シリア戦(味スタ)、同13日のW杯アジア最終予選・イラク戦(テヘラン)に臨む日本代表メンバー25人を発表した。

以下、ハリルホジッチ監督の会見要旨

バヒド・ハリルホジッチ監督
「最終予選の終わりがだんだん近づいてきた。これから毎回の合宿が決定的なものになる。今回の合宿に関してはシーズンの違う選手が多々いる。全員がシーズンが終わったわけではない。国内組はまだ戦いを続けている。そういったことも考えると、今回の合宿もまた違うやり方になる。しっかりトレーニングを調節しながらやっていかないといけない。2試合あるが、最初は親善試合。それからイランに行って、イラクと対戦する。最初の試合は東京で行う。あらためて試合をオーガナイズしてくれたキリンさんに感謝申し上げたい。

 なぜここでシリアと対戦するのか。シリアの前にはいろんな国からオファーがあったが、なかなか合意に至らず、最終的にシリアになった。(イラク戦が行われる)テヘランにできるだけ近づいて合宿をすることも考えたが、相手国から拒否されたというのもあった。海外組がバカンスで日本に帰ってきているというのもあるし、Jリーグが日曜日(6月4日)に試合があるので、アウェーに移動して水曜日(6月7日)に試合をするのが難しかった。シリアはイラクにすごく似ているチームだ。Aグループで(4位につけており、)プレーオフに回る可能性もある。フィジカルとアグレッシブさを兼ね備えたチーム。守備のデュエルが強く、統計上、最終予選(7試合)で3失点しかしていない。我々にとっていいテストになる。

 この試合のあと、決定的な試合が待っている。いろんなことに変更を加えながら準備したい。(イラク戦は)小さなスタジアムでやらざるを得ない。スタジアムの変更を要求したが、それは不可能だった。グラウンドの様子もしっかり見たが、良い状態ではなかった。2か月前、スタッフが現地に赴いていろんな改善にトライした。10日ほど前にもスタッフがイランに行って、グラウンド責任者と話をして、グラウンド状態を改善するように求めた。毎週、現地からグラウンドの状態が我々の耳に入ってきている。我々の選手はより良いグラウンドでプレーしたいと思っている。いつも良いグラウンドでプレーしているからだ。イラクに対して良いフットボールをするためのグラウンドではないかもしれない。すべてのディテールを見て、この試合をより良いものにするためのトライをしている。イラクに勝てば、最終予選突破に向けた大きな一歩を進めると思っている。私もすでに戦略を練っているし、まずシリアと対戦するが、おそらくイラクと同様にフィジカル、そしてアグレッシブに来ると思う。シリアという相手は良いチョイスをしたと思っている。

 この合宿では少しの変更を加えている。戦略に関してもあるが、何人かの選手のパフォーマンスに私が満足していないというのも含めている。変更する選手、新しい選手が加わってくる。ケガを抱えた選手がどのような状態で来れるかというのも様子を見るためのチョイスになる。2、3回ほど、ケガを抱えたまま合宿が進んだこともある。今回はそういうことも含めて25人の選手を呼ぶ。バックアップメンバーもいて、ケガのときには彼らが代わる。土曜日から合宿がスタートする。まずスタッフが集合して、日曜日には7人の選手が集まる。試合がまだある選手はその後、合流する。来週の最後には海外組が全員参加して、国内組は6月4日に試合をしたあと、Jリーグが終わってすぐ来る選手もいる。

 この合宿には3人のGKを呼ぶ。(川島)永嗣とヒガ(東口)はここのところ安定したパフォーマンスを見せている。長い間、西川、林を追跡してきたが、現在のパフォーマンスにあまり満足してない。5番目ぐらいの選手だったが、ここに入れている選手がいる。中村という若い選手だ。ここ最近、素晴らしいクオリティーを見せている。柏は2位につけているが、彼のパフォーマンスによるところが大きい。GKに関してもフィールドの選手に関してもパフォーマンスが良ければここに入る。私の場合はリストに必ず変更がある。2か月前に良かった選手が今も良いとは限らない。シリア戦、イラク戦に向けて最も良いパフォーマンスの選手が必要。我々の基準、厳しさが本当に合っているのか、これから様子を見ないといけない。彼次第だ。

 もう一度強調しないといけないのは(川島)永嗣のパフォーマンス、態度、行動の素晴らしさだ。メスとサインしたときは第3GKという立場だった。ただトレーニングを続けて、我々が呼んだときには毎回、本当に素晴らしい野心と気持ちを持って来てくれる。経験がある選手で、クラブで不遇な状態にいたが、日常のトレーニング、合宿中のトレーニング、GKコーチとのディスカッションを通して、最後の最後に席を勝ち取って、A代表で良いパフォーマンスを発揮してくれている。メスでも活躍を続けて、ある節では最も良い選手に選ばれた。これは一番良いメッセージになるのではないか。これだけ経験のある選手がトレーニングしながらパフォーマンスを維持している。そして若い選手も最近がんばってきている。いろんな人たちがこのスピーチを聞いてほしい。

 DFにいく。酒井宏樹、酒井高徳、長友。今までいた選手だ。宏樹はマルセイユで完璧な先発だ。高徳も良いシーズンとなった。またチームを救った。(長友)佑都はここ最近良いプレーをしている。佑都が自分のパフォーマンスを取り戻したのはうれしい。宇賀神は長い間ずっと追跡してきた選手だ。彼の監督とも話した。4バックの左として考えている。右もできると思う。右利きで、(浦和では)3バックの右センターバックもやっていた。過去にもこのポジションはいろんな選手をトライしたが、今度は彼の番だ。29歳。すごく若いというわけではない。経験もある。この合宿でどのような活躍を見せるか様子を見てみたい。

 センターバック。ここにも少し新しい選手がいる。(吉田)麻也はA代表で大事な選手で、クラブでも大事な選手になった。昌子は自分のクラブで伸びてきている。フィジカルも経験も伸びてきている。槙野もシーズンの最初は少し難しい状態が続いたが、パフォーマンスが戻ってきて、特にフィジカルが戻ってきた。槙野はもっとできると信じている。

 そして三浦という選手を入れた。ここ2、3か月、特に注意して見ていた。森重という選手がA代表でずっと先発を張っていた。丸山もいたが、ちょっと満足することができなかった。ここ2か月、この若い選手が特にフィジカル面でいいパフォーマンスを見せている。デュエルの空中戦、地上戦も強い。後ろからの組み立てでも賢さを見せる。この若い選手を信頼したいと思う。ちょっと植田を抜いているかなと思う。なぜなら植田は少しケガもあるからだ。彼もこの合宿中にどのような活躍をするか見てみたい。

 中盤ではみなさんがあまり知らない選手も入っている。(山口)蛍、遠藤。遠藤は後ろの真ん中気味でプレーしている。現在、もしかしたらデュエルで最も勝っているDFかもしれない。イラクのようなFWのパワーが強いチームにはいいかもしれない。浦和でも個人的にかなり良いパフォーマンスを見せているのが遠藤だと思う。

 今野はまだ少し確信を持てない。(負傷から)もう2か月も経っているが、クラブのメディカルスタッフ、テクニカルスタッフと密に関係を持って、ケガを治療しながらトレーニングを進めていると聞いている。本当に注意して見ている。フィジカル的にも、ボールを使って、グループに合流していると聞いている。我々のスタッフも向こうに派遣して、クラブと密に連絡を取っている。もしかしたら5月28日あたりに練習試合があるかもしれないということで、そこで45分か60分ぐらい出てほしい。そして6月4日の試合(J1磐田戦)に出場できればいいのかなと思う。そこで良ければ、しっかり合流してもらって、シリア戦でどうかというところだと思う。イラク戦にしっかり準備できているかどうか、現在のところ私に言うことはできない。ただ、イラク戦に間に合ってほしい。なぜなら彼のような選手が必要だからだ。中盤での存在感。守備面も攻撃面もヘディングも強い。相手もアグレッシブに来ると思う。今野のような選手はたくさんはいない。我々とクラブで連係を取っていきたい。

 そして、みなさんがあまり知らないであろう加藤という選手を入れた。1年かけて追跡している。ブルガリアのベロエというチームの試合を4試合ほど現地で見ている。ビデオでも何試合か見ている。もう一度言うが、4回ほど現地に行って見ている。彼はボールを奪う人という役割だ。それからしっかり組み立てもできる。このような若い選手をテストしてみたい。すぐにプレーさせるというわけではない。お互いを理解する時間が必要になる。今野がどうなるかまだ分からない。もしかしたらこのような選手が必要になってくるかもしれない。奪うところでアグレッシブさを持って戦える人間が彼だ。彼も28歳で、経験もあると思う。様子を見てみよう。

 それから(香川)真司。まだカップ戦のファイナルが待っている。それが終わったら帰ってくる。倉田はかなり可能性のある選手と感じている。彼の良さ、リズムの変化、方向の変化を加えてもらえればと思っている。守備でもボールを奪うことをしっかりやっている。時々、ファウルをし過ぎることがあるので、そこを改善してほしい。彼は清武との競争だ。ただ、この試合では彼を選ぶ。この試合では倉田や香川のような選手が必要になる。それから若い選手で井手口も入れた。彼も中盤でいろんなポジションができる。すべて今野の状態次第というのもある。ただ、井手口も常に向上を続けている。ものすごく伸びしろを感じる選手。数か月前、我々と一緒にプレーしているから、また帰ってくるということ。しっかり競争して周りにプレッシャーをかけてほしい。

 アタック陣。久保は継続して点を取っている。それから(本田)圭佑が戻ってきてくれたこともうれしい。点も取った。いつも圭佑を信頼して間違っていなかったなと思わせてくれた。確かに自分のクラブではたくさんプレーしていないが、トレーニングは厳しくやっている。なぜならミランは競争が厳しいからだ。つい最近の試合はエクセレントだった。FKで点も取った。彼がこのような試合をしてうれしい。ただ、A代表で席を取るためには戦わないといけない。これは全員へのメッセージだ。

 ちょっと難しいシーズンを送ったのが(原口)元気。いろんなチームの事情もあったのか。少し厳しめのディスカッションも彼とした。ここ2試合は素晴らしかったと思う。A代表で見せてくれたことをもう一度やってくれると期待している。それから乾。宇佐美との競争だったが、ここ最近、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれているので(選出は)ロジカルだと思う。最後のバルセロナ戦の得点もそうだ。少し良くない時期もあった。検査もしないといけない。合宿に間に合うかどうか、状況を見ないといけない。A代表に戻ってきてうれしい。クラブとA代表の役割は違うからしっかり説明しないといけないが、点を取ってくれる選手はうれしい。我々にとってうれしい情報だ。具体的に言うと、乾の足首がまだ分からないということ。うまくいくことを期待している。準備ができていなければバックアップメンバーを使う。

 真ん中の3人。大迫も少しケガがあった。ちょっと早く復帰し過ぎたかなと思う。病気もあった。病気のおかげで少しケガの回復が早くなったかなと。いい試合をして素晴らしいゴールも決めた。大迫がここにいることが大事。オカ(岡崎)は常にハーフは出ている。ここではもっと点を取ってほしいと思うが、パフォーマンスは常にいい。それから浅野。ここ最近あまり出てない。以前はいい試合をしていた。何かあったのかなと。浅野と武藤を考えたが、私の戦略ではこのような選手が必要になる。ディテールには入らないが、イラク戦最後の15分、相手の背後を取って相手をきつくする選手が必要になるかもしれない。そういう選手はあまりいない。浅野や武藤はそういうのを突ける選手だ。

 ここ最近、国内リーグでも何人かいいものを見せている。興梠、金崎、杉本。杉本のことは昨年も話したが、今も伸びている状態。興梠、金崎、それから小林(悠)に関しても定期的にいいパフォーマンスを出すことができればこの競争に入ってくる。ここにいないからといって次も呼ばないわけではない。この合宿では若い選手もいる。私のチョイスが良いメッセージとなることを期待している。良いパフォーマンスの選手、資格のある選手がいればだれでも呼ぶということ」

―今野が負傷を抱えているが、もっと人数を多めに呼ぶことも可能だったのではないか。負傷離脱中の長谷部は今回の合宿に関わるのか?
「今野とは常にコンタクトを取り続けている。午前と午後に連絡を取り合っている。スタッフも今野のところに行かせてディスカッションを重ねている。できるだけ早くプレーしてほしいと期待している。イラク戦では彼がUAE戦でやったような役割が必要であり、彼が必要だ。イラク戦の前に2、3試合こなしておいてほしいというのが願いだ。2か月間プレーしていないというのが、影響として残るかもしれない。ただ、攻守にわたって運動量の多い選手で、彼の気持ち、フィジカル面にも素晴らしいものがある。テクニックで相手を凌駕するというより、フィジカルで相手を凌駕するということ。そういうことも考えているので、45分、60分と試合をこなして、シリア戦で様子を見たい。そこでイラク戦の準備ができているかどうかが分かる。G大阪のテクニカルスタッフ、メディカルスタッフも非常に協力的で、クラブと代表が一緒になって好ましいパフォーマンスを出していけたらと思う。

 長谷部に関してだが、内田に関しても付け加えたい。今回は我々とは一緒にいない予定だ。長谷部はすでにトレーニングを開始しているが、ちょっと無理をして、痛みを感じているとも聞いている。今はちょっと運動を止めている感じだと思う。長谷部に関して不安はない。なぜなら彼の経験、メンタリティーを知っているからだ。次は我々と一緒にいられると思う。内田に関しては少しまだ不安が残っている。ちょっと彼の不在は長い。もう一度ハイレベルなパフォーマンスを取り戻すのはもしかしたら難しいかもしれない。素晴らしい能力を持っている選手なので、素早くパフォーマンスを取り戻してほしい。彼が良いパフォーマンスを見せる日を本当に心待ちにしている」

―加藤選手のプレーの特徴は? 4回現地に行ったときに会話はしたのか。
「加藤は約1年、追跡している。4回ほど我々のスタッフが現地に行って見ている。少し(山口)蛍に似ている。アグレッシブで、いい組み立ても持っている。攻撃でも良いパスを出せる。守備の修整役も担える選手。良いパスを持っているので、もう少し攻撃的に行ける可能性もある。蛍よりはパワーがない感じだが、予測とアグレッシブでレベルの高い選手だと思う。長い期間でいろんな選手にトライした。高萩は前回いたが、小林祐希もトライした。柴崎岳に関しても最近のパフォーマンスはうれしい。忘れていない。永木もいて、たくさんの選手を呼んで、トライした。私の目で直接見て、彼の能力を判断したいということ。すぐにプレーさせる予定ではない。まず知りたい。

 他の選手も考えている。(小林)祐希はずっと先発で出ている。彼ともディスカッションしている。祐希の場合は守備でもう少しアグレッシブにボールを奪うところが課題になる。テクニックのところは悪くない。ただ、考えないといけないのはイラクとの試合。グラウンド状態が悪いままかもしれない。ボールを奪うところでアグレッシブに行ける選手が必要になる。そういうタイプの選手が良いプレーができるのではないか。そういうことも踏まえて、こういった選手を呼んでいる。彼らが代表に定着するかは分からない。競争がある。より可能性の高い、より良い選手を呼ぶトライをするだけ。中盤は7人呼んでいる。普通は6人だ。7人目として加藤を少し知るために呼んでいる。他の選手を忘れたわけではない。大島も忘れていない。残念ながらまたケガをしたというのも聞いている。それまではかなり良いプレーをしていた。このポジションには本当にたくさんの選手がいる。A代表に入るにはかなりよい試合をしないといけない」

―アウェーでは対策を練って相手に合わせる戦い方をしてきたが、対イラクということで戦術にアレンジがあるのか?
「アウェーの準備ということだが、UAEとの対戦を思い出してほしい。国内でよりパフォーマンスを発揮する、つまりチームを勝たせる選手がいた。右サイドに10番のオマルがいた。ただ、右から中に入ってくる選手だった。だからそこにまず佑都を考え、今野を考え、彼らがコントロールしてほしいということを考えた。戦略としては相手に長所を出させないということ。他の選手をフリーにしたほうがいいと。組み立ての正確性を出させない戦略を取った。10番、7番、彼らが違いを生む。90%違いを生んでいた選手。イラクも長所がある。UAEよりアグレッシブ。テクニックはオマルほどないかもしれないが、自分たちの国では特にアグレッシブさがある。

 もう一回言うが、グラウンド状態がキーになる。グラウンド状態が悪いと、短いパス中心の組み立てができない。つまり空中戦、ロングボールが多くなると予想している。その空中戦に勝つ想定、セカンドボールを奪う想定をしないといけない。向こうは3、4人の選手がドリブルで向かってくる。そこでしっかりボールを奪う。できるだけ早くボールを取る。そして速く背後に行くことが有効になるかもしれない。私はこうやって戦略を練る。相手の短所もある。短所をしっかり突くということ。ただ、長所もある。長所を消しに行くということだが、その準備のための選手を選んだ。

 戦いが大好きで、ボールを奪うことが大好きな選手が必要になる。1か月、1か月半、考えた末のリストだ。それを踏まえたうえで新しい選手がいる。相手に対してどうするか。それを個人に伝え、グループに伝える。我々はテヘランのグラウンドで練習したことがある。ボールは跳ねる。テクニックがあまり使えないかもしれない。ダイレクトなプレーが必要になるかもしれない。個人の素早い動きが必要になる。常にフィジカル的に戦えるかが重要になる。FKで存在感を出していかないといけない。相手にはかなりうまい左利き、右利きがいる。空中戦に強い選手もいる。そういう相手に対して、今野がかなり有用だと思っている。今野、倉田、香川と違う選手だと、また違う状況を生む。4番目、5番目の選手も必要になる。そういうことも含めて戦略を練っている。

 我々も相手を苦しめることができる。我々は常に得点している。最初の15分と次の15分とでは、次の15分のほうが良くない。今回はフィジカルコンディションもキーになる。海外組はシーズンが終わって、何人かはバカンスに入っている。選手には厳しい要求をする。気を緩めるなと。最後の15分は特に体力のフレッシュさ、集中が大事になってくるかもしれない。相手は監督を替えたばかりだ。まだ確実な情報は入ってきていないが、おそらくイラク人がやるのではないか。新しい監督は必ずいろんなことを仕掛ける。(イラクの試合は)各試合、2、3回ずつ繰り返し見た。前回の日本戦も見た。何回かきつい状況に追い込まれた。サウジアラビア戦はイラクが支配して、最後の5分でPKを決められ、それで負けた。

 もっと重要なことがある。いろんな人とディスカッションしているが、一番心配なのは『いつか最終予選突破できるよ』と。『毎回、最終予選はきつかったけど必ず突破しているよ』という人がいる。その罠に引っかかりたくない。まだ突破していない。1位にいるが、最後にサウジアラビアの首都で試合が待っている。できるだけ早く我々の問題を解決したい。だからまずイラクに勝利しないといけない。それによってオーストラリア戦がファイナルになるかもしれない。これは同じではない。勝利と引き分けでは、もしかしたらオーストラリア戦は引き分けで十分になるかもしれない。ただ、まだホームでオーストラリアに勝ったことがないという歴史もある。今回の合宿は重要という言葉以上の重要性がある。勝利を厳しく厳しく要求して、最終予選を美しく終われる準備をしたい。(最終予選は)本当に悪い状況からスタートした。敗戦からスタートした。今はまあまあ良い状態にいるだけ。美しく終わりたい。選手には厳しく合宿で要求する。疲労とか、クラブの変更とかは置いておいて、日本代表に犠牲心を払ってほしい」

―西川、森重、清武、宇佐美は長い間一緒に仕事してきた選手だが、彼らを外すときに躊躇や迷いはあったか?
「彼らを完璧に外したわけではない。他の選手が良かっただけだ。私は就任当初から同じ発言をしているが、より良い選手に資格があるということ。完璧に外したわけではない。ジャーナリストのみなさんがいろいろ書き立てるのはいいが、現在のパフォーマンスでチョイスしているだけ。一番いい証明として、今野はずっと呼ばれていなかった。そのときはパフォーマンスがよくなかった。しかし現在、今野の評価はどうか。しかも34歳だ。みんなに門が開いているということ。良いパフォーマンスでないときも自分の立場があると思っている選手がいたら、それは間違いだ。ずっと先発を張っていた選手を私は簡単に変更し、若い選手をプレーさせたが、彼は良いパフォーマンスを見せてくれた。

 選手のことはみんな大好きで、優しい性格で、そこは問題ない。彼らにもしっかり説明したい。しっかりトレーニングして、良いパフォーマンスを見せて、席を奪えと言いたい。『外した』という言葉はあまり使わないでほしい。外していない。より良い選手を選んだというだけ。西川は今まで先発だった。しかし、パフォーマンスがよくないということで違う選手が入った。試合で良いパフォーマンスを見せている選手が入った。永嗣もそう、東口もそう。いい試合をしている。パフォーマンスに関して、これでは満足できないなという考えでチョイスしている。私は代表ではその基準を崩さない。今まで日本では使われていなかったやり方かもしれないが、私のやり方はこうだ」

―今野と乾は状態が悪ければイランには連れていかない選択肢もあるのか?
「今野に関しては説明したが、彼の経過を見ている。毎日、電話をして連絡を取っている。フィジカルトレーニングを重ねて、ボールを使いながらグループに合流していると聞いている。5月28日に練習試合をするとも聞いている。それから6月4日に試合(J1)がある。そこまでいけば、シリア戦に出られるかどうかを判断したい。この3つのテストができればうれしい。そうすればイラクで試合ができるかどうかを判断できる。

 乾に関しては直接見ていない。昨日帰国したばかりで、明日検査すると聞いている。その検査結果で様子を見たい。日曜日(28日)の朝に顔を合わせるので、メディカルスタッフと彼と三者面談をして、もしできないなら他の選手を呼ぶだけ。ちょっとの微妙なことでも他の選手を呼ぶかもしれない。ただ、1週間かけて治る可能性もある。親善試合とイラク戦はまったく違う状況。イラクに対しては100%準備できている選手が必要だ。今日の経過だけではすべて正確なことは言えない。ただ、みんなA代表にまた来れたということを喜んでいるはずだ。私は競争を生んでいる。呼ばれていない選手も努力して、ここに戻ってきてほしい。W杯を準備しているんだとみんなに言いたい。W杯に向かうためにもっともっとレベルを上げて準備したい」

(取材・文 西山紘平)

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