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鹿児島実が鹿児島工に4発快勝!“鹿実らしさ”多く持つ世代が次の「決戦」乗り越えて全国狙う

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中盤で強さを発揮した鹿児島実高MF原薗涼

[5.25 全国高校総体鹿児島県予選準々決勝 鹿児島工高 0-4 鹿児島実高 鹿児島県立サッカー・ラグビー場A]

 平成29年度全国高校総体「はばたけ世界へ 南東北総体2017」サッカー競技(宮城)鹿児島県予選準々決勝が25日に行われ、2年ぶりの全国大会出場を狙う鹿児島実高が鹿児島工高に4-0で快勝。鹿児島城西高との準決勝(26日)進出を決めた。

「戦いですから」。鹿児島実の森下和哉監督は鹿児島城西と準決勝の対戦が決まると、この試合が魂と魂のぶつかう戦いになることを口にしていた。まさに「決戦」「決闘」となると評された大一番。相手を本気で倒す気持ちの強さがなければ乗り越えられない戦いへ向けてMF峰松朋哉主将(3年)も「内容はともかく走った者勝ちになるかなと思います」とライバルを気持ちで上回ることを宣言していた。

 この日は峰松が「まず原点である球際、セカンド(ボール)、1対1、空中戦、絶対にその4つで負けなければ“鹿実らしさ”が出るというところで、伝統でもあるのでそこをしっかりやっていれば自分たちの流れが来る。(きょうも)空中戦とか球際ではしっかり勝てていた」と振り返ったように、鹿児島実は前半から相手を上回るサッカーを見せた。

 4分に10番FW西一斗(3年)の右FKを峰松が合わせて先制点を奪うと、13分には左サイドから仕掛けたFW山本啓人(3年)が相手のオウンゴールを誘発して2-0と突き放す。さらに25分にはMF福井悠(2年)が右足ミドルを突き刺して3点差で前半を折り返した。

 ともに180cmの西と山本を起点に右MF峰松、左MF木藤優斗(1年)の仕掛けなどから押し込む鹿児島実に対して鹿児島工もCB野口晴生(3年)が空中戦で奮闘していたほか、MF原口壮太(3年)やFW深水皓介(3年)の攻め上がりなどから反撃しようとする。

 だが、181cmボランチのMF原薗涼やCB徳田順哉(ともに3年)らが球際の攻防で上回る鹿児島実は相手をゴールに近づけず、後半の被シュート数はゼロ。攻撃面では崩しきれないシーンが続いたものの、鹿児島工がGKも攻め上がって1点を取りに来た後半35分、セットプレーから一気にカウンターを繰り出す。GK有村海斗(3年)が左オープンスペースへボールを入れると、追いついたMF濱田宗次郎(3年)が折り返し、最後は山本が左足シュートを決めて試合を締めた。

 昨年、鹿児島実は県内大会で8強の壁を越えられなかった。その中で迎えた今年も新人戦は県8強で敗退。それでも強くなるために必要なものを純粋に、貪欲に取り入れようとする姿勢が今年のチームにはあるという。

「姿勢からちゃんとしよう。サッカーで勝つために、嫌な守備からキチンとやろうと。強くなるために必要だということを吸収しようとしている」(森下監督)。それに対して峰松は「自分たちの学年は一個何かをしろと言われたら全員の意志がひとつになれるのが特長」と今年のチームのまとまりの良さと向上心の高さを口にしていた。

 全国高校選手権優勝2回の名門は今年、下部組織のFC KAJITSU U-15を発足。少数精鋭のクラブチームを立ち上げて“中高一貫指導”をスタートした。再び全国の頂点に立つためへの改革が始まった今年、メンタル面と身体の強さなど“鹿実らしさ”を多く持つ現3年生たちが全国切符を掴むか。まずは準決勝。山本は「去年はこの壁(県内の戦い)を越えられなかった。今年はみんなで乗り越えて、ここで一安心せず、もう一回締めて、4校の中で自分たちが勝ち抜いていきたい」。鹿児島城西との大一番を制して全国出場へ王手をかける。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2017

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