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“エースキラー”MF金原らが奮戦。11年ぶり静岡4強の浜名は好守で静学苦しめるも……

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浜名高MF金原翔(左)が静岡学園MFが渡井を徹底マーク

[5.28 全国高校総体静岡県予選準決勝 静岡学園高1-0 浜名高 草薙陸上競技場]

 MF松浦拓弥(現磐田)らを擁して優勝した06年度以来、11年ぶりに静岡4強へ勝ち上がってきた浜名高は後半終了間際の失点によって敗退となった。

 この日は静岡学園高のエースMF渡井理己主将(3年)をMF金原翔(3年)がほぼマンツーマンでマーク。内藤康貴監督は「(金原は)守備能力が高い。渡井のところは速いので。昨日の清水桜が丘戦も(相手の注目エースである)白井(海斗)のところを前向きにプレーさせずに守ってくれたので、きょうも同じイメージを持って」金原を相手エースにぶつける。

 その金原は期待に応えるプレー。渡井との距離感をよく詰めて味方との連係でボールを奪うなど、渡井に中央で思うようなパフォーマンスをさせず、相手のキーマンをトップ下から右サイドへと追いやった。金原だけでなく、浜名は各選手が守備意識高く、局面で数的優位をつくり、挟み込んで守る部分などを徹底。そして最終ラインではCB丸修平(3年)やCB田住龍司(2年)らが良くシュートコースを塞いで相手に決定打を打たせなかった。

 また、浜名は静岡学園MF渡井が「すぐ剥がされたりしていた」と振り返ったように、奪ったボールをしっかりと一本縦に繋いで、そこから攻撃に移っていた。ポジショニング良くボールを受けるMF矢澤青大(33年)やMF山崎真吾(2年)らへ縦パスを通し、またMF染葉達希(3年)の精度高いミドルパスや、FW伊藤綾介(3年)のスピードも相手の脅威となっていた。

 だが、「『一本取るぞ』とはずっと言っていたんですけど……」(内藤監督)。PAを1タッチパスで崩すチャレンジもしていたが、ゴール前で精度の高い攻撃をすることができず。1点をもぎ取ることができなかった。そして、「最後はPKでもと思っていた」(内藤監督)という思いとは裏腹に後半アディショナルタイムにCKから失点。悔しい敗退となった。

 それでも、今回の総体予選は西部地区予選を1位で勝ち抜き、県大会でもプリンスリーグ勢の清水桜が丘高をPK戦で撃破。全国高校総体優勝歴を持つ伝統校が存在感を示した。近年はボールを大事に判断良く攻める部分が強調されてきたが、ディフェンス面が強化されたことによって、結果にも結びついてきている。

 今回出た課題を改善して選手権で復権に再挑戦。「もっと自分たちで主導権を握る時間を増やしていきたい。ずっとそれをやってきた。新しいこともやりながら守備も、攻撃も改善して、もっと攻撃の時間が長くできるようにしたいし、させるようにしたい」(内藤監督)。この日、内容の良いサッカーで惜敗した浜名は、より成長を遂げて、内容と結果の両方を手にするチームになる。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2017

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