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ドイツ2年目の戦いを終えたマインツ武藤嘉紀、ブンデスで最も衝撃を受けた選手は?

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 ドイツでの2シーズン目を終えたマインツのFW武藤嘉紀。怪我で思うようにプレーできない時期もあったが、ブンデスリーガで武藤は何を感じ、どのように成長してきたのか。さらに新しい“相棒”となる『NEMEZIZ(ネメシス)』についても語ってもらった。
(協力 アディダスジャパン)

―ドイツでの2シーズン目で成長したところ、変わったところを教えてください。
「自分で成長したと思うのはメンタル面ですね。色々な考え方を持てるようになりました。特に怪我をした後、コンディションが上がらないときに何をやっても自信がないようなプレーをしてしまったり、自分が思っているようなプレーを出せないことが多くありました。そういった中で、自分のプレーにおいて迷いがあったり、怖さがある方が逆にもったいないと思うようになりました。チャンスをもらっている以上、そこでミスをしまっても、ミスを恐れてプレーするよりかは、ミスをしてでも自分が思ったプレーをした方が絶対自分にとってプラスだなということに気付きました。本当に自分が表現したいこと、自分がやりたいことを前面に出すようになって、コンディションもどんどん上がっていきました」

―ターニングポイントとなった試合は?
「ライプツィヒ戦ですね。その試合は負けましたが、0-2で負けている中、僕は途中から出場しました。その時、定まったポジションというものを得られていなかったので、とにかく出たら『必ず点を取ってやる』『誰が何と言おうと自分がゴールを決める』『自分が思ったようにプレーする』と意識してピッチに入りました。すると、コーナーキックからゴールを決めれることができて、それ以外にも入った直後にいいプレーがあったり、自分が点を取るという気持ちを前面に押し出すことができていたので、そこから先発で出れるようになりました。あの試合はターニングポイントですね」

―メンタル面が強くなった一方で、課題だと感じていることはありますか?
「ゴール前で落ち着いてプレーすることですね。日本人はキーパーとの1対1で緊張してしてしまう、バタついてしまうことが自分自身もありますし、そういった選手が多いと思います。ですが、外国人選手は1対1の場面でキーパーとの駆け引きを楽しんでいます。ゴール前で冷静にキーパーの位置を見てゴールに流し込んだり、そういったシュートの精度も長けているので、そこは自分ももっともっと成長させていかないといけないと思いますし、そういった駆け引きを楽しめる選手になりたいと思います」

―15年7月に結婚、昨年第一子となる長女が誕生しました。そういった面はプレーに影響していますか?
「直接プレーにつながるかはわからないですが、食事の面のサポートだったり、自分が怪我をしたときに支えてくれたのは家族でした。そういったときに自分一人だったら、立ち直れなかったかもしれないですね」

―怪我に苦しみましたが、復帰までの間に取り組んだことは?
「筋トレだったり、復帰した後に自分にとってプラスになると思ったことを全部やりました」

―復帰は1月22日に行われたケルン戦でした
「(期待よりも)不安の方が大きかったですね。(右膝を)何度も怪我をしているのですごい不安が大きかったです」

―その不安が払拭されたのはいつ頃ですか?
「わからないですけど、だいぶかかりましたね。完璧に痛みが取れていたというわけではなかったので。だいぶかかりましたけど、自分が思うようなプレーができるようになってから徐々に不安だったり、痛みも気付いたらなくなっていました」

―ドイツに来てプレースタイルの変化はありましたか?
FC東京時代はもっと自分でガツガツとドリブルだったり、仕掛けたりしていました。ですが、それだと体の大きい選手やフィジカルの強い選手に対して不利のなので、仲間を使って、また自分が出ていく…効率の良いプレーができるようになりました」

―フィジカル面で取り組んでいること、意識していることは?
「体のぶつけ方を意識しています。面と面でぶつかったら分が悪いので。大きさも骨格も違いますから。だからこそ当たらない意識だったり、先に体を当てたり、いなしすことも意識しています。ぶつからないといけない時もありますが、そこで僕は体格がドイツ人よりも劣っているから、負けてOKっていうことは絶対に認めたくないので、だからこそ人一倍トレーニング、筋トレもやっていますし、ぶつかったときに負けないからだ作りをしているつもりです」

―筋トレは高校生のときから?
「高校生のときは、筋トレのノウハウをあまりもっていなかったので、トレーナーが勧めてくれた体幹トレーニングだったり、体が細かったのでベンチプレスだったり、いろいろなことを試して自分に合ったものを続けるようにしました」

―他にやってきたことはありますか?
「上半身のトレーニングですね。積み重ねないと成長はないと思います。それが筋トレにしても、サッカーにしても積み重ねこそが一番の武器になると思います。そこは自分への投資じゃないですけど、怠らずにやっていかなくてはならいないと思います」

―ブンデスリーガについてお聞きします。バイエルンと対戦して感じたことは?
「やっぱり一人ひとりがミスしないですね。簡単なミスがない、そして的確な判断ができる。2つの選択肢があったら必ずいい方の選択肢を彼らは選べる。だからこそボールも取れないですし、ほとんどの時間でボールを保持されます。あとは一人ひとりが自信をもってプレーしていますね。誰も仲間に媚びを売ったりしていません。自分が思ったことを発言するし、それをプレーで示している。ピッチ内外で仲がいいかと言われたら、見た感じ仲は悪いんですよ。でもそれが強い集団なんだと思います」

―日本人より外国人選手の方が自我が強いと感じます。
「そこが違いますね。僕がPKを取っても(ボールを)奪いに来ますからね。現にチーム内で決まっていることもありますけど、今シーズン2回とも他の選手に蹴られました。日本人は規律に従ってしまうところがあって、そこがいいところであり、逆に悪いとこでもあると思います。でも、人が取ったPKでも自分が蹴るという意思だったり、外国人選手はその結果が評価されるとわかっているから奪いに来るので、自分も少しエゴイストにならないといけないのかなと思います」

―2シーズン、ドイツでプレーしましたが、最も衝撃を受けた選手は誰ですか?
「1シーズン目から衝撃を受けていたバイエルンのチアゴ・アルカンタラですね。僕はフォワードなので、だいたい相手の後方からボールを奪いにいきます。取れると思ったら取れるんですが、チアゴに関しては後ろに目がついているんじゃないかと思うぐらい逆を突かれてしまいます。チアゴはそれも想像して次のタッチをしていると思います。あとはドリブルの質だったり、パスの質、全部に衝撃を受けました」

―ちなみに、バイエルンは準々決勝で敗退となりましたが、UEFAチャンピオンズリーグ決勝はレアル・マドリーユベントスのどちらが優勝すると思いますか?
「ユベントスかもしれないですね。やっぱり守備の堅さと安定感ですね。あれだけ守備が堅いとレアルの攻撃陣はイライラしてくると思いますし、そういった中でユベントスは守備が強いだけじゃなくて、攻撃力もすごいので、そこで1点を先に取ってしまえば、ユベントスに分があると思います」

―来季に向けて必要だなと感じていることは?
「結果ですね。まだまだ今の結果では満足していないので、誰もが認めてくれる結果を出したいと思っています」

―日本代表に定着するために必要だと感じることは?
「定着するためには海外で結果を残し続けること。それと日本代表に呼ばれたときにも結果を残さないといけないと思います。呼ばれただけだと引き続き呼んでもらえない。その2つが一番大事かなと思います」

―日本がW杯に出場して20年が経ちました。次の20年で日本のサッカーはどう変わっていないといけないと思いますか?
「どこの国も成長すると思うので、一概にこのレベルまでというのはないですけど、メダルを争えるような国になっていたら素晴らしいなと思います」

―武藤選手は海外挑戦を選択しました。海外挑戦をして良かったと思うところを教えてください。
「見たことがない景色が見れること、自分の感じたことのない世界を見れることですかね。それは日本では絶対に味わえないです。うまくいかないことの方が多く、海外ですべてうまくいく選手はいないと思います。イヤなことだったり、チームメイトから罵倒されることもありますが、そういった逆境を感じられるのも海外の良さだと思います。それを乗り越えたときにメンタル面においても、サッカー選手としても成長できると思うので、悩んでいる人がいるなら海外に挑戦してほしいですね」

―最後に新スパイク『NEMEZIZ(ネメシス)』についてお聞きします。履いてみてこれまでのスパイクとの違いを教えてください。
「やっぱりフィット感ですね。(これまで履いていた)エースよりもスパイクが自分の足を包んでくれているという感覚を感じられます。あとはアジリティの動き。そこで中ズレがないので、自分の思った動きがそのままできるスパイクじゃないかなと思います」

―このスパイクを履いて、来シーズンはどういったシーズンにしたいですか?
「本当に自分に合ったスパイク、今までパーフェクトだなと思ったスパイクはそんなにないですが、このNEMEZIZに関しては『キタ!』なと思いました。自分のプレーにも合っていますし、自分の足にも合っています。自分の良さが最大限に引き出せるスパイクという実感を得ているので、今までの自分よりもさらにゴールだったり、結果を出すようなところを見せたいなと思いますね」

―来シーズンでこだわるところはゴールですか?
「もちろんそうですね。フォワードである以上、ゴールの数というのが評価材料になるので、このスパイクで得点を量産できればいいなと思います」


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