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「胸にもう一個星をつける=全国制覇」へ!富山一が5試合で計63得点無失点の圧巻V!富山

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目標の全国制覇へ向けてまず富山県予選を突破した富山一高

[6.4全国高校総体富山県予選決勝 富山一高 4—0 水橋高 高岡スポーツコア]

 平成29年度全国高校総体「はばたけ世界へ 南東北総体2017」サッカー競技(7月開幕、宮城)への出場権を懸けた富山県予選決勝が4日に行われ、富山一高水橋高が激突。4-0で勝った富山一が4年ぶり26回目の全国総体出場を決めた。

 5試合で計63得点無失点。富山一がライバルたちに力の差を見せつけて富山の頂点に立った。それでも、MF多賀啓志朗主将(3年)は目標へ向けた“通過点”であることを強調。「(過去3年間予選敗退した)先輩たちの借りを返すことができたので、とりあえずホッとしました。日本一を目標としてスタートしてきたので、ここからという気持ちです」と“本当の戦い”へ向けて邁進していくことを誓っていた。

 富山一は大塚一朗監督が「(12年の)イタリア代表やユベントスを参考に映像を見せながらやっています」という3バックの3-5-2システム。FW坪井清志郎(3年)とFW大竹将吾(3年)という全国屈指の強力2トップを擁する富山一は試合序盤から長短のパスと、DF中田青(2年)、DF松本楓大(3年)のロングスロー、推進力のあるMF前田拓哉(3年)とMF高縁海(3年)の突破など多彩な攻撃から次々とフィニッシュまで持ち込んでいた。

 シュート精度欠くなど先制点を奪うことができない時間が続いたが、それでも16分、富山一はMF小森颯(3年)の右CKをGKの前に飛び込んだ中田が頭で決めて先制点。一気に相手を飲み込むかと思われたが、水橋は崩れない。個々が人にしっかりと付いて富山一アタッカー陣に自由を与えず、危険なシーンではCB鍋田純志主将(3年)やCB廣田隆良(3年)がインターセプトするなど相手の攻撃をよく凌いでいた。

 そして後方からボールを繋いでリズムを作ると、10番MF金木亮とMF新庄力也(ともに3年)のコンビでハイサイドを取るなど攻め返す。だが、上田裕次監督が「奪ってから起点に合わせるボールの意図が合っていなかったりしていました。チームとしてしっかりFWの子に収めていれば自分たちの守備を整える時間も作れたり、シュートまで行ける時間もあったと思うんですけど」と指摘したように、相手のプレッシングの前に前線で起点をつくることができず、慌ててクロスを放り込んだり、スペースへ蹴ったボールを拾われてまた攻められる展開になってしまった。

 逆に富山一は34分に大竹と坪井が2人で決定機を作り出してしまうなど、粘る水橋を局面局面で上回って来る。そして後半2分、富山一は左サイドの中田からパスを受けた坪井がPAで相手DF2人を鮮やかにかわして左足で追加点。すると、8分には中盤での攻防戦からボールを拾った高縁が右足ミドルを左隅に決めて3-0と突き放した。

 さらに多賀の右足ミドルなどで攻め続ける富山一は28分にも中田の左ロングスローを前田が頭で合わせて4点目。水橋は後半、ボールを奪いきれなくなり、終盤の連続攻撃も得点に結びつけることができなかった。

 富山一は今大会、けが人が多く万全では無かったものの、今年の選手たちの特長を活かした3-5-2の陣容でチーム、個人が力を発揮。ライバルたちをねじ伏せた。今年はプリンスリーグ北信越でも開幕6連勝を飾って首位をキープするなど、より高いレベルの戦いでも強さを示している。

 もちろん、ボール回しの細かい精度、セットプレーの守備などを修正することが必要。県予選では多少アバウトな攻撃でも攻めきれてしまう部分もあった。その上で大塚監督は「(胸のエンブレムに)星をもう一個つけたい。歴史変えて行こうよ、と言っています。コンディションが万全ならばもっとできると思うんですよ」と期待を寄せる。

 中田が「優勝してもう一個星をつけたいです」と語るなど、各選手たちも口々に「全国優勝」を口にするなど、チームの目標ははっきりとしている。多賀は「個の能力は高いと思っているので、あとは突き詰めるところを突き詰めていけば。日頃の行いとか、細かい所を突き詰めていかないと日本一には届かないと思っている」。簡単に目標が達成できるとは思っていない。だが、ポテンシャルは十分にある富山一。北信越勢として初の日本一に輝いた13年度選手権に続く「星」をユニフォームに加えるために、日頃から突き詰めて、貪欲に成長を遂げて、全国総体で目標に挑戦する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2017

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