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またも夢破れたブッフォンとユベントス…カーディフの夜にハッピーエンドは訪れず

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ジャンルイジ・ブッフォン

 試合終了のホイッスルが鳴った時、ミレニアム・スタジアムの至る所で白と黒のユニフォームに身を包んだ観衆は涙し、この敗北に大きな痛手を受けた。なぜなら本来であれば、今回こそ違う結末を迎えるはずであったからだ。

 ユベントスが勝つはずだった。だが、勝てなかった。またもファイナルで敗れたのだ。

 もっとも、CLで最多の優勝回数を誇るレアル・マドリーが4-1で勝利したことは驚くべきことではないのかもしれない。幾度も大会制覇を成し遂げてきたレアルは6億3820万ユーロ(約790億円)を費やしたスーパースターの集まりである。これはユーベより2億1590万ユーロ(約270億円)も上回る額だ。

 しかし、ユーベは2015年のCL決勝でバルセロナに1-3で負けを喫した時、何か手応えをつかんだはずだった。

 バルサに敗れて以来、選手たちは十分に成長し、スカッドも強化された。昨夏、9000万ユーロ(約112億円)でFWゴンサロ・イグアインを獲得した時には、ヨーロッパのエリートクラブとピッチ内だけでなく外でも競えることを示している。

 実際に補強は成功した。セリエAでは前人未到の6連覇を成し遂げ、チャンピオンズリーグでは無敗でファイナル進出を果たし、12試合で失点はわずか3というほどの完成度の高さであった。

 カーディフで失意に沈んだ夜、ユベントスは前後半の90分で4失点を喫したが、それはおそらく悲嘆に暮れた夜の中で最も受け入れがたい結果だっただろう。

 イグアインが前半開始5分で2度に渡ってレアルGKケイラー・ナバスを脅かすなど、試合序盤は攻めの姿勢を見せたユベントス。20分にカウンターからFWクリスティアーノ・ロナウドに先制点を奪われるも、その後チャンピオンの可能性を思わせるに相応しい素晴らしい反撃を見せた。

 DFレオナルド・ボヌッチからDFアレックス・サンドロ、イグアインに渡ったボールは、一度も地面につくことなくFWマリオ・マンジュキッチへ。そしてマンジュキッチは即興的なオーバヘッドでゴールへ叩き込んだ。

 ハーフタイムを迎えた時、勢いは完全にイタリア王者のユベントスにあった。だが、それはインターバルの15分間で失われ、そこから悲惨な結末への道を辿ることとなる。

 ポゼッションをレアルへと明け渡し、ユーベは完全に彼らの背中を追うこととなった。さらに失望するべきは、数人の選手は追いかけることさえ止めてしまったことだ。

 そしてC・ロナウドの先制点同様、レアルにとって重要な2点目をカゼミーロが蹴り込んだ。力強く放たれたロングシュートはユーベDFに当たり、軌道が変わったことで得点となったが、サミ・ケディラの足をかすめなくともブッフォンの手に阻まれることはなかっただろう。

 ユーベは再度気持ちを切り替えて反撃する必要があったが、彼らはただただレアルのペースにのまれ、遂には困惑とフラストレーション、悲しみに打ちひしがれた。

 マッシミリアーノ・アッレグリ監督は、ハーフタイムで選手たちに何を伝えたのだろうか。それが明かされるのも、これまで何度も経験した深い悲しみに暮れた後の話だ。

 ここ数年、ピッチ以外での尽力のおかげで経済状況が安定しているユーベは、ヨーロッパサッカー界の頂点へ返り咲くための資産とリーダーシップを備えている。

 だが、長年チームを率いてきたDFアンドレア・バルザーリやGKジャンルイジ・ブッフォンのような選手にとっては、今後CLで優勝トロフィーを手にするチャンスは二度と来ないかもしれない。

 ブッフォンは決勝前、何人かの選手は「少なくともこの先4年、ないし5年間はプレーし続けることができるだろうね。しかし、僕にその猶予はない」と話していた。

 残念なことに、これまでと同じく悲しいエンディングを迎えた今大会。ブッフォンとユベントスに「おとぎ話のようなハッピーエンド」が訪れることはなかった。

文=マーク・ドイル/Mark Doyle

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