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這い上がってきた市船のエースストライカー、FW福元友哉が代表決定戦で3発!:千葉

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市立船橋高FW福元友哉が3得点の活躍

[6.17 全国高校総体千葉県予選準決勝 市立船橋高 4-0 翔凛高 柏の葉]

 平成29年度全国高校総体「はばたけ世界へ 南東北総体2017」サッカー競技千葉県予選準決勝第1試合、16年全国優勝の市立船橋高対翔凛高戦は、立ち上がりから攻勢に出た市立船橋が、FW福元友哉のハットトリックを含む4ゴールで翔凛を一蹴し、インターハイ出場を手にした。
 
 昨年から朝岡隆蔵監督がとてつもなく大きな期待を寄せている男が、ハットトリックという結果で応えてみせた。

 市立船橋FW福元友哉は昨シーズン終盤に朝岡監督からレギュラーに抜擢をされた。インターハイまではFW村上弘有(現駒澤大)とFW矢野龍斗(現関西大)の長身ストライカーがレギュラー争いを演じていたが、10月以降は2年生だった福元が先発で起用されるようになり、選手権も福元がスタメン出場をした。
 
 12月4日のプレミアリーグEAST第17節・柏U-18戦で公式戦初ゴールを挙げ、更なる活躍が期待されたが、そこから彼はゴールから遠ざかった。「期待してもらっているのに応えられない…。それが一番出たのが去年の選手権だった」と語ったように、選手権ではノーゴールに終わり、チームも2回戦で前橋育英に0-0からPK戦の末に敗れた。

 もともとCBとボランチが主戦場で、FWは小学校以来だという彼にとって、FW起用は戸惑いもあり、適応に苦しむのも無理は無かった。だが、名門・市船の最前線を任されている以上、ノーゴールという責任は重い。

「自分が点を獲っていれば…という試合が多かった。本当に悔しさと焦りがあった」。それでも周りの上級生は思い悩む彼を励まし続けた。「杉岡(大暉、現湘南)さん、原(輝綺、現新潟)さん、高(宇洋、現G大阪)さんはずっと『めげずにやり続けることが大事』と声を掛けてくれた。自分なりに何とかしようと試行錯誤した」。

 期待通りの結果は残せなかったが、必死で名門の最前線でもがき続け、今年もエースストライカーとしての重責を任された。

 それでもノーゴールの時間が彼を苦しめた。サニックス杯などのフェスティバルでは点を獲ることが出来たが、プレミアEAST開幕から始まった公式戦では、一切ゴールを獲ることが出来なかった。

 この状況に朝岡監督も「チームを勝たせられる選手にならないといけない」と、プレミアリーグEAST第3節のFC東京U-18戦を最後に、福元をBチームに落とす決断を下した。

「Bチームでもう一度、自分自身で考え直しました。そこで気付いたのは、やっぱり結果を出すこと。紅白戦でAチームを相手に負けていたら、絶対に(Aに)上がれないと思ったので、数的不利であっても貪欲にゴールを決めることを意識しました」。

「這い上がってこい!」という朝岡監督の強烈なメッセージを彼はしっかりと受け止め、自分が何をすべきかを一度冷静になって考え直すことが出来た。そしてハングリー精神も芽生え、「もう後が無いという気持ちです」と、普段の練習と紅白戦にすべてを懸けた。結果、彼は紅白戦でゴールを重ね、インターハイ予選直前にAチームに帰って来た。

「シュート数を増やしてやり続けることに意識をした」。巻き返しを図る彼に、卒業して行った先輩達も励ましの声を送り続けた。「(杉岡、原、高らと)今年もラインで連絡を取って、『公式戦で1点穫れば乗れるから』と言ってくれた。絶対に期待に応えたいと思った」。初戦、準々決勝は結果が出なかったが、インターハイ出場が懸かった重要な準決勝で、これまでの想いを一気に吐き出した。

 0-0で迎えた前半30分、FW有田朱里の縦パスにMF郡司篤也が抜け出すと、福元は「練習でも郡司からのパスからゴールを挙げているので、絶対に来ると思った」と、ゴール前に猛ダッシュ。郡司のチップキックからの柔らかいボールに対し、少し前に身体が入りすぎたが、「何が何でも押し込もうと思った」と身体をねじるようにボールを捉え、ゴールに押し込んだ。

 昨年の柏U-18戦以来、実に6か月半ぶりの公式戦のゴール。「1点穫れば乗れるから」という先輩の言葉通り、彼は39分にヘッドで2点目を叩き込むと、後半10分にはクリアボールから一発で抜け出し、GKとの1対1を冷静に沈めて、ハットトリックを達成してみせた。

「ようやく責任感と自覚が出て来たかな」と朝岡監督が目を細めたように、待ちに待ったエースストライカーが目覚めの時を迎えた。

「2年のときは『なぜ僕が?』と思っていたところもあったけど、今年は常に『次は無い』という覚悟でやれていて、それが良い緊張感になっています。だからこそ、3点獲ったことで満足したら成長が終わるので、毎試合点が獲れるようにチームに貢献をしていきたい」。

 本物のブレイクスルーはこれからの結果次第。大きなきっかけを掴んだ福元の進化と逆襲はまさにこれから始まる。

(取材・文 安藤隆人)
●【特設】高校総体2017

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