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[MOM448]筑波大FW北川柊斗(4年)_自称“問題児”から頼れる主将へ、10番が進化を示す1G1A

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ヒーローインタビューをしていたため、独りで勝ちロコを披露した北川

[6.18 第91回関東大学1部L第10節 明治大0-2筑波大 味フィ西]

 自らを「問題児」と称する10番が進化をみせた。筑波大明治大に2-0で勝利し、4連勝。前期リーグ1試合を残して首位ターンを確定させた。1得点1アシストの活躍をみせたのは、主将で10番を背負うFW北川柊斗(4年=名古屋U18)だ。

 中野と縦関係の2トップを形成。前半はボールを受けるシーンは少なかったが、後半のチャンスを確実にものにした。後半開始約58秒、MF西澤健太(3年=清水ユース)が左サイドへ浮き球のパス。抜け出した北川はスピード落とさずに走り込み、鮮やかなトラップでボールを落ち着け、PA手前距離ある位置から左足でループシュート。GKの頭上を抜いたボールはゴール右へ突き刺さった。

「まさかパスが来るとは思わなかった。あのシュートの決め手はファーストタッチ。スピードを落とせずにアウトサイドで上手く目の前に置けて、シュート体制にいけたので、それが良かったなと。ループシュートは正直覚えてないです。いつのまにかGKが出てきて、ゴールカバーもいたのでコースもなかった。気がついたら上に打っていました。自主練で普段からそういう練習というかお遊びをしているので、それが出たのかな」

 先制点を決めると、今度は追加点をアシスト。後半10分、敵陣内右サイドで北川が相手DFからボールを奪取。前進してGKを引き付け、左サイドへラストパス。詰めていた磐田内定FW中野誠也(4年=磐田U-18)が冷静に流し込んだ。自ら打つかと思いきや、的確な判断でアシストは生まれた。

 小井土正亮監督が「中野と北川が仲が良くてよかったなと。ちゃんと渡したな」と笑って振り返れば、本人は「正直、自分で打とうと思いました。それでもパスを出したのは勝ちたかったから。去年までの自分なら打っていましたけど、勝利に飢えているので。自分の結果も欲しかったんですけど、誠也が横にいたので、可能性に高いほうにパスを出しました」と言う。

 ゴールを決めた中野は「ほぼ北川の得点といってもいい。あそこで彼がいい形でボールに詰めたのは見えていましたし、誰よりも早く反応できたのが良かったと思います。本当にいい関係でできているので、攻撃だけではなく守備もお互いに見合いながら声を掛け合いながらできています」と連携に胸を張った。 

 インカレ制覇した昨季から筑波大の不動のシステムは4-2-3-1。1トップを中野、心臓となるトップ下にはMF戸嶋祥郎(4年=市立浦和高)が入る。主将を務める北川だが、今季開幕戦から先発した試合は少なく、“ジョーカー”的に投入されることが多かった。それでもチームのために何ができるか、自分自身を見つめて腐らずにやり続けた結果、チャンスを得た。そして3戦連続の先発となったこの日、中野との2トップでプレーすると1得点1アシストでチームに勝利をもたらしたのだ。

 指揮官は北川について、「前期の最初はサブで悔しい思いをしていたと思いますけど、まったく腐ることなくチームのために一所懸命やってくれていた。去年や一昨年だったら、ぶれていたのかもしれませんが、今はキャプテンマークを巻いているという責任感が頼もしいなと。本当にありがたい」と変化を称え、「僕も何もケアもしていないというか、(メンバーから)外すなら外すだし、“ラスト20分頼むぞ”と送り出せば仕事してくれますし、今日みたくスタメンで出れば仕事もしてくれる。彼はこの1年で一番精神的にも成長したと思います」と評価を語った。

 とはいえ、本人は謙虚に「まぁ自分は問題児なので、これまで監督に一番怒られていますし、だめが普通になったくらい」と恥ずかしそうに笑う。

 名古屋育ちのFWは早くも大学ラストイヤーを迎えた。希望するJ入りという夢を叶えるためにも、今季の残り試合でどれだけアピールできるかが重要となる。そのうえでは21日に控える天皇杯2回戦・ベガルタ仙台戦は絶好の舞台。「アミノ(総理大臣杯予選)と仙台戦で今日みたいに自分が結果を残せれば自ずと声はかかると思うので、継続していきたいです」と誓った。

 もちろんその場でゴールを決められれば御の字だが、主将は「もちろん自分のゴールは欲しいですけど、最初の優先はチームの勝利。今日みたいにハードワークして、少しでも勝利の可能性を高められれば」と冷静に言う。キャプテンマークを巻き、頼もしさ増した北川が筑波大を牽引していく。

(取材・文 片岡涼)
●第91回関東大学1部L特集

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