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[MOM2146]前橋育英DF角田涼太朗(3年)_高みを目指しているからこそ出た“最悪”の評価。隙見せずに無失点V達成

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前橋育英高の守備の柱、CB角田涼太朗

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.18全国高校総体群馬県予選決勝 前橋育英高 2-0 前橋高 正田スタ]

 前橋育英高は前橋高をシュート2本に封じて完封勝利。ボランチ、DFラインからの声によって前線から連動した守備を展開し、高い位置でボールを奪い取るなど相手に満足な攻撃機会を与えなかった。その守備網を掻い潜られるシーンもあったが、それはCB角田涼太朗(3年)がほぼ完璧に封鎖。立ち上がりにスルーパスをインターセプトしたほか、自陣で幅広いカバーリングを見せてボールを奪い、後半終了間際にも相手のPAへの侵入をスライディングタックルで阻止するなど隙を見せなかった。

「(自分たちがボールを支配することは予想していたが、)取られた後に一発カウンターとかやられないように意識していたんですけど、どうしても攻めっぱなしだといざ来た時に焦っちゃうとかそういう反省点がありました」

 守備の人数がやや足りていないようなシーンでも、角田は1人でボールを奪い取ってしまうような凄みある守備も見せていた。昨年からコンビを組むCB松田陸(3年)がU-18日本代表のポルトガル遠征で不在の中、CB上原希(3年)らと協力して無失点V。「マツリクがいないんで、ここで負けていたらやっぱりアイツがいないとダメなんだと、周りの人はそう思うと思うので、個人として出来は最悪だったんですけど無失点で終われたというのは良かったと思います」と最低限の仕事をやり遂げたことについて微笑んでいた。

 “最悪”と表現した自身のプレー。高い目標があるからこそ出た評価だった。「昨日(桐生一高との準決勝)とか先週に比べたらまだ良さを出せたかなと思うんですけど、自分が想像しているプレーとはまだ全然噛み合っていないです」。角田はこの日、得意の左足キックで会場を唸らせるようなサイドチェンジも見せていたが、前線の選手たちが良いタイミングで動き出しているのにそこへ通せなかったという。また、「カバーリングの出足とか相手に何もさせないくらいしなければいけない」と反省。自身のプレーについては全く納得していなかった。

「もうちょい高みを目指していかないと。もっと上のレベルに行った時にこれじゃあ全然ダメだと思うので、全国に行ったらもっと速いやつとか、もっと強いヤツがいっぱいいると思うのでそういうところ目指していく」。山田耕介監督が「遠くが見えている」と評するCBは世代トップクラスのCBの一人だが、本人は裏への対応やステップワークの向上など課題がまだまだあると感じている。だからこそ、今の自分に満足することなく、危機感を持って今後もトレーニングから成長を目指していく。

 昨年度の全国高校選手権決勝で青森山田高に0-5の大敗を喫したのは、同点のチャンスを逃し、焦って失点を重ねた自分の責任だと感じている。最上級生になった今年は自分がチームを盛り上げるべく、普段から取り組み、自身を磨いてきた。究極の目標は自分ですべて止めてしまうストッパー。「自分が最後全部止められたら一番いいんですけど。やられることはあるんで、予測をもっと上げて、そこで止めて、やっぱりアイツがいたというCBになりたい」。選手権のリベンジの舞台でもある全国総体。前橋育英にいるもう一人の“代表クラスのCB”角田が「目標は優勝です」というインターハイで対戦相手を完封する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2017

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