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[MOM2149]鹿島学園FW富岡大智(3年)_前線に君臨した強力FW。原動力は柔道で磨いた強靭な身体

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鹿島学園高FW富岡大智

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.21全国高校総体茨城県予選決勝 鹿島学園高 2-0 鹿島高 ひたちなか陸上競技場]

 雨中の決勝。鹿島学園高は序盤から鹿島高を押し込むことに成功していた。特に大きかったのが、前線でポイントとなっていた背番号9の存在だ。幼い頃から柔道にも励み、鍛えてきたという身体を持つFW富岡大智(3年)の馬力ある動きが雨中で一際光っていた。

 悪天候ということもあり、鹿島学園がシンプルに長めのボールを活用する中、富岡は前線で抜群のキープ力を発揮。ボールを受ける前にマークするDFに身体をぶつけ、自分がボールコントロールするだけのスペースをつくり出していた富岡は、起点を潰そうとするDFを身体でしっかりとブロックしながらボールを味方のサイドプレーヤーたちへ配球していた。

 ポストプレーだけではない。19分には右タッチライン際で巧みにDFと入れ替わると、スピードに乗ったドリブルから一気にPAまで切れ込んで決定的なラストパス。その後もグイグイと前へ出るドリブルと、「大迫勇也選手みたいなポストプレーを。動画を見て、相手に一回当ててからボールを受けに行くことを意識していました。できていたと思います」というポストプレーで存在感を発揮した。

 本人は「周りが見えなくて、基礎がないのでそこのところを磨かないと」と課題を口にしていたが、この日は仲間を活用するパスも正確。1-0の後半16分には左タッチライン際へ抜け出すと、中央へ走り込んだMF橋口凛樹(3年)へ冷静にラストパスを通して貴重な2点目をアシストした。

 サッカーを始めたのは小学1年生の時。富岡がそれと並行して取り組んできたのが柔道だ。父・範光さんは柔道の元日本代表、オリンピック候補選手だったという。その父の経営する道場で中学生まで行ってきた柔道。「サッカーのために柔道をやってきた」と言い切る富岡は、身体面の強化や「柔道の受け身など、ころんだ時にすぐに立ち上がれるのできいています」という部分をサッカーに活かし、現在につなげている。

 鈴木雅人監督が「純粋に気持ちのところもある」と評する闘争心も武器。新チームになってから富岡にチャンスを与えてきた指揮官は「まだ身体だけでやっている。もっと走ることも必要」とまだまだ課題が多いことを認めるが、少しずつ、着実に成長を続けているFWのこれからに期待を寄せていた。

 総体予選では6得点を記録。本人は「今年の目標はチームが勝つとともに、個人的にFWなんで得点に絡んだり、得点王になれたらいい。誰にも当たり負けしないような、自分のところにボールが来たらみんなが安心できるようなFWになりたいです」と目標を掲げた。

 チームメートも「強いです」と評価するが、プリンスリーグ関東で戦う全国的なCBにはまだまだ力負けすることもある。それだけに現状に満足はしていない。柔道で磨いた武器も持つ異質のストライカーが、貪欲に成長を遂げて鹿島学園を勝たせる存在になる。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2017

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