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先制点生み出したMF前原の好判断とシュート。実践学園が5年ぶりとなる全国へ:東京

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実践学園高はMF前原龍磨の好判断が先制点をもたらした

[6.24 全国高校総体東京都予選準決勝 東海大菅生高 0-2 実践学園高 駒沢2]
 
 平成29年度全国高校総体「はばたけ世界へ 南東北総体2017」サッカー競技東京都予選準決勝第2試合は、実践学園高東海大菅生高のパワーある攻撃を上手くいなしながら主導権を握った。その中心にいたのが、実践学園MF前原龍磨だった。

 MF武田義臣とツーシャドーの一角としてプレーした彼は、立ち上がりから味方のパスコースを作るためにバイタルエリアで頻繁に動いて顔を出し、縦パスを引き出すと、6分にいきなりチャンスが巡って来た。

 左サイドでボールを受けると、得意のドリブルで仕掛けるコースが見えた。しかし、「相手DFが前重心だったので、ドリブルで行けるかなと思ったのですが、もしドリブルで縦に仕掛けたら、シュートが(利き足と逆の)左足になると思った。(ツーシャドーを組む)武田(義臣)が良い距離でサポートに来てくれていたので、ワンツーで抜け出した方が、自分が得意とする右足でシュートが打てると思った」と、瞬時に判断を変え、武田とのワンツーを選択する。

 そして、武田から正確なリターンパスを受けると、「GKがまっすぐ前に出て来たので、右足で巻いたボールを蹴れば入ると思った」と、これも冷静な判断で狙い通りのシュートを放った。ボールはゴールに向かったが、必死にゴールカバーに入った東海大菅生の選手に当たってゴールイン。公式記録では相手のオウンゴールとなったものの、貴重な先制弾となった。

「あれは僕のゴールだと主張したかったです。でも、だからこそ追加点を奪おうとより意識するようになった」と語ったように、前原はより攻撃的な姿勢を打ち出して、ボールを受けると積極的にDFラインの裏を狙い、東海大菅生にプレッシャーを与えた。

 後半になると、相手DFラインが下がったのを見て、スペースを狙うのではなく、足下にボールを要求して、ドリブルで仕掛けて、シュートやラストパスを狙うプレーに切り替えた。
「相手にさらにプレッシャーをかけたかった」と、前原の狙い通り、彼と武田と1トップの村上圭吾の前線のトライアングルを軸に、前への推進力を全面に出して、東海大菅生を押し込んだ。

 後半15分には裏への縦パスに抜け出した村上が、相手GKと接触し、PKを獲得。このPKをキャプテンのCB尾前祥奈が冷静に決めて、2-0。その後も危なげない試合運びを見せた実践学園が、2-0の勝利で5年ぶりとなるインターハイ出場権を掴みとった。

「もっと普段の練習から指摘し合える、主張し合えるようなチームにしないと全国では勝てない。関東大会で前橋育英と戦ってみて、まだまだ自分達の力は足りないと感じたので、もっとピッチ上で活発に議論や修正が出来るチームにして行きたい。そうしないと前橋育英のような強いチームにはなれないと思います」(前原)。

 チームの目標は全国ベスト8。過去の先輩達がなし得なかった成績を残すためには、現状のままでは厳しいことを理解している。前原が言うように意識を高く、選手自ら盛り立てられるチームを目指すべく、この試合から新たなリスタートを切る。

(取材・文 安藤隆人)
●【特設】高校総体2017

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