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古豪復活!浦和西が執念の勝利で激戦区・埼玉突破し、30年ぶりの全国へ!

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30年ぶりの全国出場を決めた浦和西高イレブン

[6.24全国高校総体埼玉県予選準決勝 浦和西高 1-0 西武台高 埼玉スタジアム第3G]

 浦和西、30年ぶりとなる全国へ! 24日、平成29年度全国高校総体「はばたけ世界へ 南東北総体2017」サッカー競技埼玉県予選準決勝で浦和西高西武台高が激突。後半4分にFW高橋岬生(3年)が決めた決勝点によって浦和西が1-0で勝った。87年以来2度目となる全国総体出場権を獲得した浦和西は、25日の決勝で昌平高と戦う。

 1957年の全国高校選手権で優勝、58年の同大会3位、また国体で優勝した歴史も持つ伝統校・浦和西が激戦区・埼玉を突破した。OBの市原雄心監督が就任してから10年目。その間、総体予選では県決勝トーナメント初戦敗退や地区予選敗退が続く苦しい時期もあった。

 それでも今年は県新人戦で8強。関東大会予選では4強入りした。西野朗氏(現日本サッカー協会技術委員長)やこの日会場に訪れていた今井敏明氏(元川崎F監督)ら偉大なOBたちから「絶対に全国に出なきゃいけない」「常にベスト8ににいないと全国出れない」「惜しいじゃダメだよ」というエールを受けながら勝つことを目指してきたチームが塗り替えた歴史。最後足を攣らせながらも戦い抜いた選手たちはピッチに倒れ込んで喜び、市原監督の目は涙で赤く染まっていた。

 試合は前半から西武台が押し込んだ。MF木戸洋斗やMF山口賢人(ともに3年)を中心にボールを左右へ動かし、そこからのクロスで決定機を作り出してくる。浦和西は危ないシーンが続いたが、186cmGK斉藤大伽(3年)の好セーブや相手のシュートミスにも助けられて無失点で切り抜ける。

 そして、中盤で技術力の高さを発揮していたMF唐牛七海(2年)やレフティーの10番FW遠藤寛紀(3年)を中心に反撃。前半はシュート1本に終わったものの、後半4分に両太ももの怪我を抱えながら戦うエースが大仕事をしてのける。

 得意のキックフェイントを交えたドリブルでPAへ持ち込んだFW高橋が、ファウルで止められてPKを獲得。これを「PKは絶対に外さない」(市原監督)という高橋が自ら右足で決めて先制した。

 一方、ボールを保持して反撃する西武台はサイドからクロスへ持ち込むものの、浦和西の中央はCB福世航大やCB野口智弘、主将のMF田中隆太郎(全て3年)中心に堅い。また、DFラインのスライドとチャレンジ&カバーなど守備面を徹底してきたという浦和西はオージ・ヴィクター・シラタ(2年)とゲーム主将である佐藤功大(3年)の両SBも相手の仕掛けにしっかりと対応するなど、良い形でクロスやシュートを打たせずに時間を進めていく。

 浦和西は後半20分過ぎにGK斉藤が両足を攣らせるアクシデント。気温30度の暑さの中、フィールドプレーヤーも全体的に運動量は低下していたが、それでも相手の攻撃を身体を張って跳ね返し、セカンドボールを良く拾って攻め返すなど勝利への執念を見せ続けた。

 西武台も32分にMF板橋涼太(3年)のラストパスから山口が決定的な左足シュートを放ち、35分にもドリブルでDFを振り切ったFW三田光希(3年)が右足を振り抜く。だが、いずれもGK斉藤がビッグセーブで阻止。約6分のアディショナルタイムも全員で守った浦和西が立教新座高戦、浦和東高戦に続く3試合連続の1-0勝利で予選突破を決めた。

 浦和西の市原監督が選手たちに向けて言ってきたことは自分のためにやること。「みんなのためと言い過ぎないで、自分のサッカー人生を変えるために頑張れと」。その中で結果にこだわった。本来は後方からボールを繋いで攻めるサッカーが特長。だが、勝つために相手DFラインの背後にボールを蹴り込んでポイントを作るサッカーに切り替えた。

 惜しいではなく、自分たちが結果、全国出場を掴む――。高橋は「練習をやる前から、そこ(全国)へ向けて頑張るぞと確認したりしてきた」という。それぞれが、自分のために勝利を目指し、尽くした全力。最後ピッチの外で勝利の瞬間を迎えた高橋は「凄い嬉しいです。『マジで守ってくれ』ってずっと思っていました。みんなが応援に来てくれていたので絶対に負けられないと」。全国出場を願ってきたOBや現役選手、スタッフたちの思いや努力、応援にかけつけた人たちの思いの一つひとつが結びついて浦和西が復活を果たした。
 
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2017

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