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全国3位以来となる夏へ!アクシデント乗り越えた真岡が55番目の代表校に!:栃木

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ピースサインで県新人戦との2冠を喜ぶ真岡高イレブン

[6.25全国高校総体栃木都予選決勝 栃木高 1-4 真岡高 栃木グ]

 最終55番目の代表校は真岡に決定! 25日、平成29年度全国高校総体「はばたけ世界へ 南東北総体2017」サッカー競技(宮城)への出場権を懸けた栃木県予選決勝が栃木県グリーンスタジアムで行われた。栃木高真岡高の公立勢対決となった決勝は、真岡がFW齊藤遼平(3年)の2ゴールなどによって4-1で快勝。全国3位となった13年度以来、10回目となる全国総体出場を決めた。唯一未定だった栃木県の代表校が決まり、全国大会に出場する全55校が決定。全国大会の組み合わせは7月1日に決まる予定だ。

 真岡は3回戦で注目エースのFW郡司侑弥(3年)が左足の脛骨と腓骨の両方を骨折し、離脱するアクシデントがあった。矢板中央高との準決勝ではPK戦でGKが足を攣らせて動けなくなりながらも、代わりにGKを務めたCB後藤智亮主将(3年)がPK1本を止める活躍で決勝へ。そして、「郡司のために」を合言葉に、「(郡司がいない分、)一人ひとりが5m、10mプラスして走る」(川上栄二監督)意識を持って戦った真岡が、控え部員も含めて部員140名全員で全国切符を勝ち取った。

 決勝で先にチャンスを作ったのは、3回戦で関東大会予選優勝のさくら清修高、準々決勝で昨年度全国高校選手権3位の佐野日大高を破って勝ち上がってきた栃木だった。2分、CKから10番FW齊藤智(3年)がクロスバー直撃のヘディングシュート。だが、その後は真岡がほぼボールを支配して試合を進める。

 真岡は、アイディアと技巧でバイタルエリアを支配していたMF金澤礼弥とMF和氣昌平(ともに3年)のダブルボランチを中心としたショートパス、スペースへの配球を交えた攻撃で押し込むと、左右からクロスを連発。そして24分、左SB海老澤諒(2年)からの縦パスを受けた俊足MF鵜養修平(3年)がスピードを活かした仕掛けからクロスを上げ切る。これをFW齊藤が頭でゴールへ叩き込んだ。

 先制された栃木はなかなかプレーに余裕がなく、厚みのある攻撃を展開することができない。それでもCB長谷川樹やCB椛澤涼(ともに3年)らが最後の局面で良く足を投げ出して相手の攻撃をストップ。自分たちの攻撃回数は少なかったものの、MF大内拓真(3年)が推進力のあるドリブルで中央突破して見せたり、相手DFラインの背後へ入れたボールに2トップが走り込むなど会場を沸かせるシーンもあった。

 それでも攻める真岡、耐える栃木の展開は変わらない。真岡は37、39分と立て続けに栃木DFを切り崩し、MF河原慎吾(2年)が決定的なシュート。栃木はこれをGK藤浪大樹(3年)が止めて凌いだが、「正面からやろうという気持ちでいましたけれど、(連戦と緊張で)足が動かなかったですね。前半から攣っていた子もいました」と大貫祐市監督が振り返るチームは1点差の状況を維持することができない。真岡は40分、金澤の右CKをファーサイドのCB鈴木優斗(2年)が折り返し、ゴールエリアに飛び込んだ齊藤が再び頭でゴールへ押し込んだ。

 真岡は2ゴールの齊藤に代えて後半開始から「今大会のラッキーボーイ。得点を取ってくれた」(川上監督)というFW根本晋太郎(3年)を投入。4分には左サイドを突破した鵜養のラストパスを和氣が右足で決めてリードを広げた。そして選手を入れ替えた後も主導権を握って試合を進めた真岡は34分、中央から右サイドへ展開したボールを交代出場MF小林岳流(3年)がクロス。これをファーサイドの根本が右足ダイレクトボレーで合わせて4-0とした。

 栃木は点差を広げられたものの、サイド攻撃やセットプレーからPAまでボールを運んで1点を目指し続ける。すると、後半アディショナルタイム、MF菊池遼司(3年)の左FKを交代出場のFW味村大地(3年)がヘディングシュート。これがクロスバーの下側を叩いてゴールラインを越えた。大学への受験準備のために、今大会限りで3年生全員が引退する栃木の奪った意地の1点。だが、4-1で試合を制した真岡が10回目の全国総体出場を決めた。

 真岡の川上監督は「守備をしっかりすること。守備から速く攻めることをテーマにやっています」。矢板中央や佐野日大などの強力な私学勢に対抗するためには堅守、速攻は重要なポイント。一方でこの日はショートパスを正確に繋ぎ、金澤や鵜養らがテクニカルな崩しを表現していた。昨秋、栃木県内の公立校では初となる人工芝グラウンドが完成。技術力の向上に大きな影響を及ぼしており、指揮官も「加速していければいいと思います」と期待する。この日見せていた多彩な攻撃は、全国までにその質をさらに上げそうだ。

 エース郡司不在で臨む全国総体。戦力的に痛いのは間違いない。だが、この決勝が今大会初先発だった齊藤が2得点を奪うなど、他の選手にとってはチャンスでもある。日々の競争を経て個々、チームのレベルを少しでも引き上げて全国へ。そして、主将の後藤が「歴代の先輩たちを越していかないと意味ない」と語り、司令塔の金澤も「4年前の先輩を越せるような結果を出したい」と誓う目標実現に挑戦する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2017

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