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[MOM451]国士舘大MF荒木翔(4年)_1部アシスト王獲得から2年…「誰にも譲るつもりはない」勝負の年

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大学最終年、結果を求めるMF荒木翔

[6.24 第91回関東大学2部L第11節 早稲田大1-2国士舘大 国士舘大町田C]

 2年前のアシスト王、その実力は健在だ。国士舘大は関東2部・前期リーグ最終節で早稲田大を2-1で下し、首位の座を奪取した。1得点1アシストの活躍をみせたのはMF荒木翔(4年=日本航空高)。熱い想いを胸に大学最終年に臨むMFが結果を出した。

 21日に天皇杯2回戦で湘南ベルマーレと延長戦にもつれ込む120分を戦う死闘を終えて、中2日で早大戦を迎えた。疲労はピークだったが「きついし、やばいです。でも疲れたとかは言ってられない。気合です!」とゲームへ入った。

 すると前半29分、荒木がゴールネットを揺らす。立ち上がりから試合を支配していた国士舘大は、ビルドアップから後方へ戻し、GK野津幹陽(4年=三菱養和SCユース)が左サイドへ大きく蹴り入れる。走り込んでいた荒木がGK小島亨介(3年=名古屋U18)との一対一から冷静に左足で決めた。

「絶対に来るなと走っていた」と荒木が言えば、アシストした守護神・野津も「練習から動きがいいのでいつも(荒木を)見ているんです」と笑顔。抜群の連携でゴールを奪った。

 さらに後半22分には追加点。右CKを荒木が蹴り入れ、キャプテンのMF平野佑一(4年=國學院久我山高)がヘディングシュートを叩き込んだ。セットプレーではCB住吉ジェラニレショーン(2年=日大藤沢高)に合わせることの多い国士舘大だが、裏をかいて平野を狙うと追加点が生まれた。その後に1失点したが、2-1で試合は終了。国士舘大は順位の入れ替えに成功し、首位での前期折り返しを決めた。

 2年前の関東大学1部リーグで2年生ながら、アシスト王となる活躍をみせた荒木だが、昨季は思うような活躍をみせることはできず。前期リーグ第2節まで先発していたものの、その後は“チーム事情”で欠場。迎えた後期も途中出場がほとんどで、シーズンを通じては13戦1アシストという寂しい結果。チームは2部降格の憂き目に遭った。

「アシスト王を取って注目されるようにはなっていたとは思いますけど、前期では試合に出ることができず。プロのスカウトの人とかも、“いないんだ”と気にかけることもなくなったと思う。3年生は勝負の年なんだなと思っていましたし、過去の先輩たちからもそう聞いていたので……やっちまったなという感じでした」

 失意のシーズンを経て、迎えた今季。「今年は全試合に出るつもりで誰にもポジションを譲るつもりはないですし、そういう悔しさは去年味わったので。負ける気はしない」と熱い想いで臨み、宣言どおりにここまで全試合に出場。国士舘大の攻撃を牽引している。細田三二監督は頼もしさ増したMFについて「フィジカルやフィットネスも前よりはついた」と評価する。

 既に荒木に複数クラブが熱視線を送っているが、現時点での進路はまだまだ未定。今後の結果次第で大きく未来は変わる。本人は「まずはチームが勝たないと。チームが勝ってこそ、自分は評価されると思うので」と殊勝に口にした。

 また大学最終年を2部リーグで過ごすことになったMFにとって、今季の目標は1部復帰かと思いきや、ただ昇格を決めるだけでは満足しないようだ。デンチャレの関東選抜Aで共に戦った早大の名古屋内定MF秋山陽介(4年=流通経済大柏高)らと「国士舘と早稲田と同時に落ちた分、一緒に戻ろう」と誓っているそうで、「早稲田との勝ち点差が気になることはありますけど、そこではなく、どれだけ3位と離せるか」と視線を上へ向ける。

 さらには1部昇格だけでなく、アミノバイタルカップ(総理大臣杯予選)を勝ち進んで、総理大臣杯優勝を経ての全日本大学選手権(インカレ)出場も目標に掲げる。「4年生としては、“1部に上げた代”だけでは物足りないので。“2部でもインカレに出た”と後輩たちに胸を張って言えるような代にしたいと4年生で話しています」。

 アシスト王を獲得して迎えた注目のシーズンを棒に振り、気がつけば大学4年生。「今年は1試合1試合を全力でやれば負ける気はしないので。やれると思います」。大学4年間を通して、酸いも甘いも知り、たくましさ増した荒木が勝負をかける。

(取材・文 片岡涼)
●第91回関東大学1部L特集

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