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[プレミアリーグEAST]青森山田は0-0ドローで首位キープ。U-18代表FW中村駿太は“幻の2ゴール”も今後へ収穫アリ

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青森山田高のU-18日本代表FW中村駿太は“幻の2ゴール”となったが、今後へ収穫の試合に

[7.2 高円宮杯プレミアリーグEAST第7節 鹿島ユース 0-0 青森山田高 カシマ]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2017 プレミアリーグEAST第7節、開幕戦を落として以降は、破竹の5連勝で首位を走る青森山田高は、アウェーで鹿島アントラーズユースと対戦をした。

「最近ゴールから遠ざかっているので、絶対に決めないといけない」。青森山田のエースストライカーであるU-18日本代表FW中村駿太は、第3節の大宮アルディージャU-18戦でゴールを決めた後、プレミアリーグのゴールから遠ざかっていた。

「今週は黒田剛監督や正木昌宣コーチから、点を獲るイメージを持つトレーニングやメンタル面でのアドバイスを受けて来た。自信を持ってゴールに向かうこと、冷静にプレーすること。周りの人たちが自分のために何とかしてくれようとしてくれた。それに何とかして応えたかった」。

 中村は並々ならぬ意欲を持ってこの一戦に臨み、立ち上がりから貪欲にゴールを狙った。14分、MF檀崎竜孔が放ったシュートがDFに当たってバウンドした瞬間を見逃さず、ドンピシャのヘッドで合わせた。ボールはゴール左隅に突き刺さり、中村も右手を挙げて歓喜のダッシュを始めた。しかし、線審の旗が上がり、判定はオフサイド。ゴールこそならなかったが、中村のシュートは決して簡単なものではなかった。

 イレギュラーバウンドのような形で、かつスピードもあるボールだっただけに、咄嗟に合わせるのは非常に難しかった。しかし、ストライカーの本能が身体を動かしたのだろう。すぐに反応し、ヘッドで捉えるだけでなく、「GKの左側が空いているのが見えた」と、GKの位置を見て左隅に置きに行くコントロールヘッドを突き刺してみせた。

「ゴールのにおい」を漂わせた中村は、20分、再びヘッドでゴールネットを揺らす。U-18日本代表MF郷家友太の左ロングスローをニアサイドでCB簑田広大がヘッドですらす。山なりのボールはファーサイドに入り込んだ中村の下へ。マークが付く中、滞空時間の長いヘッドで合わせ、ゴールに突き刺した。しかし、またしても線審の旗が上がり、オフサイド。このヘッドも難しいボールを巧みに押し込んだが、ゴールは認められなかった。

 試合は0-0のままこう着状態が続いた状態で時間が経過をしていった。中村も正真正銘のゴールを決めるべく、前線でボールを受けようとDFラインの裏やギャップに潜り込もうとするが、鹿島の鋭いカウンターの前にDFラインが下がり、効果的なボールが入らなくなる。

 後半5分には鹿島FW金澤蓮にドリブルで持ち込まれ、強烈なシュートを浴び、これは青森山田GK坪歩夢がビックセーブを見せてピンチを防ぐが、鹿島の圧の前に思うように攻撃を組み立てられなくなって行き、中村も沈黙を強いられた。

 結果、中村は正真正銘のゴールを奪えぬまま、0-0でタイムアップ。青森山田は首位を守ったが、中村のゴールは次節へと持ち越しとなった。「シュートまでのプロセス、シュートの狙いやヘッドの感触は凄く良かった」。幻の2ゴールとなったが、中村にとっては大きな前進だった。

「ネットを揺らす感覚は久しぶりなので、あの感触を掴めただけでも良かった。ゴールへのイメージはより鮮明になりました。次は決めます」。次節の清水エスパルスユースとの首位決戦で結果を出し、今春に青森山田へ転入した自身にとっては最初で最後となるインターハイに弾みを付けるべく。青森山田のエースストライカーは覚醒への第一歩を踏みしめた。

(取材・文 安藤隆人)
●2017 プレミアリーグEAST

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