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ユニバ代表、木戸選出の理由や離脱中の重廣の状況は?今月中旬の合宿で最終判断へ

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デンチャレ時の全日本大学選抜

 第29回ユニバーシアード競技大会・台北大会を戦うユニバーシアード日本代表が4日に発表された。負傷離脱中の京都内定MF重廣卓也(阪南大4年=広島皆実高)とFW木戸皓貴(明治大4年=東福岡高)が招集され、守備の安定を図るために中盤を一人減らし、DF坂圭祐(順天堂大4年=四日市中央工高)とDF岩崎尚将(桃山学院大4年=九州国際大付高)が新たに加わった。

 “復帰”に望みをかけての選出だ。重廣は左足首骨挫傷など重度の捻挫で離脱中。復帰時期は早くて8月の見込み。8月19日に開幕するユニバへは極めて微妙な状況にある。また左膝前十字靭帯損傷から今年5月に復帰も、再離脱している木戸は、総理大臣杯予選(アミノバイタルカップ)を欠場し、リハビリに励んでいる状況。本大会へは問題ないようだが、試合勘の部分が心配される。

 今月中旬に予定されている同代表の合宿には、離脱中の両名も参加予定。その先は大会最終エントリーの7月19日までに、メンバーの入れ替えを含めた最終決断をしていくことになるという。間に合わないと判断された場合には、バックアップのMF渡邉新太(流通経済大4年=新潟U-18)、MF米田隼也(順天堂大4年=静岡学園高)、MF戸嶋祥郎(筑波大4年=市立浦和高)、MF西澤健太(筑波大3年=清水ユース)から招集される。

 同代表を率いる宮崎純一監督は「基本的にはこのメンバーでやっていきたい」と前置きしつつ、「(最終エントリーの)7月19日の前に一度合宿があるので、バックアップの選手も含めて状況を見て、重廣も木戸にも合宿には参加してもらい、二人と話をして、様子をみながら最終的にチェックしたい」と見通しを語った。立ち上げ当初から主将を務めてきた重廣の状態がもっとも気になるところといえるだろう。

 一昨年の夏は右膝前十字靭帯損傷を負い、昨夏は左膝前十字靭帯損傷と二年連続で大怪我に見舞われた木戸。同代表の前身である全日本大学選抜へ招集されるタイミングがなかなかなかったが、故障を抱える身ながらも本番で呼ばれることになった。

 選出理由について指揮官は「去年の総理大臣杯を見て、際(きわ)の際で暑いなかでの試合が続くなか、チームの信頼を集められる存在感があった。得点も強みなんですが、彼が取らなくても彼の周りの選手に点を取らせることができるという能力にかけたという感じです」と説明。

「今の時点で元気な選手もいますが、ユニバーシアードは特殊な環境。最後の最後まで気持ちを切らせずに点を取ってやるという選手は必要だと思いますし、1か月でなんとかしてくれると期待しての選考です」と語った。

 木戸の選出の裏では、同代表の核でもあったFW山口一真(阪南大4年=山梨学院大附高)が落選。チーム立ち上げ直後から“山口のチーム”と言っていいほどの存在感を示してきたが、本大会への出場は叶わなかった。宮崎監督は「一真のような選手は僕も結構好き」と言い、「僕自身も最後まで一緒にやりたかったですけど、ちょっと残念な決断をせざるを得なかった」と苦渋の決断だったと明かす。

「(山口は)点も取れるし、能力も高いので期待していました。関西にも何度か見に行き、本人とも直接話をしまして、持っている怪我の状況なども含め、どうしても連戦になると不安になるという部分もあり……そういうところで木戸と逆になってしまいますが、“どの状況でも最後まで頑張れるか”という部分が、最終的には決め手になりました」

「重廣もそうですが、一真は人と違うことを考えているじゃないですか。特に一真は考えも及ばないようなことを考えている、そういうものを描きながらやっている。同じ子達が集まってピンチを迎えても、同じような対応しかできないですし、感覚の違いはどこかで必要だなとは思っていたんですけど……だから最後まで引っ張りたかったんですが、そこは難しいという決断でした」

 また、チームの課題であった守備の改善。CB鈴木準弥(早稲田大4年=清水ユース)への負担を考えて、招集されたのがCB坂圭祐(順天堂大4年=四日市中央工高)だった。ユニバは中1日での6連戦という総力戦。CBで鈴木を固定して使い続けたいところだが、そうもいかない。

 CB今津佑太(流通経済大4年=流通経済大付柏高)が負傷離脱するなか、ドイツ遠征などを通じて、CB宮大樹(びわこ成蹊スポーツ大4年=清明学院高)とCB菊池流帆(大阪体育大3年=青森山田高)の成長は光ったものの、鈴木不在時の守備には不安が残る状況。それゆえにデンチャレでは関東選抜Aの一員として、そして今季は順天堂大の主将として結果を残している坂に白羽の矢が立った。

 坂のプレーを追ってきた宮崎監督は「宮も菊池も非常に頑張ってくれています」と言いつつも、「チームをディフェンスの部分で安定させるという意味では、準弥(鈴木)の存在が大きいんですけど、そこだけには頼ってられない。連戦になったときに宮と菊池でもいいのですが、そこの安定性はと考えたときに、どうなの?というところがあった」と説明。

「(坂は)小さいですけど、身体能力はあるし、高い打点のヘディングもあるし、ユニバのチームのビルドアップというところでも彼の能力は非常に高い。関東Aで対戦したときも、そういう存在感を示してくれた。最後の最後になりましたけど、先生方やコーチ陣と話した中で守備を安定させるためには、もう一枚誰かいるねということでの選考となりました」

 立ち上げ当時から大枠のメンバーは決まりつつあったが、最後に主力の入れ替えがあった。大会開幕も約1か月半後に迫っている。離脱中の2名の容態に加え、過酷な連戦を戦うアミノ杯から天皇杯(12日)、そしてユニバ代表合宿入りとなる筑波大組のコンディションも心配される状況だ。まずは20名プラス6名のバックアップメンバーにこれ以上負傷者が出ないことが祈られる。

(取材・文 片岡涼)
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