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警戒されても、こじ開ける攻撃に手応え。選手権ヘリスタート切った近大附がニューバランスカップ2連覇!

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優勝を喜ぶ近大附高イレブン

[7.23 ニューバランスカップ決勝 桃山学院高 1-4 近大附高 J-GREEN堺S1]

 冬の選手権出場を目指し、リスタートを切った全国の強豪16校によって開催された「ニューバランスカップ」の決勝が23日に大阪府のJ-GREEN堺で行われ、桃山学院高(大阪)と近大附高(大阪)が対戦。DF中谷和樹(2年)の先制点を皮切りに4点を奪った近大附が4-1で快勝し、大会2連覇を達成した。

 多彩な攻撃パターンから生み出す圧倒的な攻撃力で、近大附がライバル校をねじ伏せた。タイトルがかかった決勝戦の相手は府大会や練習試合でも顔を合わす桃山学院とあり、「自分たちがやりたいサッカーをよく知られていて、やりにくかった」(DF白木一輝、3年)。

 攻撃のポイントとなるサイドのスペースを封じられ、序盤は前方向へのパスを奪われる場面も目についたが、次第に攻め急がず、リベロの福田清春(3年)とボランチの内田将太(3年)を中心にボールを動かすスタイルへと方向転換。テンポの良いボール回しで相手を自陣に引きずり出すと、空いたスペースにパスを入れてサイドから見せ場を作った。

 最初のチャンスは前半13分。左サイドを強引に抜け出したMF尾山海斗(3年)がゴール前にパスを送ると、走り込んだFW田島和樹(3年)がニアでシュート。この一撃は惜しくもGKに阻まれたが、こぼれ球を反対サイドの中谷が押し込み、近大附が先制した。

 以降も攻撃の勢いは衰えず、33分には左サイドを駆け上がった尾山がDF太田峻介(3年)のロングフィードを受けて、ゴール前にパス。右サイドから飛び込んだ中谷がダイレクトで後方に落とすと、最後はフリーのFW鈴木風光(2年)が左隅に決めて、2-0で試合を折り返した。

 堀佳津之監督が、「立ち上がりから守勢に回って気持ち的に上手く乗せることができなかったせいで、プレーがワンテンポもツーテンポも遅れてしまった」と振り返るように、耐える時間が続いた桃山学院も、後半からはシステム変更と選手交代を施し、反撃を開始。11分には、右サイドを仕掛けたMF杉本紳(3年)のパスから、ゴール前のMF宮先弘登(3年)が強烈な一撃を打ち込んだ。

 このシュートはGKに阻まれてCKとなったが、そのCKからのクロスがオウンゴールを誘発し、1点差に詰め寄った。ここから更に攻撃のギアを上げたいところだったが、15分にはサイドを揺さぶられ、近大附・田島にヘディング弾を決められてしまうと、「3点目が痛かった」と堀監督が嘆いたように勢いが再び減速。終了間際には、PA手前から内田が直接FKを決めて、近大附が4-1で勝利した。

 昨年度に続き、ニューバランスカップを制した近大附は、主将のDF白木原一輝(3年)が「今年のアタッカー陣は能力が高い選手が揃っている」と胸を張るように、府内でも際立つ攻撃力が持ち味だ。前期を終えたプリンスリーグ関西でも、リーグ最多得点をマーク。山田稔監督も「今年は全国に行けるかなと思っていた」と口にするように、確かな手応えを得てインターハイ予選に挑んだが、常翔学園高の守りを崩し切れず、ベスト16で敗退。「力不足を認めるしかない」と白木原が話せば、福田も「もっと成長しなければダメだと気付かされた」と振り返ったように、研究された相手をいかに崩すかが課題として露呈した。

 選手権に向けてのリスタートとなった今大会は、インターハイ予選後に取り組んでいる新たな陣容がフィットし、相手に警戒されてもこじ開けるだけの多彩な攻撃パターンの構築に手応えを得た。「サブ組を使えたことが大きい。競争力も出てきた」(山田監督)ことも大きな収穫だ。「この優勝で自信を持って、冬に挑める」と福田が口にしたように、3日間の熱戦を乗り越え掴んだタイトルが、冬に向けて、大きな価値のある物になったことは間違いない。

(取材・文 森田将義)

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