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[MOM2162]神村学園MF高橋大悟(3年)_「やっと…」巡ってきた全国の舞台で見せつけたU-18日本代表の実力

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神村学園MF高橋大悟(3年)(写真協力=高校サッカー年鑑)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.29 全国高校総体1回戦 済美高1-4神村学園高 みやぎ生協めぐみ野サッカーグラウンドA]

 U-18日本代表に選出されていながら、3年夏まで全国大会に出場していなかった神村学園高(鹿児島)のMF高橋大悟(3年)が、そのベールを脱いだ。

 済美高(愛媛)を相手にまずは前半6分、決定的な縦パスを通し先制点をアシスト。27分には味方の落としたボールに反応して左足できっちりゴールを奪う。1ゴール1アシストを記録して折り返した後半3分には、オトリ役となってラストパスをスルーし追加点を演出。試合終盤、1点を返された後の33分には、振り向きながら相手GKの位置を把握しての絶妙なループシュートを決めた。この日の神村学園の全ゴールに絡む活躍。本人の中には期すところがあったようだ。

「これまでの2年間は、本当に悔しい思いしかなくて。やっと、やっと全国の舞台にやってこれた。選手権も含めて初の全国だったのですが、思ったより試合の入りが良く、ゴールできたことはすごい嬉しいです。少しは全国に(自分を)見せることができたのでは、と思っています」

 163cm、53㎏と、決して体格には恵まれていない。だが、ほかで勝てる要素を増やしてサッカーは体格だけではないということを証明したいと考えている。

 悔しい思いを胸に、ここまで成長してきた。それは高校で全国の舞台に出ていなかったこれまでのほかに、U-18日本代表やJクラブでの練習参加でも感じていた。

「自分はまだまだだと。代表では自分ができると思っていたことすらできませんでした。Jクラブではそれまで通用すると思っていたことがまだまだだったと思い知らされました」

 高いレベルに触れることは新鮮な楽しみでもある。だが、ヘコむほど打ちのめされることもある。それが、己に厳しさを与えることになった。初の全国の舞台で4ゴールに絡んだ。立派な結果なはずだが、自己採点すると、「60点くらい。50点はチームが勝ったこと、10点は点をとったこと、それだけです。残りの部分はもっと見せることができたな、と」。ということになる。

 実際、チームの要求は高い。有村圭一郎監督は言う。「それまでは頼れる先輩もいましたが、いまは高橋が全部やらないといけない。点を取らせながら自らも点を取る。当然、それだけの選手になればチェックがきつくなることも本人は覚悟しています。それでもマークを瞬間的に外したりと、本人もやってきているので」。

 高橋自身が目指すのは「相手からするとどうしようもない選手」だ。「自分で点が取れてチャンスメイクもできるという。さらに高いレベルになっていくと、1本の勝負になってくる。パスやシュート1本で勝敗が決まる。1本1本を無駄にできない中、全国の舞台でマークされるようになったら、それはそれで楽しみにしている自分がいます。以前はイヤでしたけど、今は楽しめるくらい大人になっている部分があるんです」

「全国に出たいないけれど、これまでやってきたこと、経験してきたことは無駄ではなかった」ことを確認したこの試合。次は自分がどこまでできるのか、その真価を確認する段階になる。

(取材・文 伊藤亮)
●【特設】高校総体2017

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