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王者・市立船橋は後半に東海大星翔圧倒して初戦突破も…隙、甘さあり、思いは「まだまだ」

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市立船橋高は3-0で初戦を突破した。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[7.30 総体2回戦 東海大熊本星翔高 0-3 市立船橋高 みやぎ生協めぐみ野サッカー場Aグラウンド]

 平成29年度全国高校総体 「はばたけ世界へ 南東北総体2017」サッカー競技(宮城)は30日、2回戦を行い、前回大会優勝校の市立船橋高(千葉2)が登場。今大会初戦で東海大熊本星翔高(熊本)と対戦した市立船橋は後半にFW福元友哉(3年)、FW有田朱里(3年)、右SB吉田歩未(3年)が決めたゴールによって3-0で快勝した。市立船橋は31日の3回戦で阪南大高(大阪2)と戦う。

 前半は「自分たちがやってきたことがどれだけ通用するかを出し切ろうと送り出したので、ブロックつくるとか(別の)方法はあったと思うんですけど、(攻撃的なサッカーに)チャレンジさせました」と吉岡宏樹監督が振り返る東海大星翔が、手応えを掴むような35分間になった。

 近江高(滋賀)との1回戦を2-0で制し、39年ぶりの出場で全国初勝利を果たしている東海大熊本は後方からMF花田駿(3年)やMF吉岡涼斗(2年)を経由してボールを正確に繋ぎ、FW渡辺力斗(3年)とFW一怜哉(3年)の強力2トップへ配球。18分にはオフサイドでゴールにはならなかったものの、花田が左サイド後方から蹴り込んだFKをファーサイドの渡辺がダイビングヘッドでゴールへ押し込んで会場を沸かせる。

 その後も花田や渡辺のシュートが市船ゴールを脅かし、右SB泉太貴(2年)がワンツーからPAへ切れ込むなど思い切りよく攻め続けた。市立船橋も福元、有田、松尾勇佑(2年)の3トップを中心に相手にプレッシャーを掛け続け、MF井上怜(2年)の突破からチャンスを迎えるシーンもあったが、前半は要所を封じられて無得点。東海大星翔のCB中村豪主将(3年)が「みんな切らさずに守備できていたし、攻撃でもいい形で抜け出すこともできていたので前半はやれるかなと思いました」と振り返るのも納得の展開だった。

 それでも後半は市立船橋が圧倒。球際の攻防、セカンドボールの拾い合いの部分、走力をはじめ、相手に大きく差をつけた。5分、MF桧山悠也(3年)の放った高精度の右アーリークロスを福元が頭で合わせて先制点を奪うと、ギアを落とすことなく東海大星翔を飲み込んだ。

 千葉内定の左SB杉山弾斗(3年)がアグレッシブに前線を追い越してオーバーラップし、3ボランチの左右に位置する桧山と井上もグイグイと前に出ていく。反撃する相手がゴールに近づく前にMF平川孟人(3年)や杉山らが完璧にボールを奪いきってまた攻撃へ。東海大星翔はGK深松裕太朗(3年)のファインセーブで何とか食い下がったものの、運動量が落ちて対抗することができない。

 渡辺が「強かったと思います。正直歯が立たなかったですね」と完敗を認めるなど東海大星翔にほとんど何もさせずに攻め続けた市立船橋は21分、GK長谷川凌(3年)がDFラインの背後へ正確なフィードを入れると、処理にもたついた相手守備陣からボールを奪い取った有田が右足で決めて2-0。さらに30分には、左サイドの交代出場MF郡司篤也(2年)から有田を経由して右サイドを駆け上がった吉田までボールを繋ぎ、最後はPAまで切れ込んだ吉田がニア上へ豪快な右足シュートを決めて3-0とした。

 その後、郡司の左足ミドルがクロスバーを叩くなど追加点を奪うことはできなかったが、公式記録上での後半のシュート数は21-0。最後は期待のルーキー・右SB畑大雅(1年)とMF 鷹啄トラビス(1年)を同時投入するなど、先を見据えた戦いもした市立船橋がまず1勝を挙げた。

 3-0で快勝も試合後、市立船橋の朝岡隆藏監督は「まだまだです。スキはあるし」と一刀両断。そして「軽いですよ。サッカーに対してもそうだし、勝負に対してもそうだし。何のためにサッカーをしているのというところに対して答えを出していないままやっている選手が多いので。いい選手とそうでない選手の最後の瀬戸際は思いだと僕は思っているので。その思いが足りない」と続けた。

 市立船橋の選手としてピッチに立つというプライド。スタンドで控え選手が見守る中、市船のユニフォームをまとうに相応しいプレーを前半から継続してやることができたか。それがまだできていないと選手たち自身も感じている。主将の杉山は「前半の戦い方にしろ、去年、一昨年だったらもっと強度を上げていますし、鎮圧していますし、そういう部分ではまだまだ足りないと思います」と反省。今年はプレミアリーグ前半戦で最下位と結果も出ていない中、自分たちで作ってしまっている隙や甘えを排除しなければ突き抜けた内容、結果を残すチームにはなることはできない。最大目標の冬へ向けて、過酷なトーナメント戦の中で自分たちを知り、個人、チームが成長を遂げる夏にする。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2017

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