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劇的決勝ゴールで旭川実を逆転!「チーム一丸となって戦う」日大藤沢が初のベスト4!

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後半35分、決勝点を喜ぶ日大藤沢高イレブン

[8.2 総体準々決勝 日大藤沢高 2-1 旭川実高 みやぎ生協めぐみ野サッカー場Bグラウンド]

 平成29年度全国高校総体「はばたけ世界へ 南東北総体2017」サッカー競技(宮城)は2日、準々決勝を行った。みやぎ生協めぐみ野サッカー場Aグラウンドの第2試合では日大藤沢高(神奈川2)が旭川実高(北海道2)に2-1で勝利した。

 チーム史上初となるベスト4進出を決めた日大藤沢だが、試合開始直後はスピード溢れる旭川実の攻撃と前からの連動した守備に苦戦。前半11分には、中盤でのボールロストから、左サイドを崩されると、MF中田怜冶(3年)に豪快な一撃を決められ、ビハインドを負った。

 しかし、失点後からは「後ろの選手はボールを動かしたい。前の選手は引き出したいと、前と後ろのイメージがかみ合わなかった」(佐藤輝勝監督)という課題を修正。ターゲット役のFW柏木純(3年)への配球を合図に、2列目がセカンドボールを高い位置で回収する動きを徹底し、後方からMF{梶山かえで}}(2年)らが積極的に前方へ飛び出し、旭川実のゴールに迫った。すると、30分には柏木のポストプレーから、DF中村翔輝(3年)が左サイドを攻撃参加。最後はゴール前に上がったクロスをFW桐蒼太(3年)が頭で合わせ、同点に追いついた。

「ゲーム展開が変わると伝えていた時間帯に失点してしまった」と富居監督が振り返った旭川実に対し、日大藤沢にとって桐のゴールは「前半のうちに追いつけたのが大きかった」(佐藤監督)。勝負所をきっちり物にした日大藤沢へと流れが傾いた後半は、佐藤監督の「相手のサイドは縦に速くて本当に良い。その良い選手を封じるためには、サイドバックが行くしかない。俺たちは守って凌ぐのではなく、相手に積極的に守備をさせよう」という指示通り、右のDF櫻井風我(2年)と左の中村が果敢にオーバーラップを仕掛けてサイドを制圧した。

 終盤に「あの2人がベンチにいるのが、全国レベル」と敵将である富居監督が舌を巻いたFWギブソン・マーロン(3年)と三田野慧(3年)の2人を投入してからは、日大藤沢の勢いが更に加速。旭川実を押し込み、後半25分にはPA前からマーロンがクロスバー直撃弾を放った。

 31分には三田野のシュートのこぼれを中村が押し込んだが、左ポストに阻まれるなど、追加点が奪えず時計の針が進んでいったが、PK戦が視野に入った35分に、試合が再び動いた。サイド攻撃から右CKを獲得すると、中村がゴール前にクロスを展開。MF小屋原尚希(3年)が頭で合わせたボールを最後は、梶山が押し込み、日大藤沢が逆転に成功すると、直後にタイムアップの笛が鳴り響いた。

 劇的な逆転勝利は部員全員で戦う姿勢が導いた物だ。3回戦まではチーム内で選ばれた40人がスタンドから声援を送った。3回戦後に神奈川へと戻ったため、この日は本来、応援の予定がなかったが、保護者やスタッフの尽力によって、応援バスを確保。学校側の理解もあって、部員のほぼ全員である約80人が宮城まで駆け付け、懸命に声をからした。

「後半のきつい時間に、皆の声を聞くと自分たちの力になる。最後までアイツらの想いも背負って戦わないといけないとも思えたし、最後に粘り強く1点獲れたのはアイツらがいたから」。そう表現するのは主将のDF安松元気(3年)。佐藤監督も「チーム一丸となって戦えたのは本当に大きかった。あの時間に半歩先、一歩先まで足が伸びた応援のおかげかなと思う」と口にする。

「自分たちは上手くないし、圧倒的な個もいない。だからこそ、チーム一丸となって戦うことを目標にしている」と安松が続けた言葉は、ピッチに立つ11人、メンバー登録の17人だけでなく、部員全員で戦うという意味での決意表明と言える。準決勝もチーム一丸となって、市立船橋高(千葉2)をなぎ倒すつもりだ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校総体2017

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