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「そこも行くのか!?」、球際で引かない市船MF平川が後半ATにビッグプレー

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市立船橋高MF平川孟人(右)は球際で引かず、身体を張ったプレーで勝利に貢献

[8.2 総体準々決勝 関東一高 1-2 市立船橋高 ひとめぼれスタジアム宮城]

 市船にとっては当たり前のプレーだったのかもしれない。それでも、見た人たちにとっては「それも行くのか!?」というビッグプレー。2-1とリードして迎えた後半アディショナルタイム、自陣中央のルーズボールに市立船橋高MF平川孟人(3年)は躊躇することなく足を踏み出した。

 攻撃に人数を掛けていた関東一高側にしてみれば、奪って抜け出せばビッグチャンスになる状況。MF村井柊斗(3年)も勢いを持ってボールを掻っ攫おうとしていた。だが、平川は怯まない。激しい衝突音の後、ボールは市立船橋側に繋がり、最後はFW福元友哉(3年)がシュートまで持ち込んでCKを獲得した。覚悟の攻防によって足首を痛めた平川は立ち上がることができず、そのまま負傷交代。それでも、ピンチを逃れた市立船橋は2-1で逃げ切った。

 関東一の小野貴裕監督にとってもこのプレーは大きく映ったようだ。「あそこであの状態で行けばああなりうる状態だと思うんですよ。ぶつかった瞬間(足が)いったなと思うけれど。あの身体の張り方ができる市船の強さ。入れ替わりによるチャンスを生みたかったけれど、させてもらえなかった」。関東一が球際で明らかに劣っていた訳ではない。だが、この決定的なプレーをはじめ、要所で市立船橋の強さにチャンスの可能性を潰されていた。

 試合後、怪我について問題なしを強調していた平川はこのシーンについて「痛かった」と苦笑したが、「球際っていうところは市船の基本ベースのところなので、あそこで引いたら流れを持っていかれると思って思い切り行きました。自分は絶対に引かない。球際というところは引きたくないので行きました」。やはり、本人にとっては当然のプレー。引くことで試合の流れを失いたくないという思いも一歩を踏み出させたようだ。

 今年の市立船橋は個人戦術を含めてボールを奪い切る力が無いことが課題とされている。アンカーとして戦う平川にとっては、その点は強みと言われるように変えなければならない部分。平川は相手のドリブルに対してサイドで厚みを持って守ること、声がけの部分など課題を口にしていた。

 昨年のチームでアンカーを務めていたのは現U-19日本代表のMF金子大毅(現神奈川大)。「全然金子さんより奪えていないのでボールを奪うことにこだわっていきたい」という平川は、怪我の影響で準決勝以降の出場が微妙な状況だが、ピッチに立てば引くことなく、球際でまた戦う。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2017

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