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1年時にした涙の誓い「2年後に全国決勝を戦って勝つこと」。流経大柏はMF宮本優太主将中心に約束果たす

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表彰式で優勝カップを掲げる流通経済大柏高MF宮本優太主将

[8.4 総体決勝 流通経済大柏高 1-0 日大藤沢高 ユアスタ]

 歓喜の表彰式。流通経済大柏高のMF宮本優太主将(3年)が誇らしげに優勝カップを頭上へ突き上げた。主将はこれまで、昨年の準優勝を同じピッチで経験したMF菊地泰智(3年)とともにチームメートに厳しい要求を繰り返す日々。高い意識を持ってチームを引き上げてきた宮本優は「今回は必ず優勝しようと泰智と自分で言ってきたからこういういい結果がついてきたと思うので、これからも続けていきたいと思います」と前を見据えた。

 決勝戦は決して簡単な展開ではなかった。ともに優勝候補に挙げられていた長崎総合科学大附高との準々決勝、前橋育英高との準決勝に続く3連戦。特に前半は後ろに重たい展開となってしまった。

 後半も連続のセットプレーを我慢して跳ね返すような時間帯もあった。だが、宮本優が「押し込まれていても失点しなければいい。必ずチャンスが来るからチャンスを待とうという話をしていた」と振り返ったように、ここで我慢した流経大柏は終盤に流れを引き寄せると、交代出場MF熊澤和希(2年)が決勝ゴール。名門・流経大柏にとって9年ぶりとなる夏の全国タイトルを獲得した。

 本田裕一郎監督はチームを日本一へ導いた主将・宮本優について、18歳のキャプテンシーがまだ欠けていた当初に比べて「キャプテンとはどういうものか分かってきた」と認める。宮本自身もチームをまとめること、ボランチ、守備の柱として結果を残すことの両方は「大変だった」と振り返る。

 だが、ピッチ上では流経大柏の選手が求められているものを体現するかのように献身的に走り、球際で戦い、単独でも相手ボールをもぎ取ってチームを勢い付けていた。決して目立つようなプレーヤーではないが、2年連続で大会優秀選手にも選出されたように、彼がチームにとって欠かせない存在だったことは間違いない。

 宮本優は試合後、約束を一つ実現したことを喜んだ。交わした相手は齋藤礼音コーチ、そして同世代の仲間たち。「この試合が始まる前に『必ず、約束を守ってくれ』と言われてきたので、しっかりそれで一つ優勝できたことは本当に個人としても嬉しいです」。

 宮本優は1年時から学年リーダーとしてチームを牽引してきた。当時1年生チームを指導していた齋藤コーチから「勝負にこだわるスピリット。球際の部分。そこではまず負けないこと」を植え付けられてきたチームは前橋育英、市立船橋高、静岡学園高などと対戦した1年時のRookie Leagueで8勝1分の無敗V。自分たちの世代の「最初の物語」として全勝優勝を目指しながら最終節で引き分け、涙を流すほど悔しがっていた宮本優やMF加藤蓮、FW時岡寛拓、MF石川貴登らは、齋藤コーチとともに2年後に全国決勝を戦って勝つことを誓い合い、Rookie Leagueでの活動を終えた。

 それから2年後、「約束の地」で彼らは勝利。2年越しの物語に優勝という文字を刻んだ。それでも「物語」はまだまだ先へ続く。宮本優は「選手権優勝という目標がまだある」と語り、プレミアリーグ昇格も成し遂げることを誓った。目標を達成するために、物語の中心となってきた主将はチームメートたちにまた厳しい要求をし、彼らとともに勝利を目指す。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2017

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