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「福島復旧・復興祈念ユース大会」旭川実はインハイ8強にも満足感無し。帝京安積戦はドローもサブ組が意欲持ってアピール

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インハイ8強の旭川実高はFW佐々木悠真らがポジション奪取へアピール

[8.6 福島復旧・復興祈念ユース大会 帝京安積高 2-2 旭川実高 西部サッカー場メイン]

 6日、強豪校・Jアカデミーがハイレベルな戦いの中でチーム強化を目指す「2017 第6回 福島復旧・復興祈念ユースサッカー大会」で、ホストチームの一つである帝京安積高(福島)とインターハイベスト8の旭川実高(北海道)が対戦。帝京安積がMF矢吹柊真(2年)とFW五条方猛(3年)のゴールによって2点を先取したが旭川実はMF坂部開人(3年)の2ゴールによって2-2の引き分けに持ち込んだ。

 帝京安積の小田晃監督が「震災直後は福島に人が来てくれなかった。その中でサッカーを通して福島は大丈夫だと発信して、また強化の場にしたい」と尚志高の仲村浩二監督や地元の企業、全国のサッカー仲間などと協力してスタートした「福島復旧・復興祈念ユースサッカー大会」も6年目。今回の参加校では今夏のインターハイで京都橘高と旭川実がベスト8に入り、この大会を経験した後にプロ入りしたり、年代別日本代表入りする選手が出たりするなど夏の福島での戦いが強化に繋がっている。

 この日はインターハイ福島県予選4強の地元・帝京安積が旭川実に挑戦。けが人を除くメンバーで今大会に参戦している旭川実は、インターハイ優秀選手のMF中里颯汰(3年)らは出場せず、インターハイでサブや登録外だった選手たちが先発した。それでも帝京安積は五条方が「見たり、実際に戦って、その経験を自分たちのものにして全国に繋げたい」と語ったように、試合開始から強豪相手にチャレンジする。

 6分、右MF矢吹が中央へ切れ込んで左足一閃。弾丸ミドルがゴールを破り、先制点を奪う。旭川実は前線のFW佐々木悠真(3年)を起点にサイドからの仕掛けやボランチの選手の飛び出しなどで反撃。だが、決定的なチャンスをつくるものの、クロスバーを叩いたり、GK小松楓芽(3年)の好守に阻まれるなど追いつくことができない。

 逆にMF篠木涼太(3年)らが絡んで前線へパスを繋ぎ、五条方が鋭いターンから前進してチャンスメークするなど攻め返していた帝京安積は34分、穂積が左サイドのスペースを突くと、クロスを五条方がねじ込んで2-0と突き放した。

 後半、互いにミスが増える展開となったが、インターハイで躍進するチームを北海道で悔しい思いも抱きながら応援していた旭川実の選手たちが意地を見せる。MF鈴木周人(3年)のスピードを活かした抜け出しなどで反撃する旭川実は25分、切り返しでDFをかわした坂部が右足で追撃ゴール。相手の守備を跳ね返すパワーが失われてきた帝京安積に対し、静岡学園高とのインターハイ3回戦で決勝点を決めているMF金野修那(2年)の右足ミドルなどで攻める旭川実は31分、MF遠藤正志(2年)のクロスを坂部が合わせて同点に追いついた。

 この後のチャンスを活かせず、試合は引き分け。旭川実のサブ組の選手たちは結果を残すことができなかったものの、指揮を執った斎藤達弘コーチは「出た子以上にやらなきゃというモチベーションが出ている」とインターハイの登録メンバー外だった選手たちの勢いを口にしていた。そして「ここから、また勝負」(斎藤コーチ)。インターハイで活躍したかどうかに関係なく、選手たちは一からの競争をしてチームを高めていく。

 インターハイでは同校にとって初の8強入りを果たしたが、チームに満足感は全くなかった。中里は「自分たちの目標にしていた4に行けなかった。あまりベスト8に入ったとか関係ないと思う。北海道でも1位を取れていないので、あのままでは全国出れないので、チームとして、個人としてレベルアップして選手権に臨みたいです。今回(予選などで)勝てたチームでもどんどん力が上がってくると思うので、追いつかれないようにしていかないといけない」。むしろ、4強に入ることのできなかった悔しさを滲ませ、選手権への決意を口にしていた。

 昨年は10月末には地元・旭川に雪が降り始めるなど、難しい環境の中での挑戦となるが、選手たちは悔しさもエネルギーに成長を遂げ、選手権で目標の全国4強入りを達成する。

(取材・文 吉田太郎)

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