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新潟から山口へ…2度目の“武者修行中” MF小塚和季、葛藤抱えつつも「やるしかない」と決意

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ドリブル突破を図るレノファ山口FCのMF小塚和季

[8.11 J2第27節 千葉2-1山口 フクアリ]

 1点のビハインドを背負っていたレノファ山口FCベンチが、後半18分に動く。最初の交代カードとしてピッチに送り込まれたMF小塚和季は、圧倒的に千葉にボール支配された試合展開に「少しでもウチの時間を作れたらと思い試合に入ったし、出たら得点に絡むことを意識していた」と自らの任務を遂行しようと燃えていた。

 時計の針が進んでいく中、試合終了間際の後半42分に小塚が魅せる。自陣左サイドでボールを拾うと、ワンフェイクを入れて縦に抜けて一気に加速する。相手の追走を許さずに斜めに切れ込みPA付近まで持ち運ぶと、「1回スピードを落としたときにキシ君(FW岸田和人)が見えて、そこに狙いを定めた」と中央のエリアからPA内に走り込もうとする岸田にロックオン。「右を見て相手を騙すようにした」と右に視線を送りながらも岸田の足元へ鮮やかなスルーパスを届けて決定機を演出すると、岸田がDF近藤直也のファウルを誘って獲得したPKから同点ゴールが生まれた。

 だが後半アディショナルタイムに千葉に決勝点を献上して1-2の敗戦。当然悔しさが残るが、自身のプレーについては納得のいく部分もあった。「ボールに触る回数が少なかったけど、その中で決定的なチャンスを作れたのは良かった」。しかし、「(岸田とも)話したけど、アシストがつかないので、倒れないで決めてくれたら、もっと良かった」とおどけつつ、アシストへの強いこだわりを示した。

 13年に帝京長岡高から新潟に加入した小塚は、14年7月に当時JFLに在籍していた山口に期限付き移籍。チームの主軸となり、J3参入、そして翌年のJ2昇格に大きく貢献した。だが、1年半の武者修行を終えて16年に新潟に復帰したものの、J1リーグ出場は6試合にとどまった。

「新潟に戻ってJ1で1年プレーしてみて、もう少し試合を読む力や決定的な仕事という部分を成長させたくて、もう一度山口に来た」と今季、期限付き移籍加入で戦いの場を再び山口に移した。しかし、JFL時代からチームを率いていた上野展裕前監督がシーズン途中に退任し、カルロス・マジョール新監督が就任したことで、「(上野監督とは)求められているものが違う」と戸惑いもあるという。

「サイドで使われることが多く、ドリブルで仕掛けてほしいと言われています。個人的にはもう少し組み立てに参加したいので、監督に意思を伝えながら、練習からやっていくしかないし、与えられたポジションで結果を残していくしかない」

 全試合フル出場を果たしていた上野体制とは異なり、ベンチスタートも増えたが、前を向いてやるしかない。チーム最多タイとなる6得点を決めている男は、「個人的にはアシストにこだわっている。今年は全然決定的なパスを出せていないので、それを増やしたい」と自慢のパスを駆使して自身の存在価値を改めて証明し、2度目の武者修行も成長へとつなげていく。

(取材・文 折戸岳彦)
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