アーセナルがプレミアリーグ優勝にかける理由…補強と主力残留で与えられた価値を証明するとき
プレミアリーグ覇者のチェルシーを決勝で下しFA杯で優勝を果たしたアーセナルではあるが、混乱の2016-17シーズンは失望的な順位でプレミアリーグを終えたと言わざるを得ない。
指揮官であるアーセン・ベンゲル監督の去就が未確定であったことがチームに不安をもたらし、ファンによる抗議活動、ソーシャルメディア上で巻き起こった批判キャンペーン、そしてクラブを全体的に包んだネガティブな雰囲気は、選手たちの心理面に大きな悪影響を及ぼしたことはベンゲル自身認めていることである。
「1月以降、様々な理由で我々はとても難しい状況でのプレーを強いられていた」
「選手たちにとっては対処することがとても難しい理由もあれば、他にも理由はあった。それらはいつの日か語られることになるかもね」
「確かに、私自身の状況が影響を与えたのは事実だが、私のプロフェッショナリズムや献身には何の影響もなかった」
そのようにベンゲルは話している。
21年務めたアーセナルの監督としてのキャリアに終止符を打ち、北ロンドンを離れることになるのではないかという憶測もあったが、最終的には昨シーズン終了直後にベンゲルは契約を2年間延長することにした。
アーセナルは4位リバプールと勝ち点1差の5位で昨シーズンを終えたことにより、今シーズンはヨーロッパリーグを戦うことになるのだが、彼らが抱えるベストプレーヤーたちを残留させることに成功し、そして監督の去就問題も解決されたことは今シーズンを迎えるガナーズが楽観的でいられる大きな理由である。
メスト・エジルとアレクシス・サンチェスはどちらもクラブとの契約延長を結んでおらず、アレクシスに関してはチャンピオンズリーグでプレーしたいという希望を明言しているものの、契約延長に合意するかどうかはさておき、とりあえず今季はアレクシスをチームに残すことにした決断は称賛されるべきだろう。
アレクシスは昨シーズン、30のゴールと17のアシストを記録し、アーセナルのシーズン最優秀選手に選出された。彼のワンマンチームであるというメディアやライバルチームからの声はいささか言い過ぎな面がある。しかし、アレクシスがこの18か月間で見せた貢献と活躍ぶりにより、彼はヨーロッパのすべてのトップクラブから欲しがられる選手となったことは間違いない。
移籍金ゼロでやってきたセアド・コラシナツと、4,650万ポンド(約66億円)でクラブの移籍金記録を更新したアレクサンドル・ラカゼットの獲得は完璧な補強と言えるだろう。
昨シーズンのブンデスリーガでベストイレブンに選ばれたコラシナツは24歳のボスニア・ヘルツェゴビナ代表であり、大きなポテンシャルを秘めた選手だ。ナチョ・モンレアルが務める左サイドバック、あるいはセンターバックとしてアーセナルにスムースにフィットすることができることを、プレシーズンの試合ですでに証明している。
また、昨シーズンは37回ゴールネットを揺らしたラカゼットは、エジルやサンチェスとともに多くのゴールを生み出してくれることだろう。この2人でこの夏のアーセナルの補強は終了したわけではなく、モナコのウィング、トーマス・レマルの獲得についての動向は移籍市場の最終局面までどうなるかわからない。
モナコのバディム・バシリエフ会長はレマルを放出する意思がないことを明らかにしているが、アーセナルはこのフランスの若きウィンガーをメインターゲットとし、移籍市場がクローズされるまで獲得を狙い続けることだろう。
放出選手に関しては、今のところヤヤ・サノゴとボイチェフ・シュチェスニの2人のみである。後者に関しては、ユベントスがジャンルイジ・ブッフォンの後釜に据えたが、ベンゲルにとっては放出を悔やんでいる選手の一人であるかもしれない。
しかし、エミリアーノ・マルティネスのヘタフェへのレンタル移籍は、近い将来彼がアーセナルの守護神となるために、成熟したゴールキーパーへの成長を促すことにはなるだろう。
昨シーズン途中の3-4-3へのフォーメーション変更はすぐに結果として現れ、ベンゲルは今シーズンもそのシステムを採用することになるはずだ。
コラシナツは左ウイングバックのポジションを掴むだろう。一方右ウイングバックのポジションはベジェリンとアレックス・オクスレイド・チェンバレンの2人で争われる。
また、最終ラインに関しては昨シーズンとそれほど変わらない面々が並ぶこととなるだろう。昨シーズン終盤にかけてのロブ・ホールディングの素晴らしいパフォーマンスは彼がプレミアリーグのトップレベルでプレーするクオリティを備えていることを証明するものであったが、左のウイングバックとしてもプレーすることのできるナチョ・モンレアルに対するベンゲルの信頼は非常に厚く、おそらく21歳のホールディングよりもモンレアルに多くのプレー機会が与えられることだろう。
中盤では、サンティ・カソルラがケガから復帰するまでは、グラニト・ジャカとアーロン・ラムジーの2人がセントラル・ミッドフィルダーとしてコンビを組むことになる。
アレクシス、エジル、ラカゼットの攻撃トリオの爆発は、多くのアーセナル・サポーターを興奮させることになるだろう。またバックアップにはアレックス・イウォビ、セオ・ウォルコット、そしてオリビエ・ジルも控えている。
チームに適正なポジション争いをもたらし、余分な給与を減らすためには、当落選上の選手やすでに役に立たない選手を移籍市場が閉まるまでに放出することも重要なことであり、ルーカス・ペレス、マチュー・ドビュシ、キーラン・ギブス、カール・ジェンキンソンといった選手たちはクラブを離れることになるだろう。
スター選手たちが契約延長するかどうか未確定な状況ながら、ピッチ内までその問題を持ち込まなければ、リーグ優勝も狙えるはずだ。選手たちには昨シーズンの失敗を繰り返さず、そして集中力を切らすことなく戦うことが求められる。
この夏の補強は、サポーターがこれまで再三求めてきたクラブとしての意志を示すことができたものとなった。チャンピオンズリーグに邪魔されない今シーズン、リーグの優勝争いに絡み自分たちの価値を証明できるかどうかは、他の誰でもなくすべてチームと選手たち次第である。
文=クリス・ホイットリー/Chris Wheatley
●プレミアリーグ2017-18特集
●欧州移籍情報2017-18
指揮官であるアーセン・ベンゲル監督の去就が未確定であったことがチームに不安をもたらし、ファンによる抗議活動、ソーシャルメディア上で巻き起こった批判キャンペーン、そしてクラブを全体的に包んだネガティブな雰囲気は、選手たちの心理面に大きな悪影響を及ぼしたことはベンゲル自身認めていることである。
「1月以降、様々な理由で我々はとても難しい状況でのプレーを強いられていた」
「選手たちにとっては対処することがとても難しい理由もあれば、他にも理由はあった。それらはいつの日か語られることになるかもね」
「確かに、私自身の状況が影響を与えたのは事実だが、私のプロフェッショナリズムや献身には何の影響もなかった」
そのようにベンゲルは話している。
21年務めたアーセナルの監督としてのキャリアに終止符を打ち、北ロンドンを離れることになるのではないかという憶測もあったが、最終的には昨シーズン終了直後にベンゲルは契約を2年間延長することにした。
アーセナルは4位リバプールと勝ち点1差の5位で昨シーズンを終えたことにより、今シーズンはヨーロッパリーグを戦うことになるのだが、彼らが抱えるベストプレーヤーたちを残留させることに成功し、そして監督の去就問題も解決されたことは今シーズンを迎えるガナーズが楽観的でいられる大きな理由である。
メスト・エジルとアレクシス・サンチェスはどちらもクラブとの契約延長を結んでおらず、アレクシスに関してはチャンピオンズリーグでプレーしたいという希望を明言しているものの、契約延長に合意するかどうかはさておき、とりあえず今季はアレクシスをチームに残すことにした決断は称賛されるべきだろう。
アレクシスは昨シーズン、30のゴールと17のアシストを記録し、アーセナルのシーズン最優秀選手に選出された。彼のワンマンチームであるというメディアやライバルチームからの声はいささか言い過ぎな面がある。しかし、アレクシスがこの18か月間で見せた貢献と活躍ぶりにより、彼はヨーロッパのすべてのトップクラブから欲しがられる選手となったことは間違いない。
移籍金ゼロでやってきたセアド・コラシナツと、4,650万ポンド(約66億円)でクラブの移籍金記録を更新したアレクサンドル・ラカゼットの獲得は完璧な補強と言えるだろう。
昨シーズンのブンデスリーガでベストイレブンに選ばれたコラシナツは24歳のボスニア・ヘルツェゴビナ代表であり、大きなポテンシャルを秘めた選手だ。ナチョ・モンレアルが務める左サイドバック、あるいはセンターバックとしてアーセナルにスムースにフィットすることができることを、プレシーズンの試合ですでに証明している。
また、昨シーズンは37回ゴールネットを揺らしたラカゼットは、エジルやサンチェスとともに多くのゴールを生み出してくれることだろう。この2人でこの夏のアーセナルの補強は終了したわけではなく、モナコのウィング、トーマス・レマルの獲得についての動向は移籍市場の最終局面までどうなるかわからない。
モナコのバディム・バシリエフ会長はレマルを放出する意思がないことを明らかにしているが、アーセナルはこのフランスの若きウィンガーをメインターゲットとし、移籍市場がクローズされるまで獲得を狙い続けることだろう。
放出選手に関しては、今のところヤヤ・サノゴとボイチェフ・シュチェスニの2人のみである。後者に関しては、ユベントスがジャンルイジ・ブッフォンの後釜に据えたが、ベンゲルにとっては放出を悔やんでいる選手の一人であるかもしれない。
しかし、エミリアーノ・マルティネスのヘタフェへのレンタル移籍は、近い将来彼がアーセナルの守護神となるために、成熟したゴールキーパーへの成長を促すことにはなるだろう。
昨シーズン途中の3-4-3へのフォーメーション変更はすぐに結果として現れ、ベンゲルは今シーズンもそのシステムを採用することになるはずだ。
コラシナツは左ウイングバックのポジションを掴むだろう。一方右ウイングバックのポジションはベジェリンとアレックス・オクスレイド・チェンバレンの2人で争われる。
また、最終ラインに関しては昨シーズンとそれほど変わらない面々が並ぶこととなるだろう。昨シーズン終盤にかけてのロブ・ホールディングの素晴らしいパフォーマンスは彼がプレミアリーグのトップレベルでプレーするクオリティを備えていることを証明するものであったが、左のウイングバックとしてもプレーすることのできるナチョ・モンレアルに対するベンゲルの信頼は非常に厚く、おそらく21歳のホールディングよりもモンレアルに多くのプレー機会が与えられることだろう。
中盤では、サンティ・カソルラがケガから復帰するまでは、グラニト・ジャカとアーロン・ラムジーの2人がセントラル・ミッドフィルダーとしてコンビを組むことになる。
アレクシス、エジル、ラカゼットの攻撃トリオの爆発は、多くのアーセナル・サポーターを興奮させることになるだろう。またバックアップにはアレックス・イウォビ、セオ・ウォルコット、そしてオリビエ・ジルも控えている。
チームに適正なポジション争いをもたらし、余分な給与を減らすためには、当落選上の選手やすでに役に立たない選手を移籍市場が閉まるまでに放出することも重要なことであり、ルーカス・ペレス、マチュー・ドビュシ、キーラン・ギブス、カール・ジェンキンソンといった選手たちはクラブを離れることになるだろう。
スター選手たちが契約延長するかどうか未確定な状況ながら、ピッチ内までその問題を持ち込まなければ、リーグ優勝も狙えるはずだ。選手たちには昨シーズンの失敗を繰り返さず、そして集中力を切らすことなく戦うことが求められる。
この夏の補強は、サポーターがこれまで再三求めてきたクラブとしての意志を示すことができたものとなった。チャンピオンズリーグに邪魔されない今シーズン、リーグの優勝争いに絡み自分たちの価値を証明できるかどうかは、他の誰でもなくすべてチームと選手たち次第である。
文=クリス・ホイットリー/Chris Wheatley
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