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[adidas Cup大阪]判断の部分をチームにとって「確固たるもの」に。湘南工科大附が佐野日大に競り勝ち、決勝進出!

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後半13分、湘南工科大附高はDF岩本陸(64番)が決勝ゴール

[8.15 adidas Cup2017大阪準決勝 佐野日大高 1-2 湘南工科大附高 J-GREEN堺]

 強豪13校が優勝を争う「adidas Cup2017大阪大会」は15日午後、準決勝を行い、昨年度全国高校選手権4強の佐野日大高(栃木)と湘南工科大附高(神奈川)との一戦は2-1で湘南工科大附が勝った。湘南工科大附は16日午前の決勝で帝京大可児高(岐阜)と戦う。

 序盤からショートパスを繋ぎ、FW岩崎駿主将(3年)やMF田原廉登(2年)の仕掛けもアクセントに攻める湘南工科大附は10分、左SB長橋由己(3年)の縦パスを起点とした攻撃から田原の折り返しをMF小野寺亮太(2年)が右ポスト直撃の右足シュート。12分にも田原の落としから小野寺が右足シュートを打ち込むなど試合の主導権を握った

 一方の佐野日大は奪ったボールを前線で収めることができず。また序盤は守備面でも甘さが出てボールを奪い切れなかったり、シュートを打たれてしまったりしていた。そして16分、湘南工科大附は左タッチライン際で前を向いた田原がMF三嶋晴仁(3年)とのワンツーでPAへ潜り込むと、そのまま右足シュートをゴール右隅へ突き刺した。

 この日、湘南工科大附はDF鶴田智也(1年)ら下級生5人が先発。室井雅志監督が「B戦で良かった。Aではどうかなと。思ったより頑張れていた」と評したMF小島心都(1年)のスルーパスから素晴らしいボールタッチをした田原が抜け出すなど、下級生も噛み合った攻撃を見せていた。

 佐野日大は攻撃の精度を欠いて守備の時間が長くなってしまっていたが、それでも徐々に縦パスを入れて繋ぐ部分と、アーリークロスへのダイナミックな飛び出しなどの大胆な部分の攻撃が表現でき始める。FW山田大樹(2年)のポストプレーやFW篠原博樹(3年)の抜け出しから相手ゴールへ迫った佐野日大は28分、3連続CKで相手にプレッシャーをかけると、DF安藤慶伍(3年)の右CKをDF大塚健斗(2年)が頭で決めて同点に追いついた。

 だが、湘南工科大附は後半13分、長橋の右CKを大外から飛び込んだDF岩本陸(2年)が頭で決めて再び勝ち越す。直後、佐野日大は交代出場FW長谷川航(2年)の右足ミドルが枠を捉えるが、GK高橋亮輔(3年)のファインセーブに阻まれると、その後、セットプレーのチャンスを幾度か作ったが得点に結びつけることができない。

 海老沼秀樹監督が「もうちょっと精度を上げないと。もっとやりこんでいかないといけない」と語っていた佐野日大に対し、徹底して繋ぐ湘南工科大附はリードしているにもかかわらず、狭い局面で繋ぎに行ってミスが起き、カウンターを食らうシーンなどがあった。

 DFラインにもプレッシャーをかけてきた相手を見て、ボールを動かすことができなかったことを室井監督は指摘。相手の反撃を振り切って勝利したものの、チームのこだわっている判断の部分を課題にも挙げていた。

 湘南工科大附は今年の総体予選ベスト4。優勝候補筆頭の桐光学園高や2年連続全国を目指した慶應義塾高などを倒したものの、代表決定戦で東海大相模高に1-5で敗れた。室井監督は激戦区・神奈川を勝ち抜くための「確固たるものが欲しい」という。チームにとっての「確固たるもの」になりうる武器は「判断」の部分。指揮官はそれを磨いて「ボールを動かして裏を取るんだというところにこだわって欲しい」と期待していた。

 現状はまだまだ「チームのまとまりとか、守備の行き方とか、課題ばっかり」(岩崎)というチーム。こだわって精度を磨く部分と、勝つために必要な力の両方を選手権までに身につけることを目指す。今回の「adidas Cup2017大阪大会」は優勝して終わることが重要。岩崎が「この大会で勝ち切れるチームに」と語ったように、最近大一番での勝負弱さを指摘されている湘南工科大附は決勝も勝ち切って、優勝して、秋冬の戦いへ弾みをつける。

(取材・文 吉田太郎)

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