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「ずっと一人ぼっちでいた…」浦和MF阿部、“約5分間の中断”も集中切らさず決勝PK弾

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決勝点を奪った浦和レッズMF阿部勇樹

[8.15 スルガ銀行チャンピオンシップ2017 浦和1-0シャペコエンセ 埼玉]

 残り2分となった後半43分だった。PA内でFWズラタンがDFグローリに倒されたとして、浦和レッズにPKが与えられると、シャペコエンセの選手は猛抗議。韓国人のキム・ジョンヒョク主審を取り囲んで抗議を続ける中、キッカーを務めるためにボールを持った阿部勇樹は一人集中していた。

 時間にして約5分間の中断。「どれだけ集中できるか。ずっと一人ぼっちでいました」。そして、ピッチ上が落ち着き始めると、阿部がペナルティースポットへと向かう。相手GKジャンドレイがなかなか守備につかなかったものの、その間も集中力を切らさず。ゆっくりとした助走から、右足で蹴り出したボールはゴールネットを揺らし、決勝点が生まれた。

 対戦相手のシャペコエンセは昨年11月に悲劇の飛行機墜落事故に遭って多くの選手、スタッフを失い、一時はチーム存続も危ぶまれた。しかし、国内外の多くのクラブのサポートもあり、現在は短期間での再建に成功している。「僕らも見に来てくれた方も忘れられない試合になったと思う」と試合後のインタビューで振り返った阿部は、「シャペコエンセも一歩一歩前進していくチームだと思うので、僕らも頑張っていきたい」と続けた。

(取材・文 折戸岳彦)

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