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[MOM2190]浦和東FW市川雄一(3年)_下級生エースの不在でつかんだ「チャンス」

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八頭高戦で2得点を挙げた浦和東高FW市川雄一(3年)

[8.17 アンダーアーマーチャレンジカップ 浦和東5-0八頭 いわきグリーンフィールド]

 “今季最後の夏遠征”として臨んだ「アンダーアーマーチャレンジカップ2017 SUMMER」の初戦で、下級生エースの負傷で出場機会を得ている浦和東高のFW市川雄一(3年)が2得点という結果を出した。鈴木豊監督が「最近グッと上がってきた」と太鼓判を押す180cmの長身ストライカーは、自らの課題と向き合いながら、レギュラー争いに名乗りを上げている。

 「リーグ2」の第1節で行われた八頭高戦、ワントップで出場した市川はどの選手よりも先に輝きを放った。キックオフを告げるホイッスルが鳴ったばかりの前半1分、相手のクリアミスがゴール前に浮かんだのを見逃さず、長身を生かして真っ直ぐに突進。相手GKが慌てて手を伸ばした時には、すでに市川の頭が先にボールに触れていた。

 自らの武器で貴重な先制点を挙げた市川だったが、FWのポジション争いは指揮官が「似たようなタイプ」と評価する183cmのFW小川翼(2年)がリードしている。今冬の新人戦など公式戦でも出番を重ねている下級生には、市川も「小川君はクロスに飛び込んで点を取れるし、前線でタメを作れるところもすごい」と舌を巻く。

 ところが約2週間前、小川が足首を負傷して離脱。急きょ「自分にチャンスが来ている」(市川)という状況になった。8月上旬に石川県で行われた和倉ユース大会でも出場機会を得て、Jユースや高体連の強豪チームと対戦。ただし、そこで直面したのは「前線でキープする時のフィジカルが足りない」という課題であり、「相手のレベルが上がってくると、つぶされてしまう」という現実だった。

 しかし市川は、もう一つの武器を得ようと努力を重ねていた。それは「クロスやロングスローへの入り方」だ。浦和東にはDF小林雄太(3年)など鋭いクロスを武器にする選手に加え、DF市村悠太朗(3年)のロングスローという飛び道具もある。そこでチーム全体の狙いでもある、「ニアでつぶれてくれる選手の背後でディフェンスより先にボールに触るか、ニアでターゲットになって味方につなぐ」(市川)という動きの練習を続けていた。

 そんな鍛練が、この試合の前半17分に結実する。右サイドでボールを持った小林がクロスを送ると、ニアでFW鈴木悠斗(3年)がフリック。その背後でゴール前に走り込んだ市川は、相手ディフェンスよりも先にボールをプッシュし、チームの勝利を決定づける自身2得点目を決めた。

「クロスへの入り方をずっと意識していた。ニアの人がつぶれたときに、相手の前で触れてよかった。チームの中でもやってきたことが少しずつ出せているので、結果がついてきてうれしい」(市川)。

 指揮官は試合後、「セカンドボールや味方のクリアボールへの反応、ロングボールへの競り合い方、まだまだ足りないところが多い」と市川への高い要求を口にした。市川も「まだ強いチームには通用しない」と自身の働きに満足した様子はない。

「もっともっとフィジカルで相手を押さえられるようにならないといけないし、そのためにはもっと体幹を鍛えないといけない」(市川)。そう語ったこの日の全行程終了後、全チームが参加して行われた合同講習会で、体幹トレーニングとひたむきに向き合う市川の姿があった。

(取材・文 竹内達也)

●アンダーアーマーチャレンジカップ2017 SUMMER

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