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[UAチャレンジカップ]“スタメン全員3年生”の浦和東が2年ぶり優勝!延岡学園にリベンジ

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2年ぶりの優勝を果たした浦和東高

[8.19 アンダーアーマーチャレンジカップ決勝 浦和東5-0延岡学園 いわきFCフィールド]

 高校12チームが参加する「アンダーアーマーチャレンジカップ2017 SUMMER」は19日、大会最終日を迎え、いわきFCフィールドで決勝を行った。一昨年大会覇者の浦和東高(埼玉)と今大会で快進撃を見せてきた延岡学園高(宮崎)が対戦。浦和東が5-0で大勝を収め、2年ぶりの優勝を果たした。

 両者は初日(17日)に行われたグループリーグ第2節で対戦しており、優勢に思われた浦和東は延岡学園に0-2の完封負け。「身体が動いていなかったし、決められるところを決められなかった。そんな中で先に点を取られてしまい、うまく時間を使われた終盤にカウンターでやられた」(鈴木豊監督)という苦しい試合となった。

 だからこそ、選手もスタッフもこの一戦にかける思いは格別だった。鈴木監督は「あの敗戦を目の当たりにして、選手たちも『延岡学園に勝つ』ということを意識して臨んでいた。試合前には延岡学園さんのサッカーに対応する方法を説明した」と、準備万端で“リベンジマッチ”に入ったことを明かした。

 そんな浦和東はスタメン全員が「最後の選手権に向けた思いが強い」(鈴木監督)と選んだ3年生。勢い良く攻勢に出た立ち上がりから主導権を握り、早々に試合を動かした。前半7分、右サイドでパスを受けたDF小林雄太(3年)が攻め上がってクロスを送ると、ゴール前に走り込んだFW市川雄一(3年)がトラップミス。それでも大きなバウンドがゴール方向に転がり、延岡学園GK阿萬薫秋(2年)の頭上を越え、そのままネットを揺らした。

 ラッキーな先制点となったが、小林にとっては「練習でもクロスにはこだわっていて、自分のクロスは一つの得点源。市川はクロス練習でも中に入ってくれていたので、うまくやれた」と納得のアシスト。市川は「トラップしようとしたらボールが流れてしまったので、ゴールはたまたま」と苦笑いも、「良いクロスがずっと入ってきていたので、入り方を話し合ってから行けた」と振り返った。

 その後も攻撃の手を緩めない浦和東は前半13分、左サイドからドリブルでカットインしたMF野口滉平(3年)がPA内で倒され、主審はPK判定を下す。キッカーのDF市村悠太朗(3年)は落ち着いて右に蹴り込み、タイトル獲得に向けて貴重な追加点を奪った。

 そして圧巻だったのは前半17分、野口が自陣からのロングフィードを受け取ると、左サイドを単独突破。左足の鋭いキックフェイントで相手をかわすと、右足に持ち替えて体勢を崩しながらも振り抜いた。すると、ボールはGKが届かないファーサイドにゴールイン。「想定どおりのコース」(野口)という自画自賛の一発で、浦和東は早々に3点のリードを確保した。

 ところが浦和東は22分、指揮官も「アイツがいないとどうなっちゃうんだろう」と頼りにしている大黒柱のMF青木兵吾(3年)が首を痛め、リベロの代役にはDF安食龍成(1年)が入った。それでも不慣れな布陣ながら集中した守備を展開し、延岡学園のFW若子内祐吾(2年)、MF福満駿斗(2年)を中心としたショートパス攻撃を寸断。前半を3-0で終えることに成功した。

 ハーフタイム明け、浦和東は市川に代えてFW飛田ハヤート・アリ(1年)を投入し、まだまだ前に出る。まずは後半8分、右サイドをカウンター気味に突破した飛田がクロスを送り、ゴール前に走り込んだ根本がヘディングでゴール。同16分には、中盤のスペースで前を向いたMF石塚陸斗(2年)がミドルシュートを叩き込み、5-0となった。

 その後、フォーメーションを4バックに変えた浦和東に対し、延岡学園は控え選手を次々に投入して打開を図る。GK上村学(3年)がビッグセーブを見せ、MF小田優真(3年)が積極的に攻撃に絡むなど、途中出場の最上級生も意地を見せたが、最後まで浦和東のゴールを割ることはできず。0-5のまま試合終了のホイッスルが吹かれ、快進撃を見せた“宮崎の個性派軍団”の挑戦は準優勝で幕を閉じた。

 優勝を果たした浦和東の鈴木監督は大会を振り返って、「延岡学園さんが良い“転機”になってくださいました」と笑み。「初戦で(八頭高に5-0の)大勝をしてしまい、高校生なのでちょっと勘違いした部分もあったかもしれない。ただ、その次の延岡学園戦で負けて、いい勉強をさせてもらった。自分たちのサッカーを見つめ直す機会になり、決勝では自分たちのペースに持っていけた」と2度も対戦した相手に感謝の言葉を語った。

 この試合では、浦和東の卒業生で、現在はこのピッチを練習場に使用しているるいわきFC所属のFW菊池将太がベンチで見守った。菊池は浦和東が最後に全国選手権に出場した2011年度のメンバーで、全国大会の優秀選手にも選ばれたストライカー。当時より一回り身体が大きくなった先輩を目の当たりにし、後輩たちも刺激になったようだ。

「昨年は今年より良い選手がそろっていたのに、先制点を奪われたところで盛り返せず負けてしまった。だから今年はいろんな状況で、いろんなことを考えてプレーできるようにやってきた。このまますんなり行くとは思えないけれど、夏の強化はうまくいっているので、これから再開する県リーグで総仕上げをして、10月の選手権予選にしっかり臨みたい」(鈴木監督)。

 個性豊かな12チームが集まった「アンダーアーマーチャンピオンシップ」で見事に栄冠を手にした浦和東は、次なる挑戦の舞台に進む。

(取材・文 竹内達也)

●アンダーアーマーチャレンジカップ2017 SUMMER

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