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[UAチャレンジカップ]“個性派軍団”延岡学園は準V、野洲から転校のFW若子内「ここから這い上がる」

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攻撃をけん引したFW若子内祐吾(2年)

[8.19 アンダーアーマーチャレンジカップ 浦和東5-0延岡学園 いわきFCフィールド]

 破竹の快進撃で決勝進出を果たした延岡学園高だったが、タイトルをかけて臨んだ浦和東で0-5の大敗を喫した。懸念していた大量失点での終幕に、大羽洋嘉監督は「これが自分たちの実力」と肩を落としたが、「とてもいい経験をさせてもらった」と今後に向けた手応えも。地元クラブチームのバスで20時間かけてやってきた“個性派軍団”は、12チームが集まった「アンダーアーマーチャレンジカップ」で、はっきりとした爪痕を残した。

「聖和学園さん、野洲さん、久御山さんなどに肩を並べられるような存在になりたい」。強化3年目のチームをその前年度から指揮する大羽監督が話すように、延岡学園はショートパスとドリブルで崩し切る攻撃スタイルが特長。「テクニックではどこにも負けないようにやっている」との言葉どおり、試合前練習でも細かいスペースでのボールタッチにひたすら時間を割いていた。

 今大会では、自慢の“密集攻撃”が各チームを大いに苦しめた。グループステージを首位通過して迎えた準決勝の明秀日立高戦では、屈強なフィジカルで攻める相手に押し込まれて1点ビハインドを喫する展開ながら、少ない攻撃機会で着実に見せ場を作った。そして迎えた後半、FW若子内祐吾(2年)、MF福満駿斗(2年)、MF常盤駿斗(2年)が左サイドの細かいスペースでつないで抜け出す場面が増え、終盤にFW矢野勇斗(3年)の横パスからMF富山巧望(2年)が同点ゴールを陥れた。

 一方、決勝では今大会2回目の対戦となった浦和東に対策を講じられ、自分たちのプレーをすることができず。「ちょっと入りが硬くなってしまい、先に失点をしてしまったことが悪かった。自分たちのペースに持って行きたかったが、それもさせてもらえなかったのが強豪校との差だと感じた」(大羽監督)という悔しい敗戦となった。

 2年生が中心となる攻撃陣をけん引した若子内は、「自分自身としてもチームとしても、もっとやれたはず。こんな形で終わってしまったのがだいぶ悔しい。甘さが出た部分もあった」と唇をかんだ。それでも、快進撃を見せた大会で選抜メンバーに選ばれ、「タイトルを取るためここに来たので、この成績は想定内だが自信になった」と手応えを得たという。

 若子内は今春に野洲高から転校。中学時代に所属していた愛知セゾンの同期で、延岡学園に入学した福満らを頼って来たが、夏のインハイ予選は“6か月規定”によりメンバー入りできなかった。だからこそ、公式戦デビューを迎える選手権予選にかける思いは大きく、「ここは名門じゃないからこそ、自分たちで這い上がっていくチーム。選手権の舞台では“延学”のサッカーを見せて、自分はプロのスカウトとか関係者をびっくりさせるプレーをしたい」と意気込む。

 また、指揮官が「やっぱり思い入れがあります」と話す“強化1期生”の3年生にとっては選手権が最後の大会となる。若子内とともに選抜メンバー入りを果たした右サイドのFW糸永友也(3年)は、キャプテンのDF芝崎圭祐(3年)とともに大分県のクラブチームからの越境入団組。「中盤の2年生がうまいので、攻撃は頼る部分が大きい。裏に抜けるプレーなど、自分を犠牲にしてでも戦いたい」と強力な下級生を信頼し、「全国に出て、ドリブルとパスを効果的に使って相手を翻弄するサッカーをしたい」と誰もが憧れる大舞台で活躍を誓う。

「選手権予選に向けて、自信になった部分と、課題が表れた部分があった」と大会を総括した大羽監督。「今後も九州にはない、自分たちのスタイルは崩したくない」としながらも「全国に出るためには結果にこだわる」と狙いは明確だ。総体予選では日章学園高に0-9で大敗した延岡学園が、どこまで差を詰めるのか、それとも上回ることができるのか。九州の“個性派軍団”に注目だ。

(取材・文 竹内達也)

●アンダーアーマーチャレンジカップ2017 SUMMER

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