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ルヴァン杯でトップデビューの浦和DF橋岡、クラブでも代表でも「どんどん結果を出して、上へ…」

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ルヴァン杯準々決勝第2戦で競り合いを見せる浦和レッズDF橋岡大樹

[9.3 ルヴァン杯準々決勝第2戦 浦和2-2C大阪 埼玉]

 3日に行われたセレッソ大阪とのルヴァン杯準々決勝第2戦で、待望のトップチーム初先発を迎えた浦和レッズのDF橋岡大樹は、わずか45分間の出場にとどまった。それでも持ち味のフィードを随所に見せ、前半終了間際には気迫のこもったロングシュートも披露。「誰にも負けたくない」と進歩を続けるファイターが、プロのレベルにたどり着こうと必死にもがいている。

 中学3年時からユースチームで出番をつかんだ有望株のトップチームデビューは、8月30日、C大阪とのルヴァン杯準々決勝第1戦で突然訪れた。後半13分、今夏から加入したDFマウリシオが左足首を痛めてプレーを続行できなくなると、2種登録選手としてベンチに入っていた高校3年生にお呼びがかかった。

「本当は試合に出るはずじゃなかったと思うんですけど、ああいう形でチャンスをもらった。マウリシオ選手の負傷は、チームにとっては決して良いことではないけど、自分にとってあそこで出られたのは良かった。何かがチャンスをくれたんだと思うし、そこで躊躇なくプレーできた」。そう振り返った橋岡は、身体を張った守備でアウェーでの無失点に貢献した。

 そうして迎えた第2戦、背番号44は初めてスターティングイレブンに名を連ねた。ところが、前半のうちにセットプレーで2点を先行される展開に。失点には直接的に絡まなかったものの、ハーフタイムにDF森脇良太と交代し、ピッチを後にした。アウェイゴールで上回られて準決勝進出を逃した試合後、橋岡は「まだまだ差がたくさんある」と悔しさを隠さなかった。

 それでも「もっと出て行きたかった」という攻撃面では、チャレンジングな試行錯誤が見て取れた。前半20分、FWラファエル・シルバを低く狙ったボールは「浮いてしまった」とGKにキャッチされたが、同38分には、左サイドのMF菊池大介に左足キックでピタリと合わせた。「ロングフィードは持ち味だと考えている」という武器を、プロの舞台でも物怖じせずに繰り出した。

 また、さらに“橋岡らしさ”が出たのは、前半アディショナルタイムのことだった。もうすぐホイッスルが鳴りそうな時間帯、味方のバックパスを受けて前を向くと、ゴールまで軽く40mはあろうかという距離から、左足で「躊躇なく」(橋岡)ロングシュートを放った。うまくミートしなかったボールは大きく枠を外れたが、客席からは驚きをともなったどよめきが漏れた。

「とりあえず『貪欲に』というか、若いからというわけじゃないけど、今の自分はアピールが必要な状況。チャンスがあれば狙っていこうと思っていたなかで、前が空いたので『打とう』って思いました。可能性はなかったかもしれないし、枠は大きく外れたけど、ああいうのが大切なんじゃないかと思います」

 ここまで2試合、爪痕を残したとは言いがたい状況だが、目指すべきところは明確となった。「こういうところでやっていくには、差をどれくらい詰められるか、そしてどれくらい越えていけるかということになる。プロの世界は競争なので、そこで生き残っていくためには自分がもっと上に行くしかない。どんどん先輩たちを追い越していって、スタメンを取らないといけない」。

 一方で、中心的な働きが期待されているU-18日本代表では「トップで試合に出たからと図に乗っていたら、すぐに周りに置いていかれる」という焦りもある。それどころか「僕が試合に出ているのを悔しいと思って、2倍も3倍も努力している選手がいると思う。そういう中で蹴落とされないように、自分もどんどん結果を出して、上に行かなければならない」とライバルの存在を意識しながら、自らを高めていく心積もりだ。

「最終的な目標っていうのはまだないですけど、日本代表に選ばれて、W杯に出て、優勝したいという思いはある。ただ、そういう目標は、一つ一つの小さな目標をクリアしていった先に見えるものだと思う」。妥協を許さない18歳が、はるか先の目標に向かって歩みを始めた。

(取材・文 竹内達也)
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