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[AFC U-16選手権予選]11人全員を入れ替えて11得点。日韓W杯世代のU-15日本代表が層の厚さを見せ付ける

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19分、初代表のFW小塩拳生がクロスを合わせて2-0

[9.22 AFC U-16選手権予選 U-15日本代表 11-0 U-15シンガポール代表 インドネシア]

 9月22日、AFC U-16選手権予選グループJの第2戦がインドネシアのウィバヤ・ムクティ・スタジアムで行われ、U-15日本代表はU-15シンガポール代表と対戦。第1戦から11人全員を入れ替えた陣容ながら、FW青木友佑(FC東京U-15深川)のハットトリックなどで大量11得点で圧勝、開幕2連勝となった。

「選んだ23人全員を信頼している」と強調してきた有馬賢二監督はこの第2戦に向けて、初戦から全員を入れ替えるターンオーバー策を採用した。GKに佐々木雅士(柏U-15)、4バックに植田啓太(横浜FMジュニアユース)、田島詳基田中芳拓(共に清水ジュニアユース)、菅原一真(FC東京U-15深川)、中盤中央に成岡輝瑠(清水ジュニアユース)と荒木遼太郎(東福岡高)が並び、両翼には近藤蔵波(C大阪U-15)と西川潤(桐光学園高)、そして2トップには小塩拳生(清水ジュニアユース)と青木が入った。

 菅原が「絶対に結果を残してやろうと思っていた」と語り、荒木が「第1戦のメンバーに負けたくなかった」と語ったように、第1戦のメンバーに入れなかった選手たちのハートは燃えていた。もちろん、有馬監督からは「全員が戦力。第1戦のメンバーがレギュラーで第2戦がサブとは思っていない」と念押しされてはいたものの、悔しいものは悔しい。そのうっぷんを晴らすことが、試合に臨んだ選手たちが共有していた思いだった。

 これに対してシンガポールは完全に自陣へ引いた5-4-1の布陣で日本の攻勢を最初から受ける構え。「こんなに引いてくる相手は初めてで難しかった」と青木が振り返ったように、割り切って後ろに人数をかけてくる相手を崩すのは実力差があったとしても、簡単ではない。それだけに最初の1点をいつ奪えるかが肝心だった。

 序盤の5分間は攻めあぐねるような流れだったが、日本は相手のミスを抜け目なくつく形で試合を動かす。前半7分、相手DFのミスをついてボールを奪う流れから小塩が落としたボールを荒木が「まず思い切り打とうと思った」とミドルシュート。これが見事に決まって、重要だったファーストゴールが生まれた。

 ただ、その後は「少し動きが足りなかった。そんな派手に動かなくてもちょっと動くだけでいいところの“ちょっと”が足りていなかった」と有馬監督が振り返ったように、引いて構えた相手に対して一緒に貼り付いてしまうような動き出しの乏しさがあり、なかなかうまく崩せない。中盤からゴール前へ飛び出していくような選手も少なく、シンガポールを攻めあぐねる時間帯が続いた。

 こうした相手に有効な手段の一つはやはりサイド攻撃で、19分に成岡と菅原のコンビで左サイドを崩して決定機を作ると、24分には右サイドからの速いクロスにこれが初の代表戦となる小塩が合わせて、2-0。「初めての代表だったので、点を取ってアピールしたかった」という男が貴重な2点目を奪い取った。

 こうなるとシンガポールの心にもヒビが入り、日本は逆に大胆なプレーが出始める。38分には相手ゴール前で粘って粘ってボールを保持した青木がDFが壁を作っているような状況から少し強引に打ち切ると、これが相手DFに当たってコースが変わってゴールイン。さらに直後の39分には成岡がミドルシュートを決め、41分にはCKからMF近藤が5点目のゴールを突き刺して、シンガポールを完全に沈めた。

 日本はハーフタイムにあらためて動き出しの部分を徹底。後半も手を抜くことなくシンガポールを追い詰める。後半3分に西川がロングループシュートを決めれば、4分には青木がスルーパスに抜け出す形から追加点を奪い、さらに16分にも青木が決めてハットトリックを完成。「初戦で6点取った選手(FW中野桂太=京都)がいるので、ハットトリックでも満足できない」と言うものの、ストライカーの仕事はしっかり見せた。

 さらに29分にはダイナミックに斜めに走り込んでペナルティーエリア内でフリーになった途中出場のMF青島健大(清水ジュニアユース)が青木の落としを受けて右足シュートを突き刺す。その後も中野桂のPK、荒木のミドルシュートで追加点を奪った日本が、11-0の大勝を収めた。

 11人全員を入れ替えながら初戦に続く圧勝となり、選手層の厚みを見せ付ける格好となった日本。得失点差のアドバンテージを得てマレーシアとの第3戦は引き分けでも突破が決まる状況となったが、有馬監督は「もちろん、勝ちを狙いにいく」と明言。また第1戦のメンバーにそのまま戻すのではなく、第2戦でのパフォーマンスが良かった選手をミックスした陣容で臨むことも明らかにした。

 2002年の日韓W杯開催年以降に生まれた選手たちで構成された「02ジャパン」は中1日を挟んだ24日に、2年後のU-17W杯に向けた“最初の関門”と言うべきマレーシアとの試合を戦うこととなる。

(取材・文 川端暁彦)
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