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[プレミアリーグEAST]激しさ、迫力兼備したパスゲーム。先発組が耐えたFC東京U-18、終盤登場の“役者”が勝負決めて首位肉薄

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後半34分、FC東京U-18MF小林幹(10番)が決勝ゴール

[9.24 高円宮杯プレミアリーグEAST第14節 柏U-18 1-2 FC東京U-18 日立柏総合グランド(人工芝)]

 激闘を制したFC東京U-18が首位肉薄――。高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯U-18サッカーリーグ2017プレミアリーグEASTは24日、第14節2日目を行い、5位・柏レイソルU-18(千葉)と3位・FC東京U-18(東京)との一戦は後半34分にU-18日本代表MF小林幹(3年)が決めた決勝点によってFC東京が2-1で競り勝った。FC東京は首位・清水エスパルスユース(静岡)との勝ち点差を1としている。

 試合開始直前、そしてハーフタイムにも人工芝ピッチに大量の水が巻かれていた。それによって“高速ピッチ”と化したグラウンドで繰り広げられたハイスピードのパスゲームと、迫力ある球際の攻防戦。見応え十分の90分間は苦しい時間帯に我慢強く耐え、終盤に“役者たち”が試合を決めたFC東京が制した。

 U-18日本代表のカタール遠征に、柏はトップ昇格カルテットのうちCB中川創主将とMF田中陸(ともに3年)が参加。FC東京もこの日トップチーム昇格内定が発表されたMF品田愛斗とFW原大智(ともに3年)が同遠征に参加しているために不在だった。加えてFC東京は前日のJ3でフル出場したMF平川怜(2年)とFW久保建英(1年)のU-17日本代表コンビ、そしてCB長谷川光基(3年)と小林幹もベンチスタート。だが、立ち上がりから押し込んだFC東京が8分に先制点を奪う。MF横山塁(3年)の右CKをニアサイドへ飛び込んだFW吉田和拓(3年)が頭でゴールへ流し込んだ。

 だが、柏がスピードあるパス交換で徐々にリズムを掴んでいく。中川に加えてCBに怪我人もいたことからDF吉田新(2年)を中央に据えた3バック、トップ昇格の宮本駿晃(3年)と貞廣大輔(2年)をウイングバックとして配置する慣れない布陣でのチャレンジだったが、永井俊太監督が「CBがいないという事情も含めてどうやって守って、どうやって攻撃するか探ったオーガナイズでした。(だが)本当に選手が頑張ってくれました」と讃える内容のサッカーを展開。中盤の底に位置するMF加藤匠人(3年)を中心にボールをテンポ良く動かす柏の攻撃の前にFC東京は的を絞りきれず、MF落合陸(3年)やMF正田徳大(2年)に前を向かれ、仕掛けられるシーンが続いてしまう。

 それでも、FC東京はハードワークの連続から射程範囲に入った相手から厳しいチャージでボールを奪い返すと、後方からテンポの速いパスを繋いで攻撃。FW今村涼一(2年)のミドルシュートや、MF杉山伶央(3年)がインターセプトからクロスへ持ち込むなど2点目のゴールを狙った

 だが、準備してきた部分がハマってボールを良く奪いきり、保持する時間を増やしていた柏が前半終了直前の45分に同点に追いつく。吉田が自ら投じた左ロングスローのクリアを拾うと、すかさず左足でクロス。密集した中央を越えたボールをファーサイドでフリーのFW坂井剛(3年)が頭でゴールへ押し込んだ。

 後半立ち上がりは同点に追いついた柏がチャンスを連発。「今までやっているボール、スペースプラス、ゴール前の迫力をプラスしたいなと」取り組んできたクロス、DF背後へのボールに飛び込む形で坂井らが決定機に絡んだ。

 だが、FC東京はGK高瀬和楠(3年)のファインセーブなどによって、ここで勝ち越し点を与えなかった。「後半立ち上がり、相手の決定機が入っていれば分からなかったですけれども、入らなかったのも我々のメンタリティーが多少左右しているのかなと思う部分もある」と佐藤一樹監督。苦しい後半立ち上がりを乗り越えたFC東京は17分に小林幹、25分に平川、そして31分には久保をピッチへ送り出す。

 仲間の奮闘をピッチ外から見つけていた小林幹、平川、久保がエネルギッシュなプレーを連発。献身的な2度追い、迫力あるドリブル突破、シュートなどでチームを勢いづけていく。そしてMF寺山翼(2年)が連続でインターセプトしたほか、主将の右SB岡庭愁人(3年)の運動量が違いを見せるなどチャンスの数を増やしたFC東京に対し、柏はトップ昇格の守護神、GK猿田遥己(3年)が好セーブを連発していたが、耐えきれなかった。

 37分、FC東京は右中間でボールを持った小林幹が久保にボールを預けると、久保が仕掛けてPAにボールがこぼれる。これに素早く反応した小林幹の右足シュートがゴール左隅に決まった。

 値千金のゴールに大興奮したFC東京がそのまま最後まで押し切って2-1で勝利。佐藤監督は「(勝つために必要なことは)総合力だと言っているので、誰が出ても出た時間、泥臭くてもいいから、勝ちに直結するようなハードワーク、身体と頭、インテリジェンスとをフル回転して、そこにクオリティーが乗っかってくるというような意味では途中から出た選手がクオリティーを見せてくれた」と全員で勝ち取った白星に微笑んだ。

 また岡庭は、「(J3と)連戦で出た人が違いを見せて、そこまで持ってきたスタートの選手もいる。自分たちは技術がある方だと思うし、そこで走ったら負ける相手なんていないと思っている。全員が違いを見せれたことがきょうの勝利に繋がったと思う」と胸を張った。これで首位と1差。小林幹は「応援してくれているサポーターたちのためにも自分たちは最初に3冠という目標を掲げたので、あと4試合全力で戦って勝つだけです」。クラブユース選手権王者・FC東京U-18の目標は3冠。残り4試合、劣勢に立たされても、この日のように全員で戦い抜いて逆転Vを引き寄せる。

(取材・文 吉田太郎)
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