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負傷に苦しみ続けるロイス…完全復活を目指す“地元っ子”の戦い

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“地元っ子”が完全復活のため懸命にリハビリに励んでいる

 今季のドルトムントは、ブンデスリーガ8試合を終えて6勝1分1敗。絶対王者バイエルンを抑え、首位を快走している。ピーター・ボス新体制のもと、6季ぶりの優勝を狙うチームの中、1人この波に乗り遅れている選手がいる――背番号11、マルコ・ロイスだ。

■悪夢のようなケガと新たなチャレンジ

 ロイスは、5月に行われた昨季のドイツ杯決勝・フランクフルト戦で右ひざを負傷した。「スプリントできず、パスも出せず、膝に痛みを感じた。だけどこんなことは試合中に数百回は起こるものだ」と、当初は深刻なものではないと思っていたと話す。

 ハーフタイムで交代となった後、ロッカールームで「十字靭帯でなければ良い」と祈っていたという。しかし、診断は右ひざじん帯の部分断裂。6月7日に手術を受け、9か月間の離脱が見込まれている。医師からは「もはや後十字靭帯は頑強ではない」とも伝えられた。

 チームは、ロイスの交代後、FWピエール・エメリク・オーバメヤンの決勝点で見事勝利。過去3大会は決勝で涙をのんでいたドルトムントにとって、久々の歓喜の瞬間でもあった。優勝パレードでは、ロイスも他の仲間とともに喜びを分かち合った。

 しかし、この時すでに「十字靭帯の問題かもしれない」と、キャリア最大の負傷である可能性を悟っていたという。「幸せの絶頂のときはアドレナリンでいっぱいで、気づかないものだよ。1~2日後に痛みが激しくなった」と明かしている。手術後、ファンに「来年にはフィットし、シーズンの重要な時期に戻ってくるよ」とメッセージを送った。

 現在ロイスは、フィットネス・コーチのフロリアン・バングラー指導のもと、懸命にリハビリに取り組んでいる。膝を安定させて次の段階に進むために、筋肉を再構築するステップをこなしている。“無償の愛”というには程遠い厳しいものだ。「リハビリで最も辛いのは、1人で戦わなければいけないことだね」と、孤独な自分との戦いの厳しさを語っている。

「状態は非常に良い」。2週間前のMRIスキャンで初期状態を確認した後、そう感じたという。「すべて計画通りに進んでおり、合併症も見られなかった」と明かした。しかし「時間はかかるだろうね」と、焦りは禁物だということも十分に理解している。

 毎日積極的に取り組む中で、冷水と温水につかって筋肉を回復させるなど、普段試せないことにもチャレンジしているようだ。「普段は時間が足りないけど、リハビリ中はいろいろなことができるね」と、回復するだけでなくさらに強くなって戻るために、多くのことを取り入れている。

■愛される“地元っ子”復活へ

 本拠地「シグナル・イドゥナ・パルク」で試合が行われるたび、観戦に訪れているというロイス。そして今季のチームは「非常に良いサッカーをしているね。シーズン通して続けられるかもしれないよ!」と、首位を走る仲間の活躍に胸を躍らせている。しかし続けて、「スタンドから彼らの活躍を見るのは、それはそれで傷つくね」と、自身がピッチに立てないことにもどかしさも感じているようだ。

 ロイスは「とても感動的な瞬間になるといい。今から楽しみにしているよ」と、来年に見込まれる復帰の日を心待ちにしている。

 これまで幾度となくケガに泣かされてきたロイス。28歳のドイツ人FWは、ケガの影響で2014年のW杯やEURO2016など、代表としても多くの主要大会を逃してきた。

 最も脂の乗る年齢で迎えるロシアW杯は絶対に出場したいと意気込んでいるはずだ。“黄金時代”ともいわれ、次から次へと優秀なタレントがでてくるドイツ代表でポジションをつかむことは、とても難しい挑戦となる。ましてやロイスにはアピールの時間がほぼない。

 それでも、同じくケガで前半戦をほぼ棒に振った昨季は、公式戦24試合で13ゴール8アシスト。出場すればエース級の活躍を見せてきた。地元出身で、ドルトント下部組織上がりの背番号11の復帰を、今か今かと待ちわびるファンやチームため、そして長く苦しいケガとの戦いに勝利するため、ロイスは今日もリハビリに励んでいく。

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