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[MOM477]近畿大MF國分将(4年)_「自分が変わらないと」、リーダーとしての覚悟

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近大の國分主将、声でもプレーでもチームを引っ張る覚悟

[10.15 第95回関西学生L後期第5節 阪南大1-2近畿大 長居]

 後期開幕戦を白星で飾った後、近畿大は勝利から遠ざかっていた。しかも、びわこ成蹊スポーツ大、桃山学院大には後半に大量失点を喫し、大敗。「チームが崩壊してると言ってもいいような状態だった」と主将の國分将(4年=札幌U-18)は、危機的な状況を語った。

 失点が重なるごとに、どんどん下を向き、ミスを他人のせいにしてさらにリードを広げられる悪循環。得点を取りに行こうとするFWと、守りに入ろうとして下がる中盤の意思疎通のなさを改善しようと、阪南大戦までの一週間はとにかく選手同士で話し合ったと言う。

 そんな中、Iリーグのブロックリーグが終了し、Bチームから昇格してきた副将のDF吉村太希(4年=東山高)が、これまでAチームを束ねてきた國分、MF伊藤寛生(4年=洛北高)とともに率先して意見を述べ、CBのレギュラー争いに名乗りをあげたことも、チームの再構築には大きな刺激となった。

 迎えた今月15日の阪南大戦、序盤から攻め込まれる展開が続いたが、「相手が阪南だったので、割り切って耐えよう」と4回生を中心に声をかけあい、CBの吉村、川浪龍平(2年=G大阪ユース)が勇気あるプレーで阪南の波状攻撃を食い止めると、41分にFW粟飯原尚平(3年=札幌U-18)が相手のミスを逃さず、見事なループシュートで先制点を決める。

 さらに47分には、右サイドをドリブルで切り崩した國分が送ったマイナスのパスをMF川畑隼人(2年=履正社高)が冷静にゴール。ミドルシュートで1点を返されたものの、全員が身体を張って阪南の猛攻をしのぎきり、大きな勝ち点3をつかんだ。

 勝ち越し点をおぜん立てした場面を、「ドリブルしていたら、『ヒール!』っていう声が後ろからかかって、それに相手のDFが引っかかってくれたので、加速してはがせた。ゴール前に白いユニフォームがいるのが見えたので折り返したら、川畑が入れてくれた」と振り返った主将の國分。1回生からリーグ戦に出場している近大の攻撃のキープレイヤーは、今シーズン主将としてチームを束ねる。

 自分のことを「主将はキャラじゃない」という國分は「最初はいろいろ言うよりも、プレーで引っ張ろうと思っていた」と話す。しかし、負けが先行する苦しいチーム状態にリーダーシップのなさを痛感。「チームが変わるには、自分が変わらないといけない。今は声でもプレーでも引っ張ることを意識している」とリーダーとしての覚悟を決め、試合に臨む。

 尾内伸行コーチは、「まだまだ殻を破り切れていない」と國分が踏み出した歩みには厳しめの評価だが、「タイプじゃないのはわかっていて、主将を引き受けたのは、それだけの覚悟があるということ。ここまで苦しい経験を積んできたことを、無駄にしないようやり切ってほしい」とここからの成長に期待する。「今が変わる時だし、あと6試合で変わった姿を見せたい」と腹をくくった主将が、闘志あふれるプレーと熱い思いでチームを上位に引き上げる。

(取材・文 蟹江恭代)
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