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[MOM2257]長崎日大DF本田陸(3年)_ひ弱い姿は過去の物。頼れる主将が存在感を発揮し、決勝行きに貢献

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リーダーとしてチームを支えたDF本田陸(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.22 選手権長崎県予選準決勝 創成館高 1-2 長崎日大高 大村市古賀島スポーツ広場]

「まったく能力がなかったし、下級生の頃は紅白戦でやられっぱなしでよく泣いていた」。そう亀田陽司監督が評するのは、長崎日大高のキャプテンを託されるDF本田陸(3年)だが、創成館高と対峙した準決勝では、ひ弱さを微塵も感じさせないプレーで守備を支え続けた。

 ただし、前半は満足の行くプレーができたとは言えない。試合後、本田が「準決勝に続いて、今回も風が強くて自分たちのやりたいサッカーができなかったし、先制もされて、ヤバいかなと思った」と振り返ったように、前半は思い通りの攻撃ができず。守備も相手のロングボールをしっかりと跳ね返し続けたが、24分にはFKを決められた。

 幸先の悪いスタートを切ったものの、チームの雰囲気は悪くはなく、「自分たちがやるべきことをすれば負ける要素はないと思ったので、ちゃんとやることをやった結果。1点獲れたら、2点獲りに行く気持ちを持てていたし、負ける気はまったくしなかった」。

 前半35分にFW高比良慶太(3年)の得点で試合を振り出しに戻すと、後半からはアタッカー陣が積極的な仕掛けを取り戻し、チーム状態が少しずつ上向きとなった。

 そうした中で、本田が効いていたのは味方の良さを引き出す作業。「チーム全体で上手く行ってる時や、守備で狙い通りにできた時が嬉しいので、手と声でチームを動かすよう意識している」と話すように、守備では周りを動かしながらのボールハントで相手の決定機を阻止。対人に持ち込まれても昨年、左足の骨を2本折り、プレーできない間に身につけたというフィジカルの強さを発揮し、要所を抑え続けた。攻撃でもセットプレーのキッカーとして正確なキックを披露するなど、「まだまだ下手なんですけど、しっかりやるべきことをやってくれた」と亀田監督が称える出来だった。

 冒頭の言葉の通り、これまでは頼りなさが目をつく選手だったが、亀田監督が「スピードもないし、高さもないしで、CBとしてFWを止められずこれまで自信がなかったと思う。(6月の)九州大会でも東福岡にビビッて、消極的なパスばっかりだった。これまではプライドが高くて自分の足りない所を認めなかったけど、できることとできないことの割り切りができるようになってきた」と話すように、夏以降の成長は目を見張る物がある。

 本田自身も「プレーがうまく行かないと自分を表現できなかったけど、3年になってから心からサッカーを楽しめるようになった。コイツらともっとサッカーしたいなって。そう思えるようになってからは少しずつ上手くいくようになった」と成長を実感している。

 決勝はU-18日本代表のFW安藤瑞季(3年)を筆頭に一癖も二癖もある長崎総合科学大附高が相手。この日以上に押し込まれる場面が続くのは間違いない。だが、長崎の高校生で一番最後までサッカーをするため、「長崎総附以外のサッカーも長崎にはあるんだぞというのを僕らが発信していきたい」という目標も果たすため、憶することなく、後方から存在感溢れるプレーを見せつけ、勝利を目指す。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校選手権2017

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