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湘南ユースFW和田「もっとトップチームに近づけるように」 攻守に貢献も“シュート0”に満足せず

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攻守に存在感を放った湘南ユースFW和田響稀

[10.22 Jユースカップ2回戦 湘南ユース2-0東京Vユース 馬入]

 1回戦の横浜FMユース戦で勝利の立役者となった湘南ベルマーレユースのFW和田響稀(3年)は東京Vユースとの2回戦でも高いクオリティーを見せつけた。難しいピッチコンディションへの対応が迫られる中、冷静に相手が嫌がるプレーを選択し、要所で存在感を放っていた。

 ピッチに水たまりができるほどの大雨の中で行われた一戦は、立ち上がりから東京Vユースが激しいプレスで主導権を握った。一方の湘南ユースはボールを前に運べずに苦戦する展開。しかし、そこで機転を見せたのが和田だった。中盤に下りて味方のパスを預かり、ボールをキープして相手のファウルを誘発。「ボールが風で押し戻されたので、あそこで自分がファウルをもらえば助かると思った。うまく攻撃ができない中で、そこを意識した」。その結果、相手のペースに持ち込ませず、前半を無失点で終えることに成功した。

 スコアレスのまま迎えた後半33分には得意の攻撃で魅せた。和田が左CKから速いボールをニアサイドに蹴り込むと、相手DFに当たったこぼれ球からDF八方伶央が先制ゴール。「前半はファーサイドに蹴っていたので、後半はニアに速いボールを蹴って“事故”を起こすという狙いで行った。(得点の場面は)それがうまくいった」という好判断で、3回戦進出を大きくたぐり寄せた。

 今季の湘南ユースは神奈川県リーグ所属ながら、8年ぶりに出場した夏の日本クラブユース選手権で8強入りを果たし、和田も5試合で4得点を記録。さらにベスト16を確定させた今大会でも、1回戦の横浜FMユース戦で延長戦に2得点を決め、全国の舞台で戦える選手であることを結果で示している。

 ここまで得点を積み上げられている要因を「チームメイトの信頼」にあると分析。「信頼を得られるようになってきて、チームメイトが自分を見てくれているので、(ゴールを)決めることができているんだと思います」と、このチームでプレーすることに充実感を感じているようだ。

 もっとも、高校年代ではコンスタントに結果を残しているが、「トップチームの練習に入ったときは、特長を全然出せなかった」と話す。そこで参考にしているのはMF山田直輝のプレー。フィジカルに優位性を持つ和田とは異なるスタイルだが、「トップチームでは自分もつぶされてしまう」と現実を見つめ、「山田選手はボールが来る前にしっかり周りを見て、ワンタッチで出すところ、キープするところを判断している。小さくてもやれるところが見本になる」と、長所を吸収しようと目論んでいる。

「もっとトップチームに近づけるように。そして、トップチームと同じ基準でやっていけるようにしたい」。そう話す和田は、高い貢献度で勝利に導きながらシュート0本に終わった東京Vユース戦に満足せず、「自分はFWなのでゴールを求めてやっている。出来は良くなかった」と振り返った。

「自分にプレスが来る分、周りが空くというのはいいんですけど、自分でゴールに行けるようになればもっと怖い選手になれる」と新たな課題を認識。「チームとしてはこれまでどおりに一体感を持って。そして、自分としてはゴールでチームを救っていきたい」。3回戦の柏U-18戦は、“目に見える結果”でチームに貢献する。

(取材・文 竹内達也)
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