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東京Vユースは悪環境で“良いサッカー”ができず…永井監督「判断力がまだまだ」

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湘南ユースに敗れた東京ヴェルディユース

[10.22 Jユースカップ2回戦 湘南ユース2-0東京Vユース 馬入]

「欲を言えば、『良いピッチで良いサッカーをやらせてあげたかった』というのはありますね」。大雨で人工芝ピッチに水が溜まるという難しいコンディションとなった湘南ユース戦の試合後、東京ヴェルディユース永井秀樹監督は淡々とつぶやいた。単に敗れたということよりも、突き詰めてきたパスサッカーを繰り広げられなかったことが悔やまれた。

 東京Vユースにとって、この一戦はいわば“リベンジマッチ”となった。今年6月、日本クラブユース選手権の関東予選で湘南ユースと対戦。スコアレスドローで迎えたPK戦の末に敗れ、全国への道が閉ざされていた。今回はそんな因縁の相手に対し、「ベルマーレさんのやり方も分かっていたつもりだったし、対応も考えてやってきていた」と準備万端で臨んだ。

 しかし、大雨の影響で「サッカーのスタイルうんぬんよりも、天候にふさわしいサッカー」を強いられることに。敵将の時崎悠監督も「いくらウチが必死になって食らいついても、はがせる力がある」と東京Vのスタイルを警戒していたが、「ヴェルディさんがボールを動かすというリズムではなかったので、こっちにリズムが来た。それはピッチの影響ですね」と振り返った。

 もっとも、45歳までさまざまなカテゴリで現役生活を続けてきた指揮官は、ピッチコンディションを敗戦の言い訳にするつもりはない。「こういうピッチならどういうサッカーをしなければならないか、そういった判断力がまだまだだった」と敗因を分析。「相手が嫌なことをする、相手がいないところを攻める、基本的なところを当たり前にやるという部分をもうちょっとやっていかないといけない」と課題を口にした。

 とはいえ、ピッチへの適応力を一足先に見せたのが東京Vユースだったのも間違いない。1トップに入ったMF藤本寛也(3年)、アンカーのMF山本理仁(1年)を中心に、ピッチの影響を受けないよう高く打ち上げたパスや、足の甲を使って浮かせたドリブルで湘南のプレスを突破。前半は相手をシュート0本に抑え、惜しいミドルを含む4本のシュートを放つなど、優勢に試合を進めていた。

 それでも後半から失速を見せ、終盤の2失点で敗戦。「もちろん良かった時間は良かったですし、やれる選手はやれるんです。ただ、自分が目指しているのはみんながやれるサッカー。1人、2人、3人ができるというだけではまだまだです」と手厳しい言葉も繰り出した指揮官は、「ここはプロじゃなく育成年代なので、みんなが共通理解のもと、同じことができるようにレベルアップしていきたい」と底上げを求めた。

 この敗戦で今季のカップ戦はすべて終了したが、3試合を残すプリンスリーグ関東では勝ち点24の4位。首位から3位が勝ち点27で並んでいるため、3位以内に与えられるプレミアリーグ参入戦への出場権は、現実的に手の届きそうなところにある。指揮官も「ヴェルディの育成組織として、プレミアはいるべき場所だと思っている」と目指すところは明確だ。

「そこに1年でも早く戻るためには、良いサッカーを日々追求していくという作業を繰り返しやっていくこと。その結果が必ず勝ち点に結びついてくる」(永井監督)。これまで磨き抜いてきた“良いサッカー”と、思い通りにいかないときの“判断力”。苦しみ抜いた一戦での課題を、まずは次の3試合にぶつけていく。

(取材・文 竹内達也)
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