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悔しさを糧に遊学館が選手権初出場に王手!金沢との接戦をものにして3年ぶりファイナルへ

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遊学館が3年ぶりの決勝進出を決めた

[10.28 選手権石川予選準決勝 遊学館高 2-0 金沢高 金沢市民サッカー場]

 第96回全国高校サッカー選手権石川予選の準決勝が28日に行われ、遊学館高金沢高に2-0で勝利し、3年ぶりの決勝進出を決めた。11月4日の決勝では星稜高と対戦する。

 両チームの対戦は今季3度目。県1部リーグで対戦した際は、遊学館が2戦2勝しているが、「内容的にはうちが負けている試合。金沢さんからすれば、これまで悔しい思いをしてきているので、相当モチベーションが高かった」と遊学館の吉川幹大監督が振り返ったように、序盤はリベンジを狙った金沢のペースで試合が進んだ。

 遊学館にとって厄介だったのは、DF上坂渓斗(3年)を中心に金沢が繰り出したロングボール攻勢。「金沢さんは技術的に高い選手が多く、本来は繋いでくるチーム。予想外の展開で、選手にはこれまでとの違いに戸惑いがあったと思う」(吉川監督)。

 遊学館はロングボールにMF金野舜平(3年)のボールキープというアクセントを加えて、攻め込む金沢の攻撃を、「『いつかは前の選手が決めてくれる』と後ろで声を掛け合って信じていた。失点しないように声を掛け合ってリスク管理をしていた」と話す主将のDF斗光晏夢(3年)を中心とした3バックが冷静に対処したものの、攻撃は相手に合わせて縦を急ぐ展開が続いた。

 ともに攻め急いだ結果、攻守の入れ替わりが激しく、落ち着かないゲーム展開となったが、徐々に左サイドのMF村田笙人(3年)の突破や、MF山下裕也(3年)とMF北野瑠偉(2年)のダブルボランチによる前線への配球が増えた遊学館が上向きのまま前半を終えた。

 0-0のまま迎えた後半も一進一退の展開は変わらない。2分には遊学館にチャンスが訪れ、2列目のパスから村田がゴール前へと飛び出したが、前に出た金沢GK連拓臣(3年)がブロック。17分には中盤でセカンドボールを拾った金沢が左に展開し、FW田中陽也(3年)がゴール前に速いボールを入れたが味方と合わず、スコアレスのまま試合終盤を迎えた。

 均衡が崩れたのは後半32分。北野のスルーパスからDFの裏へと抜け出したFW山本龍治(3年)が冷静に決めて、遊学館が先制点。さらに38分には山本龍が右サイドからゴール前に入れたパスのこぼれ球を途中出場のFW熊澤貫太(2年)が押し込み、2-0でタイムアップを迎えた。

「2点獲れたのはたまたまだと思う。相手のチャンスもあったので、そこで決められていれば、という試合展開だったと思う」と指揮官が振り返る接戦をモノにした遊学館が、初の選手権出場に王手をかけた。

 今年の遊学館は長年、所属していたプリンスリーグ北信越から降格し、県1部リーグでの戦いを強いられたが、カテゴリーが落ちても狙うターゲットは変わらない。初の選手権出場を掴むため、「県でも楽に勝てる試合はないけど、県外のチームとの試合を続ける星稜や鵬学園と比べると、球際や切り替えが落ちてしまう。その差を埋めるため、練習試合で強豪チームの胸を借りた」(吉川監督)。

 帝京長岡高(新潟)や大学生チームなどと対戦するため、例年よりも県外へと出ていく回数を増やすとともに、そこで得た感覚を維持するため、練習の強度にも拘った。同時に悔しさも今年のチームの原動力になった。再びプリンスリーグに戻りたいという悔しさ、そして昨年、準決勝でPK負けを許した鵬学園高が自分たちよりも先に選手権初出場を掴んだ悔しさが選手たちを奮い立たせたという。

 決勝で対戦する星稜高はインターハイ予選の準決勝で対戦済み。前半を0-0で終えながらも、後半に決勝点を奪われ、0-1で涙を飲んでいる。「夏はセットプレーで失点して、負けた。そこの悔しさを力に変えて、全員で戦いたい」と斗光が意気込むように、決勝の舞台でも悔しさを勝利に変えるつもりだ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校選手権2017

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