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“伝家の宝刀”セットプレーからV弾!勝負強さを発揮した立正大淞南が連覇:島根

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優勝カップを掲げる立正大淞南高

[11.11 選手権島根県予選決勝 立正大淞南高 1-0 大社高 県立浜山公園陸上競技場]

 第96回全国高校サッカー選手権島根県予選決勝が11日に行われ、立正大淞南高大社高を1-0で下し、2年連続16回目の出場を決めた。

 県内最多の選手権出場15回を誇る立正大淞南と、同2位となる9回の出場歴がある大社とのライバル対決。立ち上がりから立正大淞南が持ち味である攻守の切り替えの早さを生かし、敵陣に押し込んで試合を進めるが、大社も何度か相手のハイプレスをかいくぐってボールを運び、チャンスを作り出す。大社は前半6分、MF野稲竜(2年)が右から惜しいシュートを放ち、9分にはDF岩崎晃大(3年)がミドルシュートを放つなど、積極的な攻めで相手ゴールを脅かした。

 立正大淞南も前半17分、相手GKに厳しくプレッシャーをかけてボールを奪い、MF鶴野怜樹(2年)がゴールに迫る決定機を作ったものの、波状攻撃は大社守備陣の懸命の守りを破れない。34分にはMF河岸真太朗(3年)の左CKにDF松井聡太(3年)が頭で飛び込んだが、大社GK矢野優雅(3年)がうまく対応して防ぎ、結局0-0で前半を終えた。

 後半は、立正大淞南がボール奪取後の最初のパスの精度が低く、チャンスを作れなくなったのに対し、大社は集中力の高い守りから、敵陣深くまで攻め入る回数を増やしていく。右の黒田雄飛(3年)、左の湯浅祥平(3年)の両サイドバックが積極的な攻め上がりを見せるなど攻撃を活性化させた。だが、25分のMF吉田新大(1年)の決定機が相手GKのセーブに阻まれるなど、ネットを揺らすことができない。

 そのままスコアレスで残り5分を切った後半36分、立正大淞南は左サイドの深い位置でFKを得ると、MF松下昇太(3年)がエリア内にグラウンダーのパスを入れ、1人がスルーした後方から走り込んだMF松近嘉莉歩(3年)が左足で狙った。これは左ポストに当たったものの、「あの形は練習していたので、最後はこぼれてくると信じて待っていた」という松井が、ダイレクトで蹴り込んでネットを揺らす。残り時間わずかとなったところで、『伝家の宝刀』とも言えるセットプレーからのトリックプレーで均衡を破った立正大淞南が、そのまま1-0で勝利を収めた。

 大社は、立正大淞南を県予選決勝で下して4年ぶりの選手権出場を果たした2年前の再現に近づいたものの、わずかに及ばず。佐々井秀臣監督が「狙いとしていたことが、うまくはまった」と振り返ったように、先制の機会は何度かあったが、インターハイ予選に続いて県予選決勝で屈した。プリンスリーグ中国から降格した今年度は県リーグでの戦いとなったが、すでに優勝とプリンスリーグ参入戦への出場を決めている。参入戦を勝ち抜いて立正大淞南も参戦する同リーグへの復帰を果たし、来年度以降、よりチーム力を高めるチャンスをつかむことが、今年度のチームに残された最後の目標となる。

 立正大淞南は、相手を圧倒する展開とはならなかったものの、ピンチでの冷静な守備と、ここぞのチャンスを逃さない勝負強さを発揮して勝利。野尻豪監督は「前線にスピードのある選手が並んでいるので、単調になり過ぎた面もあったが、慌てることはなかった」と語り、「練習通り」というセットプレーで勝負を決めた。

 夏のインターハイは初戦を突破し、市立長野高(長野)との2回戦も前半を2-0でリードで折り返したものの、後半終了間際に2点目を決められて追い付かれ、PK戦の末に涙をのんだ。主将の松下は「インターハイはラストプレーで決められたので、そこまで突き詰めていきたい」と雪辱を誓い、「目標は日本一。それに向けて良い準備をしていきたい」と今後を見据えていた。

(取材・文 石倉利英)
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