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東京V安西と対面で魅せるも、徳島DF馬渡「俺とあいつの勝負が勝敗を…」

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馬渡は見せ場をつくるも、悔しい結果に

[11.19 J2第42節 東京V2-1徳島 味スタ]

 十二分に見応えのある“マッチアップ”だった。3-4-3システムの東京ヴェルディに対して、徳島ヴォルティスは3-5-2システムを採用。右ワイドに入ったDF馬渡和彰は幾度も対面した東京VのMF安西幸輝とやりあった。激しい攻防でスタンドを沸かせたが、チームは1-2で敗戦。徳島はPO進出を逃がした。馬渡は「俺が(安西に)負けたから……」と悔やむ。

 試合前から徳島はチームとして、安西を『要注意』と警戒。馬渡を配置した。対する安西は「メンバー表を見たときに、ジョンピル選手かなと思ったら馬渡選手だった。これだったら1対1のやりあいになるだろうなと想定していました」と言う。

 試合は徳島ペースで進んだが、東京Vもカウンターで応戦。0-0で時間は進んだ。しかし前半24分、ターニングポイントは訪れる。左サイドの空いたスペースへ落ちたこぼれに反応した安西が一気に加速。必死に追う馬渡と競り合いながら、ドリブルで仕掛けた。PA手前で倒され、FKを獲得。このプレーで馬渡にイエローカードが提示されたのだ。これにより、馬渡はその後の1対1で激しくいくことができず、逆に安西は伸び伸びとドリブルで仕掛けていった。

「早い時間帯にイエローをもらってしまって、いきづらくなった部分があった」と悔やむ馬渡は「縦に蹴られて、“よーいどん”の状況でスペースがあるなかでの1対1だった。(安西は)足が速いし、対応が難しかった」と振り返る。「一番要注意と言っていた場所に俺が当てられた。俺とあいつの勝負が勝敗を分けると(リカルド・ロドリゲス)監督にも言われていて……そのなかで俺が負けました」。

 序盤の1対1を制したことが弾みとなり、試合を通じて持ち味を十二分に発揮した安西は「早い時間にイエローカードが出たので相手も出てこれなくなって、そこからはスムーズにドリブルでどちらにもいけるようになった。あそこは大きかったかなと思います」と手ごたえを語る。

 苦杯をなめた馬渡は「自分が安西選手にちんちんにされた。今シーズン一番やられたんじゃないですかね。1対1で裏を取られたり、個人の駆け引きのところでこれだけやられたのは、今季初めて。それを最終節にやられるというのは、僕自身本当にまだまだだなと思いました」と苦々しい表情を浮かべた。両者の表情は対照的なものだった。

 安西とのマッチアップを振り返っては反省の言葉が続いた馬渡だが、この日は同点アシストに加えて、ゴールライン上でのクリアなど見せ場を多々つくっていたのもまた事実。後半4分には、右サイドからのクロスでFW渡大生の同点弾をお膳立て。悔しくもここで与えたCKが決勝点につながってしまったが、同42分にはMF安在和樹のシュートを「彼は左足で巻いてくると瞬間的に思った」と先読みし、ゴールライン上でヘディングでクリア。味の素スタジアムまで駆けつけたサポーターを沸かせた。

 試合中は他会場の結果を一切耳に入れず、「引き分けでも、POへいけたかもしれないけれど、引き分けで終わる気はなかった。2-0や3-0で勝っていようが、ATでも次の点を目指すというスタイルでやっているので」と最後までただただ勝ちを求めに行った。しかしチームは1-2の敗戦。試合直後にベンチの雰囲気を見て、「あぁだめだったんだなと」悟ったと言う。

「すごく個性的なメンバーで楽しいシーズンを過ごせましたけど、これじゃ足りないということ。本当にいいサッカーをしていても、おもしろいと言われるサッカーでも、勝たないと何の意味もないし、何も残らない。おもしろいサッカーをするんじゃなく、勝つためにおもしろい、上手いサッカーをしないといけない。もっともっと突き詰められる部分があったんだなと思います」

 様々なことを経た一年。馬渡は最終節で感じた自身の非力さをただただひたすらに真正面から受け止めていた。

(取材・文 片岡涼)
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