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[プレミアリーグWEST]ともに目標達成できず…勝者・広島ユースは得失点差で2位、神戸弘陵はプリンスリーグ降格に

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サンフレッチェ広島ユースはMF川井歩らが2点目を目指したが、優勝まであと1点届かず

[12.10 高円宮杯プレミアリーグWEST第18節 広島ユース1-0 神戸弘陵高 吉田サッカー場]

 高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯プレミアリーグWESTは10日、第18節を行い、2位・サンフレッチェ広島ユース(広島)は8位・神戸弘陵高と対戦。1-0で勝った広島ユースは首位・ヴィッセル神戸U-18(兵庫)と同じ勝ち点42としたが、得失点差で神戸に1点及ばず、2位でリーグ戦を終えた。また、最下位のアビスパ福岡U-18(福岡)が9位の大津高(熊本)を5-1で下したことにより、神戸弘陵は福岡U-18に逆転を許し、8位から9位へ転落。神戸弘陵のプリンスリーグ降格が決定した。

 タイムアップの笛が鳴った瞬間に、ピッチに項垂れる両チームの選手たち。優勝と残留という対局に位置する二つの願いが交錯した一戦は、双方が涙を逃がす結果となった。

 試合の主導権を握ったのは、首位・神戸と勝ち点で並ぶ広島だった。逆転での優勝を果たすためには、勝利に加えて、神戸を得失点差で上回る必要があったため、積極的な攻撃を展開。DF陣によるボール回しで左右へ揺さぶると、両サイドからのクロスでチャンスを伺ったが、「ここ最近の試合で全員の守備意識が高くなっていたので、守れる自信があった」とDF今井慈玄(2年)が振り返る神戸弘陵の集中力を保った守りに跳ね返される場面が続いた。前半24分にCKから放ったFW明比友宏(3年)のヘディングシュートも、神戸弘陵MF高野裕維(2年)がブロック。直後にMF東俊希(2年)の左クロスから生まれたMF仙波大志(3年)のヘディング弾もポストに嫌われた。

 後半は3トップの配置転換によって、サイド攻撃の迫力が増したが、神戸弘陵GK野村昌平(2年)の好セーブに何度も阻まれて1点が奪えず。それでも、後半23分にはMF川井歩(3年、トップチーム昇格内定)の右クロスから明比がヘディングシュートを叩き込み、広島が先制した。

 試合が動いてからは、優勝のためには追加点が必要な広島と、残留を掴むために勝ち点1を積上げたい神戸弘陵ともに攻勢を強め、「イケイケの決めたもん勝ち」(広島・沢田謙太郎監督)という展開になった。広島は、肉体派のMF松本大弥(2年)を前線に入れて、パワープレーを仕掛けたが、「攻撃に出ないと点が獲れないけど、行き過ぎるとやられてしまうので、バランスが難しかった」(FW満田誠、3年)と攻撃の思い切りを失い、2度目のゴールは生まれない。

 逆に広島は「1点を獲られたら、残り10分で勝負しようと考えていた」と谷純一監督が振り返る神戸弘陵のカウンターを受ける場面が増えてしまう。FKからDF中垣智博(3年)に放たれた決定的なヘディングシュートはGK佐藤海斗(2年)がファインセーブ。45分にも、カウンターからMF上月翔聖(3年)に1対1の場面を作られたが、佐藤がギリギリのところで防ぎ、1-0で試合終了を迎えた。2点目を奪えなかった広島と同点ゴールを奪えなかった神戸弘陵。ともに目標を達成することができずに、最終節を終えた。

 前年王者として今年に挑んだ広島だったが、「相手に引かれる試合が多くて、決めきる場面で決めきれなかった」と川井が振り返ったように、猛烈な警戒網に苦しみ、僅差での勝利が目立った。ジュニアユース出身の選手が多く、ともにユースへと上がった沢田監督との師弟関係は6年目。指揮官と過ごす最後の年に、昨年果たせなかった日本一を狙っていただけにショックは大きい。「自分たちは中学の頃から決定力がなくて、大事な試合で勝てなかった。今日の試合も、やっぱり決定力が課題だった」と肩を落としたMF川村拓夢(3年、トップチーム昇格内定)を筆頭に、悔しさを滲ませる選手が多く、沢田監督も「1日でも長く彼らとサッカーをするために、チャンピオンシップに出たかった」と残念がった。

 一方の神戸弘陵は、目標としていた2年連続でのプレミア残留を果たせず、涙を流す選手が多数見られた。プレミア初年度の昨年と比べ、攻守ともに上位勢と張り合う機会が増えてきただけに悔しさは募るが、今井慈は「色んな強いチームと対戦する中で、自分の中で手応えが出てきた。まだまだ足りない部分もあるけど、俺が来年、弘陵の守備を支えるだけの力はできてきていると思うので、中心選手としての責任と自覚を持って、プリンスリーグ、インターハイ、選手権の3冠を獲りたい。この悔しさを晴らすために、プレミアに戻ってきたい」と誓い、前を向いた。

(取材・文 森田将義)

●2017プレミアリーグWEST

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