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4発圧勝の福岡大が『デュエル合戦』の2回戦へ! 高知大は序盤に好機も無得点

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先制点を挙げた福岡大DF中田永一(3年=四日市中央工高)

[12.13 全日本大学選手権1回戦 高知大 0-4 福岡大 上柚木]

 第66回全日本大学サッカー選手権大会が13日、開幕した。上柚木公園陸上競技場で行われた第2試合では、福岡大(九州1)が高知大(四国1)を4-0で下し、シード権を得ている大阪体育大(関西2)との2回戦に歩みを進めた。

 2年ぶりのインカレ出場を果たした福岡大は、立ち上がりこそヒヤッとする場面が続いたが、終わってみれば盤石の勝利だった。乾真寛監督は試合後、「最初の10分間には反省があるけれど、そこからは対応することができた」と話し、精神的に難しさのある初戦を切り抜けた選手たちを称えた。

 指揮官の言葉どおり、序盤は高知大が猛攻をしかけた。前半8分、立ち上がりから再三の突破を見せていたMF山崎一帆(4年=佐賀商高)がスルーパスを受けると、低い高速クロスをゴール前に配給。FW井上健次朗(4年=柏日体高)が素早く合わせてゴールネットを揺らしたが、惜しくもオフサイドとなった。

 高知大はさらに188cmの長身FW勝田一秀(4年=C大阪U-18)に長いボールを当て、鋭い攻撃を展開。山崎がクロスバー直撃のシュートを放ち、跳ね返りをMF坂拓実(4年=県立西宮高)が頭で合わせる決定機もつくった。

 ところが前半19分、先にスコアを動かしたのは福岡大だった。MF中村太一(4年=興國高)の左CKをMF大熊健太(2年=FC東京U-18)が収め、左足でシュートを放つもGK千歳吾朗(4年=加古川東高)がブロック。それでも、こぼれ球をDF中田永一(3年=四日市中央工高)が押し込んだ。

 前半38分には、ロングボールを正確に収めた大熊が右足で狙うも、再び千歳が阻止。ところが同44分、右サイドを抜けたFW山下敬大(4年=九州国際大付高)が大きく左サイドに展開すると、FW梅田魁人(4年=高川学園高)が頭で落とし、ゴール前に走り込んだ大熊がダイレクトで決めた。

 前半の2得点は「取るべき形で取れた」と乾監督。「うちは高さがあるので、セットプレーは得点源としている。2点目も大きくサイドを揺さぶった中で入った狙いどおりの形」と振り返る。また、テクニシャンの大熊が2点に絡んだことについては、「落ち着いてアクセントになってくれますし、点まで取ってくれて“お釣り”が来ましたね」と目を細めた。

 ところがハーフタイム明け、福岡大に思わぬピンチが訪れた。後半4分、DF西埜植颯斗(4年=近大附新宮高)のパスを受けた山崎がクロスを送ると、ニアサイドでDFに直撃。軌道が変わったボールがゴールマウスを突いた。しかし、そこに立ちはだかったのはC大阪加入が内定しているGK永石拓海(4年=高川学園高)。長い腕を伸ばし、しっかりとかき出した。

 すると福岡大は後半9分、エースの一撃で追加点を奪う。ショートカウンターから左サイドを抜けた山下が豪快にカットインすると、ルックアップでクロスの選択肢を見せつつ、正確な右足シュートでファーサイドを打ち抜く。「ちょっと力が入りすぎていた」(乾監督)というプロ注目の主将が今大会初ゴールをこじ開けた。

 山下は後半15分にも、大熊とのワンツーでPA内に攻め込むと、強烈なシュートを披露。攻め手を止めない福岡大は同17分、前線から激しいスプリントを見せていたMF井上健太(1年=立正大淞南高)に代えて、スピードのあるMF佐々木亜門(4年=福岡U-18)を投入した。同21分には、相手バックパスに反応した佐々木がゴールを脅かす場面もつくった。

 その後は荒れたピッチを意識し、互いにロングボールを蹴り合う展開が続く。高知大は後半23分、勝田がGKとの1対1を阻まれると、福岡大は同34分、永石からのロングボールを受けた梅田がゴール前に斜めのパスを送り、佐々木が左足でシュート。これは高知大DFがブロックした。

 後半35分、福岡大は梅田に代えてMF江崎晃大(3年=鹿児島城西高)を入れて、フォーメーションを4-3-1-2から4-4-2に変更。ベンチからは「ゼロで終わろう!」と声が飛んだ。高知大はロングボールを中心に攻撃の糸口を探るも、DF菅田真啓(2年=国見高)が的確なヘディングで阻止するなど、九州大学リーグわずか14失点の堅守を見せた。

 すると後半40分、福岡大に4点目が入る。途中出場のFW梅木翼(1年=立正大淞南高)が左サイドでボールを収めると、DF石田皓大(3年=高川学園高)に渡して浮き球を供給。中央で胸トラップした山下が相手に当てながらも右足ボレーで叩き込んだ。エースの2得点には指揮官も「取るべき選手が取った。次につながるでしょう」と喜んだ。

 まずは1点を取りたい高知大も、最後まで攻めに出る。後半43分、MF下園直輝(4年=東海大五高)の左CKに反応したFW山越義史(4年=駒澤大附高)がヘッド。同アディショナルタイムには、右サイドを突破したFW浜田鷹人(2年=城北高)が鋭いクロスを送った。しかし、いずれもゴールを脅かすことはできず、そこでタイムアップのホイッスル。2年ぶりの初戦勝利を挙げることはできなかった。

 総理大臣杯で1回戦敗退となった福岡大だが、インハイでは2回戦進出を決めた。乾監督は「体大さんは縦に速くて、高さもあって、フィジカル系のチーム。うちもそういう部類なので、『目には目を』ですね」と戦況を予想。そのうえで「ここからが本番。トーナメントでは勝負強さを持ってきたのが福岡大の強さなので、強く激しい“デュエル合戦”に勝ちに行きたい」と気を引き締めた。

(取材・文 竹内達也)
●第66回全日本大学選手権(インカレ)特集

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