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[MOM499]福岡大MF大熊健太(2年)_「関東とは全然違う」パワー集団で輝くテクニシャン

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前半の2得点に絡んだ福岡大MF大熊健太(2年=FC東京U-18)

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.13 全日本大学選手権1回戦 高知大 0-4 福岡大 上柚木]

 パワー自慢のチームにあって、異色のテクニシャンだ。福岡大MF大熊健太(2年=FC東京U-18)はインカレ1回戦の高知大戦で、3列目のポジションながら2得点に絡む働きを見せた。入学当初は「関東とは全然違うサッカーだった」と驚いたそうだが、そこでの経験を着実に自分のモノとしている。

 4-3-1-2の『3』で先発した大熊は前半19分、左からのCKを足元で収めてシュートを放つと、GKに当たったこぼれ球から先制点が誕生。同44分には、両サイドに大きく振った展開の中でゴール前に飛び込み、スライディングシュートで今大会初ゴールを押し込んだ。前半に獲得した2得点すべてに絡む活躍で、優位な流れを決定づけた。

「FWが競れるのが分かっていたので、絶対に折り返しが来ると思っていた。周りに助けられました」。試合後の取材では、味方への感謝ばかりが口をついて出た大熊だったが、3列目からゴール前に飛び込むという真摯な動き出しが結果を導いたのは、言うまでもないだろう。

 左足の技術に定評のあるテクニシャンだが、Jクラブユース屈指の“闘える”チームであるFC東京U-18出身とあり、もともと一定水準のハードワークは辞さないタイプ。しかし、福岡大は「蹴るチームが多い九州の中でも、一番というくらい蹴っていくチーム」(大熊)。そのため、中盤の選手は激しい上下動とフィジカルコンタクトを課され、そのスタイルには「最初は驚いた」という。

 それでも「いまは割り切ってやっている。自分の課題だと考えている運動量も増えるし、これができるようにやっていきたい」と頼もしい言葉。「後ろにも前にも、セカンドボールの意識が出てきた。でかい人が競った後は自分が拾うようにしています」と成長の手応えも感じているようだ。

 もっとも、持ち前のテクニックが陰を潜めているかというと、けっしてそうではない。乾真寛監督が「ボールを収められるので、落ち着いてアクセントになってくれる」と称えたように、この日は枯れた芝でピッチコンディションが良くない中、空中を行き来するボールをしっかり落ち着かせる姿も見られた。

 2回戦の相手は大阪体育大(関西2)。フィジカル勝負を好む指揮官が「高さがあり、コンタクトも激しくなる」と微笑み混じりで展望する中、大熊にとっては福岡大で得たモノの真価が問われる一戦となる。「今日よりも競り合いが強くなると思うので、その流れを崩さないようにしたい。まずはこぼれ球を取れれば」。ぶつかり合い、蹴り合いを恐れるつもりはない。

(取材・文 竹内達也)
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